「つまらない」「読まれない」企業ブログは何が問題なのか

このコンテンツは有料note「webライターとメディア運営者の、実践的教科書(安達裕哉著)」より転載しています。


企業のオウンドメディア立ち上げに関する悩みが最近増えています。

オウンドメディアって何?という方も多いかもしれませんが、要するに企業のオフィシャルブログ/メディアの類と思って差し支えないでしょう。
一時期「オウンドメディアは下火」などと言われていましたが、Googleトレンドで動向を調べてみるとそれは嘘であることがわかります。
企業は発信を続ける必要がありますので、メディアに対する一定の需要が常にあるのです。

 

需要が続いている要因としてはいくつかあります。
・広告の単価が上昇し、競争が厳しくなっている現在、なんとか固定ファンを獲得して、販促につなげたいという動機。
・広告で誘引した見込み顧客を、自社のサイトに固定しておくための役割。
・検索エンジンではなく、SNSから集客したいと言う思惑。
・広告費という「捨て金」を嫌がり、メディアという集客エンジンを自社で「所有したい」との意向。

 

オウンドメディアを始める動機は様々ですが、個人的に頑張っている担当者の方を知っていることもあり、また、企業の中には素晴らしい知見がたくさん眠っていることから、企業がもっと面白いブログを書くようになるといいな、とも思います。

 

さて、その一方で残念ながら「つまらない」と言われるオウンドメディアも少なくありません。
検索エンジンからの流入が95%以上、一見さんが読者のほとんどを占めていて、「人が読むメディアではなくGoogleが読むメディアだ」と揶揄されているようなメディアも数多くあります。

 

いや、「つまらない」と反応があるのはまだマシな方で、殆どの企業ブログは無視され、殆どは読まれることすらありません。
一体、「つまらない」「読まれない」企業ブログは何が課題なのでしょうか。
多くの企業メディアを観察すると、次の課題を抱えていることがわかります。

 

1.質の高い書き手の不足
2.リスク回避のための過剰な編集
3.短期的成果の追求による記事の質の低下
4.SNS運用の知見不足
では、順に解説していきます。

 

一つ目は、「書き手」に由来するものです。
オウンドメディアには一定数の記事が必要です。ですが、外部に記事作成を依頼できるほどの原資はない……多くの企業はそう考えます。

 

そこで、彼らは「社員」の持ち回りで記事を書こうとします。社員は、一ヶ月に一記事、必ず記事を書く、と言った具合です。
「訓練」や「自社内からのライター発掘」と割り切ってやるのであれば、悪いことではありません。

 

ですが単に「記事があれば良い」という状態であればともかく、
「読まれる」「おもしろい」記事を書くためにはある程度の訓練とセンスが必要であり、それに該当する人を多く抱えている企業は、それほど多くはありません。
結果としてオウンドメディアは、「社内の宴会」や「ランチの様子」、あるいは「社長のつぶやき」的な記事で溢れ、外部の人にとっては、価値のないものとなっていくのです。

 

実際、「ブロガー」は世界中で星の数ほどいますが、月間に数万のアクセスを稼ぐ人はそう多くはありません。
企業の業務としてのブログは、殆どの場合月間5万PV以内であるとのデータもあります。

ページビュー数のグラフに注力すると、「業務派」、つまり企業の命により企業のブログを運営している人のブログは5万/月までの層に集中している。個々の企業のブランド力により差異は出るが、大体はこの領域に収まってしまいということだろう。(ガベージニュース

我々の経験から言えば、ある程度の更新頻度を保ち、かつ質を落とさないように運営するには、社内だけで「7名から8名」程度の質の高い書き手が必要です。
それだけの質の高い書き手を、本業の業務を差し置いて「記事作成」に充てることは、通常できません。
これが「つまらない企業ブログ」が多い一つの原因です。

 

ではどうすればよいのでしょう。
実は、メディア運営のキモとなるのは、「ライター発掘」です。
Books&Appsでは昔から外部ライターを起用していますが、これらは一人ひとりTwitterなどで声をかけ、お願いをして書いてもらう事がほとんどです。

 

また、発掘は、一回こっきりではありません。
ライターさんとの取引はいつ終了するかわからないですから、常にライター発掘は続けなければなりません。
逆に言えば「ライター発掘」の体制を作れるかどうかが、自社でメディア運営が可能かどうかの判断基準となります。
逆に言えば、それができなければオウンドメディアに手を出すのは辞めておいたほうが良いでしょう。

 

二つ目は「リスク回避」に由来するものです。
大企業にありがちですが、「炎上」を恐れるあまり、なんの主張も、思いもない記事ばかりが掲載されているオウンドメディアが数多くあります。
特に「批判」は正統なものかどうかに関わらず、「批判的であるだけで頭からダメ」という企業メディアも少なくありません。

 

逆に言えば「まっとうな批判」を展開すれば、人気のアカウントになれますし、逆に信用されるくらいです。
また、炎上を恐れるほどのコンテンツを作るのは逆に極めて難しいのにもかかわらず、始める前から「炎上」を恐れるといった、滑稽な事象も有ります。
その結果として、辞書的な記事ばかりが量産され、「メディア」と言うよりはむしQ&Aサイトのようなオウンドメディアが散見されます。

 

しかし、こうした手法は結局、「どれだけSEOで上位を取れるか」という不毛な競争を生み出し、大量の
・「読まれない」し「つまらない」
もしくは運が良ければ
・「読まれる」が「つまらない」
メディアが生まれます。
また、そうした競争は「パクリサイト」「内容の信頼性が著しく低いサイト」が生まれる土壌を作ります。

 

したがってメディア運営は「敵を作らない」ことを主軸に据えると、たいてい失敗します。
公序良俗や、法律に違反しない限り、メディアで重要なのは、「意見」と「読んでくれる人」であり、「うちのコンテンツがよまない人」「うちのコンテンツを嫌いな人」を重視する必要はまったくないのです。
ただ、このあたりは経営陣がある程度自由にやらせてくれるかどうかに依存するので、企業風土と合うかどうかを検討すべきです。

 

三つめは「成果への圧力」に由来するものです。
オウンドメディアを初めて半年もすると、社内のあちこちから、「それだけお金と人を使って、どれだけの成果があったのか」という圧力がかかり始めます。
その成果の指標は多くの場合、「PV(ページビュー)」と「CV(コンバージョン、問い合わせ件数)」の2つです。

 

しかし、上の2つであれば要するにそれは「広告」と何ら変わりはありません。
結局、成果への圧力がかかれば、記事はどんどん「広告」ぽくなっていくのです。
そして「広告」が増えれば増えるほど、メディアは面白くなくなる。
当然の帰結です。読者はわざわざオウンドメディアに「広告」を見に来たいと思うわけがありません。
したがって、「つまらない」けど、「記事の量だけは多い」サイトが出来上がってしまいます。
その結果は当然「過疎」です。
だったら最初から、メディアなんかやらず、広告をガンガンやりましょう。

 

では「ちゃんと育てたい」という会社は、どのような指標を持って、オウンドメディアの成功を判定すればよいのでしょう。
もちろんページビューとコンバージョンは重要な指標ですが、そこに至るまでの前段階として
「SNSのフォロワー数」
「SNSでのインプレッション数」
「メルマガへの登録数」
「セミナーへの誘引数」
「資料ダウンロード数」
など、間接的な成果についても、きちんと追いかける必要があります。
これらの成果について、一つ一つ改善を積み重ねた結果、「成約」という果実を得ることができるのです。
このあたりについては、前に書いた記事にかなりたくさんの情報がありますので、参照してください。

 

四つ目は、SNS運用の知見不足に由来するものです。
現在のwebメディアは、SNSと切り離して語ることはできません。
それは、検索エンジンや広告からの流入だけでは、「見込み顧客を集めること」に対して、不十分だからです。
本質的には、Googleなどのキーワードに連動する広告は、「言語化」されたニーズに対してだけアプローチできます。
例えば「引越し 見積もり」という検索をする人は、「今すぐ引越しの見積をしたい人」だけです。
ところが、現在このようなキーワードは高騰しており、競争も激しいので、せっかくの見込み客も、競合に流れてしまうことも多いでしょう。

 

ところが、引っ越しの見込み客は、そうした検索をする人だけではありません。

 

例えば「子供が生まれたら必要なグッズは何?」といった記事を読みそうな人も、実は引っ越しの見込み客になり得ます。
「一人暮らし率の高い大学はどこ?」という記事もそうです。
「東京に就職したら、どこに住むか。東京に10年住む私がおすすめする場所。」でも良いでしょう。

 

いずれにしても、こうしたニーズは引っ越しのかなり前に発生し、かつギリギリまで言語化されていません。
そうした「長期間に渡って」「言語化されておらず」「言われて初めて気づく」ようなニーズを拾うには、記事を作って、SNSで発信をすることが重要になります。

 

ところが、ほとんどの企業において、SNSの運用に関する知見はほとんど蓄積されていません。
多くの企業で、意思決定者たる四〇代〜五〇代のおじさんたちが、SNS利用に疎く、かつ若手であっても「インフルエンサー」並のフォロワーを集めて昼人は極めて希少だからです。

 

記事の書き手と同様に、SNSの運用がうまいこともまた、貴重なスキルであることを認識し、そこにリソースを割くことを会社が決定しなければ、いつまでも「検索ニーズ」を基にしたメディア運営しかできません。
結局、自社でそれを解決するには、自社内からSNS運用に長けた、フォロワーを集められる人に任せ、運用の知見を蓄積していくしかないのです。

 

以上、本当に愛されるオウンドメディアを運営するには、
1.質の高い書き手の不足
2.リスク回避のための過剰な編集
3.短期的成果の追求による記事の質の劣化
4.SNS運用の知見不足
をすべて、解決する必要があります。

 

また、余談ですがこのようにお話をすると、「本当に費用に見合う効果はあるのですか?」と質問をする方がいます。
それに対しては
「「直接的な売上」や「記事からの問い合わせ」だけを目的とするならば、費用対効果は合いません。広告をガンガンやるべきです。
「信用の獲得」「ファンの育成」「ブランド構築」などの、定性的な成果を定義するならば、費用対効果は高いでしょう。」
とお答えしています。
あしからず。

 

 

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