このコンテンツは有料note「webライターとメディア運営者の、実践的教科書(安達裕哉著)」より転載しています。
ロシアの文豪、トルストイは「アンナ・カレーニナ」の冒頭で、次のように書きました。
幸せな家族はどれもみな同じようにみえるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある。
ところが、事業における「成功」と「失敗」となると、むしろ逆のようです。
「成功はそれぞれの成功の形があるが、失敗はどれもみな同じように見える。」が、言えるのです。
成功は再現性が低く、ケースバイケースです。
実際、成功者の語った通りにやっても、「運」や「能力」の壁に阻まれて、同じように成功できるとは限りません。
だが、失敗は逆です。
失敗にはパターンが存在します。
同じミスや愚行が、何度も繰り返されるのです。
ですから、逆に言えば「失敗」はノウハウの宝庫であり、失敗を研修の材料として取り上げている企業も多いのです。
「失敗の内容を学習し、改善し続ける」企業やビジネスパーソンが強いのはそのためです。
しかし、「失敗から学ぶ」ができるのは、主に本業においてです。
それは、試行回数が少ないため。
例えばほとんどの企業にとって、「オウンドメディア運営」は副次的な営為でありノウハウは極めてたまりにくいのです。
ですから、世の中では同じような「オウンドメディア運営の失敗」が、何度も起きています。
そこで私たちは、本稿で、メディア運営について、やってしまいがちな失敗のパターンについて述べることにします。
11の共通した、メディアの失敗要因
失敗の共通要因は、「メディアの目的を決める」といった上流の仕事から、日々の記事のアップといった、運用の段階にまで、それぞれ存在しています。
具体的には、下の11個が、「やってはいけないこと」。
なお、個々のケースでは、他にも「やってはいけないこと」がありますが、失敗メディアのほとんどは、以下の共通の要因を持っています。
このラインより上のエリアが無料で表示されます。
1.成功の定義をしない
2.読者層の大きさを考慮しない、高すぎる目標設定
3.十分な予算をつけない
4.チームにメディア運営の経験者がいない
5.サイトの見栄えに時間とお金をかけすぎる
6.単価の安いライターばかり募集する
7.記事の手直しに多大な時間を割く
8.記事が少なすぎる
9.アクセスソースを多様化しない
10.評価の期間が短すぎる
11.収益化の検討が遅い
1.成功の定義をしない
オウンドメディアを運営するうえで、最初に絶対にやっておかなければならないのは「成功の定義」です。
成功の定義、というと大仰な気もしますが、一言で言えば、成功とは「事業への貢献」のことです。
メディアを運営する企業が、メディアをどのように事業に貢献させたいのかを明らかにしないまま運営されたメディアは、開始半年程度で、
「何のためにやってるの?」と問われ、大体破綻します。
ポイントは、成功とは「ページビュー数」や「コンバージョン率」、あるいは「ユーザー数」といった指標で表せる、「メディアの目標」ではないこと。
メディアの成長には目標が必要ですが、「成功」はその枠の外にあるため、メディア開始時に十分検討されないケースが多く、それがメディアの破綻につながります。
2.読者層の大きさを考慮しない、高すぎる目標設定
二つ目の失敗要因は、「読者層の大きさ」を考慮せず、高すぎる目標を設定してしまっているケースです。
例えば「月間30万ページビュー」という目標は適切なのでしょうか。
それとも「月間100万人のユーザを目指す」という目標はどうでしょう。
あるいは「メディアから月間100回の問い合わせをもらう」という目標は正しい目標なのでしょうか。
これらの問いに対しては、「読者層の大きさによります」という回答になります。
例えば月間30万PVのメディアを作りたいとき、テーマを「人事」や「投資」という、皆が興味を持つテーマを扱うのであれば、適切だと言えます。
しかし「ウイルスベクター」という特殊なテーマを扱うメディアはどうか、と言えば、これは30万PVは難しい。10万PVですら無理でしょう。
なぜなら「そのテーマに興味を持っている人の絶対数」が非常に少ないからです。
あるいは「ゲーム」というテーマはどうでしょうか。
ゲーム全般の総合サイトなら、1000万PVも夢ではないでしょう。
あらゆるタイトルを網羅しているサイトは、非常に大きくなる可能性があります。
では特定のゲームタイトルについてのメディアだったらどうでしょう。
例えば「ファイナルファンタジー」という特化したテーマだったら?
その場合、目指すべき目標は、100万PVはおろか、30万PVよりもはるかに小さいものになるでしょう。
つまりメディアの規模の上限は、「扱う話題の大きさ」に制約されます。
マーケティングを勉強したことのある人であれば、これは当たり前の話です。
したがって、よくやりがちなメディア運営上の失敗は、「自社の商品に関連した話題」だけを扱うメディアにしてしまうことです。
例えば「リモートデスクトップ」のソフトウェアを扱う企業のオウンドメディアの記事が
「リモートデスクトップソフトの紹介」
「リモートデスクトップソフトを使ったリモートワークの方法」
「リモートデスクトップの設定」
など、リモートデスクトップの話題で占められていたら、月間数千PVもいけば、御の字です。
リモートデスクトップに興味を持っている人は、それほど多くないからです。
このように言うと、「リモートデスクトップに興味を持っている人だけが読んでくれればいい」という方がいます。
その考え方は「広告をうつ」時には正しいです。
広告は、「読んでほしい人だけに読ませる」のが目的だからです。
しかし、メディアは違います。
メディアは「リモートデスクトップに興味のない人」にも読んでもらう必要があります。
なぜなら、その人たちも「記事の伝達を媒介」をしてくれるからです。
できるだけ多くの人に読んでもらうためには、「ターゲット外の人々」にも読んでもらい、記事の拡散に協力してもらう必要があるのです。
記事の拡散を担う人々と、記事を読んで購入をする人は別です。
そして、どちらの人々にも読まれることが、メディアの記事は重要です。
つまり、目標を決定する際には、「読者層の大きさ」意識せねばなりません。
市場を無視して企業が存続しえないように、読者層の大きさを無視したメディアの存続も不可能なのです。
3.十分な予算をつけない
オウンドメディア運営に十分な予算は、一体どれくらいなのでしょう。
結論から言いますと、人ひとりの人件費+20本分原稿料/月のコストを見ておくのが、最低のラインです。
つまり、安く見積もっても1か月あたり、
40万(人件費)+3万円(原稿の単価)*10(本)=70万円/月
くらいを用意する必要があります。
そしてこの投資は、最低1~2年は続ける必要がありますから、1年で840万、2年で1680万程度の投資になります。
ただ、売上1億~3億程度の会社でも、この程度の販促費は使っているでしょうから、決して大きな数字ではありません。
逆に、この程度の予算をつけられないようであれば、オウンドメディア運営の効果を出すのは難しいので、素直に広告を使ったほうがいいと思います。
「記事の単価が大きすぎないでしょうか?」と言う方もいるでしょう。
が、原稿の単価を1万円/本 未満にすると記事の質が極端に下がります。
確かに2013年ごろまでは低品質の記事であっても、数さえそろえればGoogleを欺いて、そこそこ強いサイトを作ることができました。
でも、現在は無理です。
そういったサイトはGoogleから排除されてしまう上、当然、SNSでも拡散しないので、結局無駄な投資となります。長期的には割に合わないでしょう。
むしろ、記事数を多少抑えても、優れた質の記事を出すことがオウンドメディア運営には不可欠です。
極端な話、月に1本であっても「あたり」の記事が出れば、十分に元が取れます。
4.チームにメディア運営の経験者がいない
メディア運営の経験者が一人もいない状態で、メディア運営を試みるのはかなり難しいでしょう。
理由は簡単で、「やり方」はわかるけれど、「評価」が難しいからです。
どういうことでしょうか。
メディア運営の「やり方」は正直、簡単です。
ワードプレスなどでサイトを開設し、記事を作って、アップし、SNSで拡散をかけるだけ。
誰でもできる、簡単なお仕事です。
ただ、難しいのはそのメディアが
「うまくいっているのか」
「うまくいっていないのか」
を評価し、次のうち手を考えること。
例えば月10本の記事の投稿を、3か月運営してきた結果、ひと月あたりのアクセスは300までいった。
ただ、この300という数字、良いのか悪いのか?
悪いとすれば、何を改善すべきか?
目標をどの程度に置けばよいのか?
そういったことを判断するには、サイトの運営経験がないと厳しいのです。
最初の半年~1年の運営は特に難しく、判断できないまま、メディア運営が尻切れトンボになるケースは非常に多いです。
したがって、初期は素人集団でやるのではなく、経験者を雇うなり、外部の助力を仰ぐなりして、ノウハウを蓄積しなければなりません。
5.サイトの見栄えに時間とお金をかけすぎる
特に年配の方は、「サイトの見栄え(かっこよさ)」を気にしすぎて、サイトの制作に時間とお金をかけすぎる傾向にあります。
例えば、トップページの見栄えを気にして、デザイナーに何度もダメ出しをして、リリースが遅れるメディアをかなり見ました。
結論は「そんなことをしても全くメディアのビュー数とは関係ないからやめておけ」です。
現在、サイトの見た目、特にトップページの見た目はほとんどメディアの成功と関係がありません。見た目にこだわりすぎてリリースが遅れるよりも、さっさと記事を出して、読者の獲得をしたほうが絶対に良いです。
というのも、現在、サイトの閲覧の主流はスマートフォンだからです。
スマートフォンはPCに比べて画面が小さいため、デザイン上重要なのはかっこよさではなく、「記事タイトルがたくさん見えるか」です。
しかも、トップページの見栄えはさらに重要ではなく、現在の読者の流入経路はPC時代の「トップから」ではなく、「記事から」なのです。
したがって、記事からほかの記事に飛びやすくするデザイン上の工夫は必要ですが、トップページの見栄えは、はっきり言ってどうでもいいレベルの話の一つです。
とにかく早く記事を公開しましょう。
どうせ、素人の考える見栄えなど、大して役に立たないのです。
6.安いライターばかり募集する
「安いライター」とはどのくらいのライターかと言うと、1記事、3000文字程度としたとき、記事単価が1万円未満のライターのことを指します。
多くの人が勘違いをしているのですが、メディアにとって重要なのは
「安いライター」を集めることではありません。
重要なのは「単価の高いライター」にいかに書いてもらうかです。
質の良い記事を書くライターは、ほぼ確実に単価が高く、そして生み出すビューも大きい。
しかし、単価の高いライターは、よほどのことがないと、メディアに対して記事を寄稿してくれません。
泡沫メディアに寄稿するメリットがほとんどないからです。
要は、良いライターを確保することは、メディアの成功の条件の一つではありますが、最も厳しい条件の一つと言ってもよいでしょう。
例えば、patoさんという、有名ライターがいます。
彼の記事は、かなり注目を集めるのですが、彼は自分自身のブログでこう書いています。
特にWeb記事は返ってくる文章と返ってこない文章の差が激しいです。なぜなら記事に対するフィードバックが明確に激しいからです。
めちゃくちゃバズる記事があっても、極端な話、それは例えば取材対象がすごくて、そのパワーだけでバズった場合は、誰が書いたの? となることが少ないです。何度も言いますが、誰が書いたのか気になるのはほぼ同業者です。
そうではなくて、着眼点がすごい、調理方法がすごいという場合も、やはり誰が書いたの、とはあまりなりません。大部分の読む人にとって、誰が書いたのかはあまり重要なことではないのです。
けれども、そこで「自分が書いた」と存在感を発揮することは重要です。それが返ってくる記事ということになります。
いいライターほど、「自分が書いた」という実績をどうやってアピールするかを気にします。
記事を書くことのできる時間は限られていますから、原稿料を積まれても、泡沫メディアに寄稿することは「無駄」とみなされます。
彼らは、書いたものが拡散しないメディアに寄稿したくないのです。
企業の成功が人材獲得にあるように、メディアの成功も人材獲得にあります。
ライターに妥協しては良いメディアはできません。
なお、「書くのが苦手な社員」に、無理して記事を書かせるのは時間と資源の無駄なので、とてもおすすめはできません。
記事がきちんとかける人は、100人のうち1~2名です。
社員は本業に専念させ、ライティングは専門家に任せましょう。
システム開発と同じです。
7.記事の手直しに多大な時間を割く
安いライターを使うと、編集作業に大きな時間をとられます。
これも、大きな失敗要因の一つです。
記事の手直しは、基本的に無駄だと考えたほうが良いからです。
悪い素材を使った寿司を、すし職人の腕でカバーすることが難しいように、良くない記事を、編集の力でよくすることはできません。
したがって、「安いライターを使う」→「編集で何とかする」ということに力を使うのは、100%無駄です。
では、編集は「作業」ではなく、何に時間を使うべきか。
それは
「メディアを事業貢献させること」
「メディアの扱う話題を決めること」
「アクセスソースの多様化(後述)」
「ライター探し」
「効果測定・改善」
です。
記事に手入れをしている編集は、根本的に時間の使い方を間違っています。
真に編集が時間を使うべきは、
「メディアは今、事業貢献できているか?」を問い、
「どんな話題を扱えば、事業貢献につながるか?」を考え、
「アクセスソースを多様化するには、どんな施策をすればよいか?」を検討し、
「読まれる記事をかけるライター」を探し、
「メディアの改善ポイントはどこか?」を分析して改善することです。
編集は、これ以外の仕事をしてはなりません。
特にライター探しは最も重要な仕事の一つで、これをやらない編集は、仕事をさぼっていると言ってもよいでしょう。
常に良いライターを発掘する努力をし、手直し不要で出せるように品質管理を行うのが、編集の大きな役目です。
8.記事が少なすぎる
記事が少なすぎて失敗しているメディアは非常に多いです。
では「少ない」とはどれくらいか。
具体的な数で言いましょう。
これは前の記事でも書かせていただきましたが、「PVを伸ばしたいなら、月10記事は必ず必要」と申し上げていますが、もちろん、この10記事は「質が高いこと」を前提としています。
週に約1記事程度ではダメか、と仰る方もいますが、我々は、それでは少なすぎる、という判断をしています。
なぜ最低10記事なのか。
これは、「記事数とPVが比例する」という理由によるものではありません。実際のところ、アクセスはごく少ないヒット記事が、大量に持ってくるため、「記事数」を単純に増やしても、PVには繋がらないのです。
実は、記事数を確保する理由は「リピーター」を増やせるからです。
頻度高く記事を発行しているサイトは、固定ファンがつき、再訪問率が高くなります。
しかも、固めて記事を投稿するサイトよりも平均的にまんべんなく記事をアップしたほうが、再訪問率が高まります。
「1日で10記事アップして、あとはバッタリ1ヶ月更新が途絶える」より、「1週間に2回ずつアップして、1ヶ月で計10記事アップする」ほうが運営としては良いのです。
その理由を、以前の記事でこのように書きました。
例えば、ある記事がAさんという方の目に入り、気に入っていただいたとします。
Aさんはサイトを見て、他にも面白そうな記事があるので後で読もうと、サイトをブックマーク(もしくはSNSをフォロー)しました。その時はAさんは「ホット」な状態、つまり「ファン」の一歩手前の状態です。
そしてAさんは1週間後、「新しい記事はないかな?」とサイトを再訪問しました。ところが、サイトは更新されていません。Aさんはがっかりして、サイトを閉じました。
しかし、Aさんはあきらめず、さらに1週間後、「なにか面白い記事はないかな?」とサイトを再々訪問しましたところが今回も、サイトは更新されていません。Aさんはがっかりしてサイトを閉じ、そのサイトをすっかり忘れてしまいました。
メディアの成長に最も重要な「固定ファン」を増やすためには、サイトにそれなりの頻度で記事がアップされている」というのも、重要なことなのです。
このことは、Twitterのフォロワーを増やしたり、Youtubeのチャンネル登録者を増やしたりすることと、まったく同じことです。
その境界値が、経験的に週に2,ないし3回の更新頻度です。
したがって「ブログはとにかく毎日かけ」という言説には、合理性があります。要は「憶えてもらえる」。単純接触効果により、好感度が上がりやすくなることを利用しない手はないでしょう。
9.アクセスソースを多様化しない
SEO対策のみを行っている、Googleの検索流入に頼り切ったメディア運営をよく見かけますが、破綻しやすいメディアの代表格です。
平たく言うと、Googleのアルゴリズムに首根っこをつかまれている状態ですので、もしGoogleのアルゴリズム変更が、サイトに不利なものであった場合、アクセス数が1/5、1/10にいきなり落ちる可能性がある。
それを許容できる企業はほとんどありません。
「復活の見込みがない」と断定され、その時点でTHE ENDです。
したがって、メディアへの流入経路は、常に多様化を図る必要があります。
具体的には以下のような経路によって、アクセスを増やしていく必要があります。
・SNS(Twitter、Facebook、instagramなど)
・プレスリリース
・コーポレートサイト
・ニュースアプリ(SmartNews/Newspicksなど)
・メルマガ
・動画アプリ(Youtubeなど)
・音声アプリ(podcast/Voicyなど)
・人材系サービス(Linkedin/Wantedly)
この中で特に重要なのが、SNSとニュースアプリです。
育てれば、Googleよりもはるかに大きなアクセスを獲得できるからです。
しかし、メディアへの流入経路の多様化は、非常に時間がかかります。
SNSをゼロから立ち上げた場合、ある程度の流入を見込めるようになるためにはアカウントを1年程度運用する必要があります。
あるいはメルマガやそのほかの施策についても、インスタントに成果のあがるようなものではありません。
GoogleのSEOは最も手っ取り早く、手間がかからないのですが、
その分、余った時間は、アクセスソースの多様化につぎ込みましょう。
Googleから嫌われても、アクセスソースを多様化しておけば、ダメージは軽微で済みます。
10.「成功」の評価期間が短すぎる
ダメなオウンドメディア運営の一つが、「「成功」の評価期間が短すぎる」という問題です。
要するに、短期間でのビジネス貢献を目標とすると、たいてい期待通りにいかず、破綻します。
繰り返しになりますが、「手っ取り早く、売り上げにつながる成果が欲しい」のであれば、オウンドメディア運営にそれを託してはなりません。
そういったインスタントな費用対効果が期待できるのは、広告施策です。
ではなぜ広告ではなく、「オウンドメディア」を運営しなければならないのか。
いくつか理由はありますが、広告に比べてオウンドメディアが優れている点は、以下のようなものです。
・「広告」に反応しにくい、潜在層やインテリ層に対してアプローチできる
・投資を辞めても、コンテンツがストックされるので効果が持続する
・通常のネット広告よりも豊富な情報を届けることができる
・バズを起こし、ファンを作ることができる
これらはいずれも、広告ではなかなか実現しえないことです。
その裏返しとして、「今すぐ買いたい人」を集めるわけではないオウンドメディア運営は、長期間にわたって投資の時期が続き、回収は1年、2年後ということが十分にあり得ます。
例えば、SEO一つとっても、Google公式情報によれば「効果が出るまでに、半年から1年程度かかる」とされています。
SNSでフォロワー数を増やすのも、ゼロから1000フォロワーを集めるのに、半年程度は見なければなりません。
したがって、短すぎる評価期間は、オウンドメディア運営にとって害悪でしかありません。
短期的な評価をするのであれば、「1か月、2か月程度で検証できる目標値」をつくり(例えば滞在時間、SNSでのフォロワー増加数、一記事当たりのPV
PV数など)それを検証するにとどめたほうが無難です。
11.収益化の検討が遅い
単純に言えば、「ページビューが増えてから、収益化を検討しよう」というのは、遅すぎます。
収益化はメディア立ち上げと同時に検討・実施すべきです。
理由は2つあります。
1.ページビューが少なくとも、収益化は実現できる
メディアの収益化を、広告によって実現する場合は、ページビューが多くなければ収益化は難しいのは事実です。
しかし一般的には、オウンドメディア運営による収益は、基本的には「リードの創出」という観点で実現できます。
そして、自社商材のリードを獲得するだけであれば、サイト全体のページビューが、数百もあれば、十分創出可能なのです。
したがって、メディアの立ち上げ当初からリード創出を積極的にプロモーションするべきでしょう。
2.試行錯誤の回数を増やせる
リードジェネレーションは、すぐに効果が出るわけではありません。
PRの文言、フック商材の設定、問い合わせフォームの改良、ランディングページの制作と、ありとあらゆる方法を試行錯誤する必要があります。
したがって、これもメディアのアクセスを増やすのと同様に長期戦を覚悟する必要がありますが、早めに取り組めば取り組むほど、結果を出しやすい。
したがって、サイトが小さいころうちからあれこれ試して、サイトの成長とともにリード獲得も増やしていくようにすれば、将来的にかなりの成功が見込めます。
以上、失敗したオウンドメディアの、11の共通項でした。
お役立ていただければ幸いです。
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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)
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