「インタビュー記事」はなぜ、呆れるほど読まれないのか。|安達裕哉

このコンテンツは有料note「webライターとメディア運営者の、実践的教科書(安達裕哉著)」より転載しています。


とタイトルで言っていてなんですが、最近は気軽にインタビューに応じている安達です。

 

さて、オウンドメディアを運営するときに、コンテンツの企画としてよく上がってくるのがインタビュー記事です。
例えば先日、某メディアの方から
「安達さん、◯◯さんへのインタビュー記事ってどうですかね?業界では有名なんですが」という相談を受けました。
「なんでインタビュー記事なんですか?」と聞いたところ、
「自分たちでコンテンツを生み出すのは厳しいが、面白い人に話を聞けば、コンテンツを量産できるから」という回答がありました。

 

ま、結論から言いますと、「やりたいならどうぞ」なのですが、目的が「手っ取り早くビューがほしい」であれば、よほどの有名人でなければ、目的は果たせないと思います。

 

インタビュー記事でも、ある程度ビューが取れるのは
・インタビューを受ける人が、フォロワーを数万人程度持っている
・関係者/専門家による暴露話・裏話である
の2つの場合のみです。
なお、予想ビュー数は、インタビューを受ける方のフォロワー数×5%〜10%程度に落ち着くことが多く、例えばフォロワー数20万人のインフルエンサーを起用した場合には最大で2万PV程度を見込むことができます。
なお、暴露話や裏話の場合は、半ば「炎上」覚悟で記事を出すことになりますので、ビュー数の上限はもっと大きいです。
まあ要するに「スクープ」ってやつです。
それ以外の「インタビュー記事」は、まあ、読まれません。

 

「インタビュー記事」はなぜ読まれないか。

ではなぜ「インタビュー記事」は読まれないのか。
それは2つの理由があります。
 
1つ目は単純です。「読むのが面倒」だからです。例えば、こんなやつです。
 
メッチャクチャ読まれている記事だったらすみません。でも、多分読まれていないでしょう。
この記事がタイムラインに流れてきて、ぱっと見た瞬間ほとんどの人が思うのは「誰だよ……。」です。
基本的に自分の知らない人のインタビューに興味を持つほど、みんな暇ではないので、「インタビュー」というタイトルを見た瞬間、「開くのが面倒だな」と、すっと流します。

 

もう一つは、インタビュー記事は「主張を理解するのに時間がかかる」という点です。
ツイートのリンク先に飛ぶとわかりますが、通常の記事と異なりインタビューは「会話」で進むので、結論を知るのに時間がかかります。
そうすると、記事の途中で「面倒だな」と読者は感じてしまい、読むのをやめてしまいます。
要するに、インタビュー記事は情報密度が低いので、「読むのが面倒」なのです。

 

もしどうしても「インタビュー記事を載せたい」ということであれば、
1.記事のタイトルに「インタビュー」と入れない
2.会話にしない
という2つの条件だけは満たしていただくと、多少でもビューを上げることができます。
そろそろ3月で、採用サイトを開設した会社も多いと思いますが、そのコンテンツに「インタビュー」というタイトルを付けている会社さん、多いのではないでしょうか。
やめたほうが良いです。ほとんどの人は社長に興味はなく、「社長インタビュー」とタイトルにつけても、読まれません。
タイトルは、「この記事を読むと得られるもの」を書いておくべきです。

 

以上が1つ目の理由でした。
さて、「インタビュー記事が読まれない理由」はもう一つあります。
これも多くの編集や製作者がやってしまいがちな話ですが、かなり注意が必要です。それは……
 

 

インタビューを受ける人が、必ずしも「webでウケる話題」を提供してくれない点です。
もっと単純化して言えば「インタビューを受ける人物が話したいこと」と、「読者が読みたいこと」は、かなりの割合で食い違っている。
ありがちな話です。
単純に言えば、「取材の限界」といえるでしょう。

 

例えば、2015年あたりに、ウチは「大学探訪記」という、インタビュー記事を作成していたことが有ります。
大学探訪記(Books&Apps)
これは面白そうな研究をしている大学のセンセイ・学生さんを取り上げて、インタビューし、その内容を取り上げた記事たちです。
比較的読まれた記事もあるのですが、全体的にビューは低めです。
 
私の腕が未熟だったことが大きいのですが、残念ながらあまり読まれることがなかった記事たちです。
なぜ読まれなかったのか、今思えば明白です。要するに
「タイトルを見て、読みたいと思えない」話題だったと言えます。

 

「面白くなるようなタイトルにすればいいじゃない」という人もいるかも知れません。
ただ、大学の先生たちや、学生さんは「自分の話したこと」に対して、非常に正確性を求めます。
「読まれる」よりも「正確に」は当人たちからすれば当たり前なのですが、そうなるとビューは犠牲になります。
そして、この調整が、非常に大変なのです。

 

マスコミの取材に「腹が立つ」という人々

ちょっと前、こんな記事がバズっていました。
 
「取材に応じたけど、言っていないことを書かれた!」
「原稿確認もなく掲載された!」
「掲載後に修正をお願いしたら、無言で記事消された!」
こんなメディアに対する不満を解消するためには、知っておくべきことがある、という趣旨の記事ですが、この記事こそ「インタビュー記事」の難しさを端的に表しています。

 

著者は「取材とは何か」に対して、次のように言っています。
はじめに:「取材」とはなんなのか
 
日常に当たり前のように根付いている「取材」という概念、間違って認識している人がけっこういます。
 
取材とは、「報道したいことが先にあって、それを裏付ける情報・ネタを集める行為」のことです。
「インタビュー記事」も同様のことが言えます。
つまり「インタビューを受ける人物がガチで回答すると、「あれ……メディア側が言いたいことと違う……読まれる記事にならない」という事がよくあるわけです。
そのためには「落とし所を決めておいて、その通りに答えてもらう」という前フリが必要ですが、それを失礼と感じる人も多いでしょう。

 

それ故に、インタビュー記事は、「読まれる」ように書こうとすると、事前の調整や事後の承諾など、高度な調整を求められます。
これは、一介のオウンドメディア担当者の手にあまることがほとんどでしょう。

 

したがって、「インタビュー記事」は苦労の割には読まれず、割りに合わない、ということになりがちです。
もちろん、知り合いに有名人がいて、快く応じてくれ、「一発バズらせてくれる」ようなら、是非お願いするべきですが、まあ、そんなうまい話はなかなかないでしょう。
そういうことです。

 

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