日本には私がションベンちびりそうなぐらい心から凄いと思っている企業が2つあります。
1つはクロネコヤマトのヤマト運輸、もう一つはみんな大好き任天堂です。
その凄さを一言で言えば「オレが欲しかったものを先回りし実現してくれる」企業ってとこなんですが、
そんなぼんやりしたこと言われても何が良いのかわからないと思います。
そこで今回は今最も人間の言うことを聞いてくれる話題のアイツChatGPTくんにその凄さを言語化してもらおうと思います。
ただしChatGPTくんは、わからないことをわからないとは答えずに、それっぽい嘘をついてくるのでその信憑性に関しては私、楢原が業務歴9年の「マーケティング」というフィルタを通して、検証したいと思います。
まずは率直に下記のように聞いて見ました↓
すると成功に導いた5つのマーケティング戦略があると教えてくれました。
1つずつその戦略を紐解いていきたいと思います。
オマエ天才かよ!
初っ端からガツンとやられます。
GPTくんは簡単にまとめちゃってますが、これはもはや伝説となっている任天堂の初代開発部長横井軍平氏の「枯れた技術の水平思考※1」のことじゃないですか!
任天堂の歴史とは、ゲームのイノベーションの歴史と言っても過言ではありません。
その根幹はゲームによる新しい体験を提供し続けているところです。
しかも任天堂が面白いのは、そのほとんどが最先端技術で実現したものではなく、
既存技術、つまりすでに広く知られていてコストが充分に下がっている技術の新しい使い方を発見し、それを「遊び」として昇華することにあります。
それを横井氏は「枯れた技術の水平思考」と言ってのけたのです。
例えば、横井氏が1970年代に開発して大ヒットした光線銃は、銃口に豆電球を仕込みその標的にセンサーとして太陽電池を採用するというアイデアでした。
当時太陽電池はすでに珍しくありませんでしたがそれを「センサー」にするというアイデアの具現化は誰もやっていませんでした。
Wiiはコントローラーにモーションセンサーを埋め込むことで身体全体を使うゲーム体験、DSは上下二画面とタッチパネルの組み合わせで携帯の小画面というデメリットを克服、Switchは自宅でも外出先でも全く同じゲーム体験ができることを実現しました。
任天堂はそうやってゲーム業界を生き抜いてきた会社なのです。
※1 横井軍平ゲーム館: 「世界の任天堂」を築いた発想力 (ちくま文庫)
IP(intellectual property=知的財産)は現代の知識情報社会において非常に重要な資産です。
それは「マーケティング」という視点からも明らかです。
ビジネス界では「良いものを作っても必ずしも売れるわけではない」と半ば常識のように語られますが、自分で商売をしたことがある人ならば誰しもが実感することです。
ビジネスは、原則的に「商材・製品開発」+「マーケティング」+「セールス(営業)」の3つで成り立っています。
特に現代の情報化社会では「マーケティング」の重要性が非常に高まっており、適切な情報を適切な人々に情報を届けることができなければ、どんなに良い商品を作っても人知れず市場から姿を消してしまいます。
しかし、強力なIPはそのマーケティングの課題をある意味吹き飛ばしてしまいます。
例えば「ゼルダの新作」と聞けば、もうそれだけで任天堂ファン全員(オレ含む)は注目してくれるのです。
つい先日発売され空前の大ヒットとなっている「ゼルダの伝説 ティアーズオブキングダム」は、3年ほど前にたった1分ほどの動画でしかもゲーム内容はほとんど明らかになっていませんでしたが、それだけで大きく話題になっていました。
つまり製品の情報を届けるということのコストが非常に低くてすむのです。
GPTが示した下記3タイトルでも
マリオシリーズ 200種類以上
ポケモンシリーズ 20種類以上
ゼルダ 20種類以上
もの膨大な数の続編が出ており、そのほとんどがヒット作です。
任天堂はIPを存分に生かしてビジネスを行っているのです。
任天堂がソニーをはじめカプコンやコナミなど国内大手ゲームメーカーと大きく違うのは原則的に子供向けゲームが主力製品であることです。
任天堂ゲームのCEROレーティングはほとんどがA(=全年齢対象)です。特にマリオとポケモンシリーズは全てがCERO-Aとなっています。
元は花札屋でその後子供向け玩具メーカーとして名を馳せたこと決して無関係ではありませんが、とはいえここまで大きな企業になったのは、子供向けゲームを起点に意図的にターゲット層を広げて来たことにあります。
任天堂は2000年代以降ソニープレステに家庭用ゲーム機の覇権を奪われつつありましたが、Wiiによって大復活を遂げます。
その時の戦略が「お母さん主義」というものです。
「ゲーム機としての基本性能を向上させる技術は捨て、家族の機嫌をとるための技術は積極的に採用する、言わば「お母さん至上主義」の開発をやろうと言うのだ。」
—『任天堂“驚き”を生む方程式 (日本経済新聞出版)』井上理著
ゲームは子供向けという戦略を大幅に拡大し、家族全体に娯楽を届けることを目標としたのでした。
これこそが「マーケティング」そのものですが、それをゲーム機で戦略として形にするのは並大抵のことではありません。それを実現した結果、世の中に受け入れられ大成功を納めました。
任天堂が品質にこだわっていることは任天堂のゲームをやったことある人なら皆感じてることでしょう。
ただしGPTくんの言う「品質へのこだわり」が具体的には何を指してるのかわからなかったので、「厳格なスタンダードとは具体的に何のこと」かをさらに突っ込んで聞くと以下の回答が得られました。
「あーゼルダの伝説(ティアキン)」のことか
これ以上私から言えることはありませんw
最後に地味ですがこれもまたマーケティング視点して、とても大事なことを言ってます。
「直接的なカスタマーエンゲージメント」をぶっきらぼうなGPTくんに代わっ変わって、私が詳しく説明します。
以前であれば「メディア(=媒体)」という言葉の通り、それは媒体としての新聞やテレビなどを通してしか、多くの人に情報発信はできませんでした。
しかし、現在は独自の情報発信媒体を持ち情報発信をすることが可能になりました。
それを可能にしたのはもちろんインターネットとスマホです。
個人が自分の見たいものを見たい時に自由に受け取れるようになった今、企業は大手マスメディアに頼らなくても、ユーザーに直接情報を届けることができるようになったのです。
いわゆる「オウンドメディア」です。
現在任天堂がユーザーに提供する場は「Nintendo Direct」という動画がメインになっており、その動画を通して新製品の発表をしています。
以上です。
見事GPTくんが任天堂の素晴らしさを言語化してくれました。
任天堂のマーケティング戦略をたった数十秒で5つにまとめることなんて人間技じゃないっす。
だってAIだもの…
とはいえ、そのまとめの主張が本当に正しいかどうかは人間が確かめる必要があり、
私もその根拠と具体的事例を確かめるために今回2冊本を買いました。
AIに勉強させられたわけですね。まあそれも悪くないです。
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【著者プロフィール】
楢原一雅(ティネクト取締役)
マーケティング担当