コンテンツマーケティングの種類
コンテンツマーケティングは、見込み客が知りたい情報を継続的に提供し、信頼を積み上げて最終的な成約(コンバージョン)につなげる考え方です。
本記事の中心テーマは「コンテンツマーケティング」と「種類」です。まず全体像を押さえましょう。
種類とは、掲載先や表現形式、目的の違いによって分類され、代表的なものにブログやコラム、動画、SNS(交流サイト)、メール、ニュースレター、ホワイトペーパー(課題解決の資料)、ランディングページ(LP。流入直後の到達ページ)があります。
これらを顧客の行動段階に合わせて組み合わせるのが基本設計です。日本国内では記事を軸にSEO(検索結果で上位表示を狙う取り組み)での自然検索と、SNSでの拡散を両立し、LPやホワイトペーパー、ウェビナー(オンラインセミナー)、メールへ導線をつなぐ設計が王道です。
とくにハウツーやQ&A、事例、インタビューなどのコンテンツは、信頼性と回遊性を高めます(参考*1)。
近年はAI検索や要約機能の浸透により、一次情報の提示、出典の明示、専門家監修の重要性が一段と高まりました。
検索体験は断片化しやすいため、Why型で問題設定を明確にし、How型で実行可能な手順を示す構成が有効です。ユーザーの検索意図に沿った導線と、顧客の情報探索の流れを重ね合わせる設計が成果に直結します。
制作面では、専門性と再現性を担保しつつ、発信頻度を落とさない運用体制の構築が求められます。すなわち、種類の選定と運用設計は表裏一体です(参考*2)。
本記事では、まず目的別の種類と到達指標、次にチャネル別の活用シーン、さらに生成AI時代の制作手順、形式別の成功事例、B2BとB2Cの違い、最後に導入方法と費用対効果まで順に解説します。
読みながら、自社のターゲットやペルソナ、KPI(重要な中間指標)を思い浮かべ、どの種類をどの順番で動かすかを具体化してみてください。前提を共有できれば、社内プレゼンの合意形成も進みやすくなります。
目的別の種類と到達指標の整理
目的が明確でないと、種類の選定はぶれます。認知、興味・関心、情報収集、比較検討、購入という段階ごとに、相性の良い種類を当てはめましょう。
日本国内の実務では、認知や興味には記事・SNS・動画、情報収集には記事・動画・ウェビナー(オンラインセミナー)・ホワイトペーパー(課題解決の資料)・メール、比較検討には事例記事・ホワイトペーパー・メール、購入にはLP(到達ページ)や事例記事が効果的と整理できます。
実績例として、StockSunが運営に関わるエンジニア人材紹介分野のオウンドメディアで月間約20万PV(ページビュー)、問い合わせ約100件を獲得した事例が公開されています。記事と検索流入を核に段階的に成約まで設計する有効性が示されています(参考*3)。
では段階ごとの到達指標は何か。たとえば認知では表示回数、到達人数、検索順位や被リンク数。興味・関心ではページ閲覧数、滞在時間、スクロール率。情報収集では資料DL(ダウンロード)数やウェビナー申込数。
比較検討では指名検索や再訪率、メール開封率。購入ではCVR(成約率)とCPA(1件あたり獲得費用)、LTV(顧客生涯価値)の初期値などが典型です。
運用ではKGI(最終目標)とKPI(過程の指標)を分け、KGIに売上や受注数、KPIに流入・回遊・成約のプロセス指標を置いて定点観測し、結果に応じて定期的に見直します。
配信はSEO・SNS・メールを組み合わせ、リマーケティング(過去の訪問者へ再度配信)や報道発表の活用で露出を広げる設計が有効です。評価は月次の推移と四半期の仮説検証を併用して精度を高めましょう(参考*4)。
なお、KPIは種類の特性に合わせます。ブログやコラムなら検索流入と自然被リンク、動画なら再生率と平均視聴時間、SNSなら保存と共有、メールやニュースレターなら開封とクリック、ホワイトペーパーならDL後の商談化率、LPならCVRが軸です。
段階ごとに到達点を数値で置き、可視化してチームで共有しておくと、次章以降のチャネル設計や制作優先度の意思決定が速くなります。
チャネル別の種類と活用シーン事例
チャネルの基本形は、オウンドメディア、アーンドメディア、ペイドメディアの3類型です。オウンドは自社サイトやブログ、メール、パンフレットなど、自社で保有し運用する媒体です。
アーンドはSNSや口コミ、レビューサイトなど、第三者の共有や評価を通じて到達する媒体です。ペイドは検索広告やディスプレイ広告、動画広告、テレビCM、新聞広告、看板などの有料媒体です。
運用では、オウンドを中心に資産を蓄積し、アーンドで拡散し、必要に応じてペイドで増幅する三位一体の設計が理にかないます。動画や音声、アプリ、ウェビナー(オンラインセミナー)といった媒体横断の設計も効果的です(参考*5)。
活用シーンを整理します。オウンドでは、SEOでの中長期の集客を狙うブログやコラム、比較検討を後押しする事例記事、見込み客情報の獲得に役立つホワイトペーパー、直接の成約を狙うLPが主役です。アーンドでは、SNS上のUGC(利用者が自ら作成した投稿)や口コミの増幅が重要で、短い動画や横スライド画像、情報図解(インフォグラフィック)は拡散に向きます。
ペイドでは、認知段階に動画広告、比較検討にはリマーケティング、購入段階に検索広告で指名キーワードを押さえる設計が効きます。
日本国内では、記事で獲得した検索流入をメールやニュースレターに引き継ぎ、定期的な配信で再訪を促す運用が定番です。
海外では、SNSを起点に短い動画とライブ配信で認知を取り、音声番組(ポッドキャスト)やニュースレターで深い関係を築く設計が目立ちます。チャネルは単独で完結させず、相互に送客する導線を必ず設ける。導線の抜け漏れは機会損失に直結します。
生成AI時代の制作ワークフロー
生成AIの活用で、種類の幅と制作速度は大きく変わりました。
とくに参加型の種類が台頭し、クイズやアンケート、双方向のメール、チャットボット、情報図解のインタラクティブ版、診断や計算ツールが有効です。能動的な参加を促し、関与度と成約、ファーストパーティデータ(自社で直接取得した個人関連データ)の取得を同時に実現します。
海外ではAllbirdsのように有料記事枠と連動した体験設計や、Shopify関連ブランドの埋め込み横スライド画像、診断コンテンツを活用する事例が報告されています。日本国内でも、資料請求前の簡易診断や、営業連携の自動化と相性が良い分野です(参考*6)。
制作の手順は次の通りです。構想段階で、体験の道筋(ジャーニー)別に必要な種類をマップ化します。下書き段階で、生成AIを使って骨子、見出し案、例示の叩き台を作成し、一次情報の調査と取材メモを紐付けます。
精緻化段階で、専門家の監修と出典確認を入れ、事実と見解を分けます。多面展開段階で、記事を基に情報図解や短い動画、メール原稿、LPの要素に再編集します。運用段階で、分析結果に基づきリライトし、ヒートマップ(ページ内の注目度を可視化する図)で離脱点を補修します。
リスク管理も欠かせません。生成AIの草稿は盗用検知と出典照合を通し、引用は必ず明記します。個人情報や機密情報は匿名化し、公開前レビューで法務・ブランドガイドラインを確認します。
AIは骨子作成や校正、要約に強く、人が一次情報の収集、独自視点の提示、最終判断を担うと品質が安定します。運用KPIは、制作工数の削減率、公開までの工期、リライト頻度、再利用点数など業務指標も含め、ROI(投資対効果)の全体像で評価しましょう。
コンテンツ形式の種類と成功事例集
形式ごとに強みが異なります。動画は視覚的訴求と記憶定着に優れ、世界のデジタル動画視聴者は約33億7000万人、平均視聴時間は週17時間というデータがあります。SNSでは、動画がテキストや画像より共有が約12倍多いという報告もあります。形式はブランド紹介、解説、製品デモ、ブログ動画化、インタビューや質疑応答、顧客の声や事例研究、ハウツー、ウェビナー(オンラインセミナー)再放送などが代表的で、各段階の目標に寄与します。日本国内でも、製品の使い方動画や導入企業の声は比較検討の後押しに直結します(参考*7)。
記事形式の中でも、オウンドメディアで成果が出やすいのは、ノウハウ記事、まとめ記事、インタビュー、事例、イベントレポート、調査レポートの6種類です。ノウハウ記事は手順と注意点で疑問を解消し、まとめ記事は比較導線と内部リンクで回遊を促進、インタビューは人の声で信頼と共感を醸成、事例は導入後の数値で意思決定を後押し、イベントレポートは学びの要約で拡散、調査レポートは市場動向の一次情報として被リンクと権威性を高めます。横展開で、メールマガジンやSNS、営業資料への再利用を前提に企画すると、資産価値が増します(参考*8)。
海外では、解説動画と情報図解の組み合わせ、音声番組(ポッドキャスト)とニュースレターの併用が主流で、ストック型の知識蓄積に強みがあります。日本国内では、調査レポートをホワイトペーパー化してDLを促し、メール配信とウェビナー招待で関係性を深める設計が堅実です。いずれも、形式の種類を単体で見るのではなく、シリーズ化と再編集を前提に、KPIと紐付けるのが成功の共通点です。
B2BとB2Cで異なる種類と設計
B2Bは商談化までの意思決定者が多く、情報の裏取りや合意形成が重視されます。そのため、種類はホワイトペーパー、事例記事、技術ブログ、ウェビナー(オンラインセミナー)、チェックリスト、比較表、導入手順書など、検討材料を提供する形式が中心になります。メールやニュースレターは議事メモのように活用され、営業資料と連動して意思決定を前に進めます。
B2Cは意思決定速度が速く、感情の動きが大きく影響します。SNSの短い動画、UGC(利用者が自ら作成した投稿)、情報図解、GIF画像やミーム、レビュー、購入チェックリストなど、軽量かつ体験に近い種類が有利です。ブランドの世界観を伝える物語性と、購入に近いLPを橋渡しするコラムやQ&Aが効きます。
海外の整理では、ブログ記事、動画、SNS投稿、電子書籍、ホワイトペーパー、チェックリスト、インタビュー、ケーススタディ(事例研究)、情報図解、音声番組(ポッドキャスト)、ニュースレター、ネイティブ広告(媒体の体裁に合わせた広告)など、多種類を段階に合わせて組み合わせます。大切なのは、読者層の理解とデータの活用、リソースに応じた現実的な選択、試行の積み重ねです。B2B、B2Cどちらでも、目的に沿わない種類の追加はノイズになります。選択と集中で成果を積み上げていきましょう(参考*9)。
具体的な導入方法と費用対効果
導入は小規模に始めても十分に機能します。初月は現状分析とペルソナ定義、検索意図の棚卸し、既存資産の棚卸しを行い、次に3か月の運用仮説を立てます。たとえば、月4本のブログと月1本の事例、四半期で1本の調査レポート、毎週のニュースレター配信を基本形にし、公開週にSNSの再編集で3点セットを回すといった設計です。
生成AIは、構成案の作成、見出しの多案化、リライトの高速化、要約とメール化に活用し、一次情報の収集や最終判断は人が担います。
KPIは流入、滞在、CVR(成約率)、資料DL(ダウンロード)、商談化といった段階指標に加え、制作工数、公開までの工期、再利用点数、CPA(1件あたり獲得費用)、LTV(顧客生涯価値)を含めて評価します。
費用対効果を高める鍵は、内製と外部委託の適切な配分です。
外部パートナーを使う場合は、得意分野、料金相場、運用支援の有無、機密保持体制、企画から納品までの流れ、SEO(検索結果で上位表示を狙う取り組み)の実績の有無を確認します。
総合型か専門型か、業界特化型かで得意が異なるため、目的に合う提案力と妥当な価格かを複数社比較で見極めます。メリットは質と運用力の補完、デメリットは費用とコミュニケーション、ノウハウが社内に残りにくい点です。見積もりは複数取り、納期と成果物の定義を文章で取り交わすと、後工程の手戻りが減ります(参考*10)。
最後に、社内合意形成のコツです。到達指標を四半期単位で数値化し、上振れと下振れの幅を先に共有します。生成AI活用による工数圧縮の見込みを業務KPIとして明示し、品質レビューと法務・ガバナンスのチェックポイントを作業手順に組み込みます。国内外の実例を資料化し、種類ごとの役割と再利用の設計、費用対効果の見通しを1枚にまとめて提示すると、経営層の理解が早まります。今日から始められる最小単位を決め、検証と改善のサイクルを回し続けることが、SEO強化とブランド資産の蓄積につながります。
監修者
楢原 一雅(ならはら かずまさ)
ティネクト株式会社 取締役
広告業界・教育業界での営業経験を経て、2014年にティネクトを共同創業。オウンドメディア「Books&Apps」を立ち上げ、月間200万PV超のメディアに成長させる。現在はBtoB企業向けに、コンテンツマーケティング支援を推進。
出典
- (*1) ナイルのマーケティング相談室 – コンテンツマーケティングの種類は?それぞれの特徴を解説
- (*2) 株式会社アイティベル – 効果を高めるコンテンツマーケティングの種類と手法の使いどころやジャーニー例を解説
- (*3) StockSun株式会社 – コンテンツマーケティングの種類は?それぞれの特徴と自社に最適な選び方を解説
- (*4) ナイルのマーケティング相談室 – コンテンツマーケティングの手法とは?コンテンツの形式と発信のやり方
- (*5) コンテンツマーケティングのメディアとは? さまざまなメディアタイプの特徴を解説 – パスカルブログ
- (*6) Shopify – インタラクティブコンテンツとは?6タイプを解説
- (*7) Igniting Business – 8 Types of Marketing Videos with Examples for Your Content Marketing Strategy
- (*8) 横浜のホームページ制作なら株式会社クオリティロードWeb制作チーム – 横浜のホームページ制作なら株式会社クオリティロードWeb制作チーム
- (*9) Content Snare – Top 10 high performing types of content marketing
- (*10) 記事作成代行ウルトラ|LLMO×SEO記事制作・オウンドメディア代行会社 – コンテンツ制作会社おすすめ22選を大手などタイプ別厳選|費用や選び方