【具体例つき】読まれた記事を分析してわかる、バズのタイプ別、傾向と対策。

このコンテンツは有料note「webライターとメディア運営者の、実践的教科書(安達裕哉著)」より転載しています。


webメディアに掲載された記事は時として、文字通り、けた外れのアクセスを生み出すことがあります。いわゆる「バズ」です。

 
「バズ」はメディア運営者にとって思わぬボーナスとなりますが、意図的に起こすことができないという理由で、否定的にとらえる人もいます。
例えば、
・バズは重要ではない
・バズは一過性
・バズ狙いは「煽り狙い」になり、記事の質を下げる

といったコメントです。

 
ただ、そういったコメントの多くは「バズ」を偏った目で見ています。
実際、バズは一過性ではなく、煽りは不要、そして何より、新規の購読者を数多く集めてくれる、重要な要素の一つです。
もちろん、中には否定的な反応をする読者もいますが、彼らですら「記事の伝播」には一役買ってくれる上、その向こうには好意的な読者も数多くいるのです。
 
また、検索エンジンにも良い影響を与えます。
事実、Googleは公式のYouTubeチャンネルで、バズを起こすことは、検索結果にも良い影響を与える、と述べています。(出典:https://www.youtube.com/watch?v=piSvFxV_M04
 
そう考えていくと「バズ」の再現は、メディア運営者にとって、必須のノウハウの一つであり、決して知っておいて損のない事柄でしょう。
再現性がないので、扱えない、というのはもはや言い訳にすぎません。
 

「バズ」の分類

さて、具体例の紹介とともに、「バズ」の体系について、若干説明を加えたいと思います。
というのも、弊社では「バズ」を経路別に分類し、それぞれの経路ごとの対策を意識しながら、ライターの選定と、編集の作業を行っているからです。
 
1.SNS型
いわゆる「正統派」のバズであり、SNSによって引き起こされるバズです。
3月10日現在、ビュー数は約60万です。
その内訳を以下に示します。
1位 Twitter……約36万PV
2位 direct……約8.4万PV
3位 SmartNews……約6万PV
4位 はてなブックマーク……約3.5万PV
5位 newspicks……約2.5万PV
6位 Facebook……約8千PV
7位 Googleオーガニック検索……約6千PV
8位 Yahooニュース……約5千PV
9位 Gigazine……約2千5百PV
ビュー数のかなりの部分が、Twitterによって生み出されていることがわかります。
「ライターは、Twitterをやるべき」と私が強くお勧めする理由は、こうした理由からです。
なお、この時の拡散に利用されたTwitterアカウントのフォロワー数は
メディアの公式アカウントが約2万、著者ののアカウントが約8千ですから、合計2万8千。
これくらいのフォロワー数であっても、数十万PVを出すことができる、と考えてよいとでしょう。
 
また、こうしてみると、FacebookとTwitterはもはや、SNSとして同列に見ることはできず、拡散の強さがまったく異なることがわかります。
「拡散力」という意味においては、Facebookはもはや全く当てにならず、SmartNewsやはてなブックマークにすら及ばない有様です。
 
Facebookが過疎っている、ということも十分考えられますが、むしろ説得力のある説明としては、「Facebookから外に出てこない(出てこれない)」のでしょう。
ちなみに本記事は「いいね!」が8500ついていますが、実際に記事を見た方は8000程度。
要するに……読んでない、ってことですね。Facebookを無理にやる必要はありません。
 
一昔前にはやっていた「はてなブックマーク」も、この記事には2700以上のブックマークがついていますが、アクセスはわずか3.5万。
これも無理してやる必要は全くありません。Twitterのおまけみたいなものです。
なお、この数値を参考にすれば、ブックマーク数から、大体のはてな上におけるビュー数は推測できそうです。
 
さて、こうしたSNS型のバズ記事の特色は何でしょうか。
それは2点あります。
・多くの人が「体験したことがあるエピソード」が含まれていること
・上のエピソードに対し、新しい考察が含まれていること(≒意外性)
 
上の「エピソード」は話題のマーケットの大きさを示し、下の「新しい考察」は他との差別化につながります。
いわゆる、マイケル・ポーターの「競争戦略」と同じことを言っているのだと考えてよいかもしれません。
 
大きなマーケットで、他と差別化された記事を書くこと。
これが「SNSで拡散される記事」の本質的な条件です。
詳しくは次の記事が参考になるでしょう。
 
2.検索エンジン型
さて、「SNSでバズ」は正統派のバズ記事です。
ところが、検索エンジンを通じても、バズを創出できることを知っている人はまだ少数派ではないでしょうか。
「検索エンジンでバズ、そんなことできるわけないでしょう」
という方もいるかもしれませんが、実はできます。
しかもさらに、3つのタイプに分かれますので、以下に記します。
このラインより上のエリアが無料で表示されます。
 
1.緊急ニーズタイプ
2.ニュース先取りタイプ
3.アンダーグラウンドタイプ
 
まず、「緊急ニーズタイプ」からです。

具体的な記事はこちらです。

この記事、初出は2019年の1月で、2年以上経つ記事ですが、リライトを繰り返して現在に至り、実はすでに累計で26万PVもある、お化け記事です。
 
アクセスの内訳は以下。
1位 Googleオーガニック検索……約17万PV
2位 Yahooオーガニック検索……約7万PV
ただしこの記事、ご想像の通り、検索からの流入がコンスタントにあるわけではありません。
では、どういう時に読まれるのかと言えば、もちろん「LINEに不具合」があったときに、大きく読まれる、つまりバズる記事です
 
こうした記事が成立する条件としては、2点あります。
1.「公式サイト」が十分な対策と情報を提供していない
2.皆が使っているサービスである
商品やサービスに、何かしらの不具合が障害が発生すると、通常、ほとんどの人は公式サイトを見に行きます。
ところが、サポートがしっかりしていないサービスも多い。
そういう隙間には、このような記事を通じて、「公式サイト以外にもこんなところで確認できるよ!」と呼び掛けてあげるだけで、定期的にバズが発生します。
 
次に「ニュース先取りタイプ」です。
具体的な事例は、こちらです。
こちらの累計ページビューは、約17万PV。
「Google Pay」という超ビッグワードで、17万PVものビューを獲得できたのは、いったいなぜなのでしょう。
 
その秘密は「時間差」です。
記事の冒頭には
”Googleの決済サービス「Google Pay」は、2018年5月のアップデートでSuicaとWAONに対応しました。”
とあります。しかし、この記事の発行は2018年3月です。
実は、この時Google Payはマイナーなサービスであり、日本ではほとんど知られていませんでした。
つまり、Google Payというサービスについて書かれた記事は、「報道機関」や「ニュースサイト」以外には存在していなかったのです。
 
この
「超ビッグネームの会社が出したサービス」なのに、
「報道以外にロクな記事が存在していない」という状態は、かなり中小メディアにとって、有利な状況です。
具体的に言えば、かつてのGoogle、Apple、Amazonなどの新商品の固有名詞は、金を突っ込んでマーケティングされますので、検索回数がこれから大きく伸びることが間違いないキーワードです。
そこに先行して記事を投入すれば、「日本ではやりだしたころ」には、大きくバズる、というわけです。
 
我々はこの方法を使って、すでにいくつもの記事をバズらせることに成功しており、例えば現在では「Amazon Luna」というサービスが、将来的にバズる可能性があるので、先行して記事を発行しています。
 
なお、記事を作るときの注意点ですが、「報道機関」の報道をそのまま持ってくるだけでは付加価値が出ませんので、きちんと原典と海外のサイトをあたること。そして、できうる限り網羅的に情報を記述することです。
なお、こうした記事はサービスが普及し、大手がwebページに掲載してきた時点でアクセスされなくなります。
あくまで先取り、「期限付き記事」だということに留意してください。
 
最後に、「アンダーグラウンドタイプ」です。
はっきり言えば、SNSで一番バズらせにくいネタは何かと言えば、これは「コンプレックス商材」に関するものです。
例えば容姿や性の悩みに関するもの、実名では堂々と議論しにくく、匿名で扱いたいネタに関しては、Twitterやニュースサイトでバズることはありません。(削除されたりもします)
 
では、こうした情報はどのようにバズることがあるのか。
これは「検索経由」です。
実は検索経由ですでに2万PV以上を獲得しており、「AV男優 なり方」というキーワードでは、本職のAV男優よりも上位の検索順位を獲得しています。
 
これは単なるSEOでは?と思う方がいるかもしれませんが、実はこの記事、検索上位に来たのは、「まとめサイト」でバズったからなのです。
実名で使っている人がいるSNSの世界ではこのようなな話題は避けられがちですが、完全匿名の世界では、しばしばこうした記事がよく取り上げられます。
その際に重要なのは、「まとめサイト」の特定のジャンルを狙い撃ちすること。
まとめサイトそのものは検索エンジンでは全く評価されなくなりましたが、「まとめサイトからのリンク」は検索順位に大きな影響があります。
 
以上「SNS経由のバズ」「検索経由のバズ」の2つ、そしてその3つのサブカテゴリについて紹介しました。
メディアやブログを運営する以上、「バズ」の問題にはいずれ、取り組まねばなりません。
健闘を祈ります。
 
 

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(2024/2/22更新)