【マーケ担当者向け】絶対に理解しておかなければならない「webマーケティングの基本中の基本」

このコンテンツは有料note「webライターとメディア運営者の、実践的教科書(安達裕哉著)」より転載しています。


疫病のまん延で、対面営業の機会が著しく減ったため、何とかして「非対面型」の営業活動を展開したいと考えている企業が増えているという。
その手段の一つが「webマーケティング」だ。
webは誰にでも(ほぼ)無料で解放されている、巨大なプラットフォームであるから、これを商売に利用しない手はない。
 
しかし、webマーケティングと言われても、具体的に何をすべきか、どのように始めればよいのかを、把握するのは難しい。
というのも、webマーケティングには専門用語が溢れているうえに、数多の「専門家」が存在しており、それぞれが自分たちの得意領域を主張するからだ。
要は、それらは断片的な情報なのだ。
だから、全体像が見えない。
中には「一体、なんのためのもの?」と首をかしげるようなものも少なくない。
 
かくいう私も、コンサルティング会社にいたころは、「webマーケティング」とは一体何なのかをうまく説明することはできなかった。
例えば、上司から「タスク管理システムを売れ」と言う目標を持たされたことがある。
従来の顧客を一通り回ったは良いものの、そこより先は、新規の顧客をつかむ施策を出せ、と言う指示が出た。
しかし、どうやってそれをやればよいのか。
テレアポの効率の悪さに辟易としていた我々は、何とかしてwebからの引き合いを獲得したいと考えた。
 
だが、テレアポや郵送ダイレクトメールには慣れていたが、我々はwebに関しては素人だった。
「とりあえずGoogleで広告を出そう」 → 反応がない割にコストがかかる
「Youtubeで説明動画を出そう」 → 見られない
「SNSでフォロワーを集めよう」 → 増えない
「ブログを書こう」 → 読まれない。リード取れない
 
結局、上のような散発的な施策をいくつか打った後、当時のわれわれは特段成果を得られぬまま、webマーケティングを辞めてしまった。
10年近く前のことであるから、特段webマーケティングに詳しい人材も存在せず、結局、既存顧客を回る、と言う手段に逆戻りしてしまったのだ。
 
しかしその後会社を辞め、自分でwebメディアを運営してみてわかったのは「webマーケティングも、従来のマーケティングも、ほとんど変わらない」と言う事実だった。
ただ1点を除いて。
 
本記事では、その唯一のちがいが、いかに従来のマーケティングを根本から覆したか、そして、その1点こそが、webマーケティング施策を計画する際の根幹となる思想であることを記述する。
 

webマーケティングと従来のマーケティング、いったい何が違う?

では、そのたった一つの違いとは、一体何なのだろうか。
 
 
一言で言えばそれは、「情報発信のコスト」である。
webは、従来のマーケティングに比べて、情報発信のコストが、桁違いに安いのだ。
それこそ文字通り「桁違い」なのである。
すなわち、webマーケティングとは、「情報発信コストが恐ろしく小さい」ことを前提とした、マーケティングの手法なのである。
 
例えば、新規顧客獲得のために、テレアポを実施するとしよう。
それにかかる発信のコストは、人件費と電話代だ。
1時間に100件、電話をかけてターゲットにつながるのは良くて2,30件程度である。
コールセンターのテレアポインターの時給を1500円と考えると、発信にかかるコストは1件あたり50円、と言う計算になる。
あるいは郵送ダイレクトメール。
名簿を購入し、印刷物を封筒にいれてダイレクトメールを送るコストは、まとめて一件当たり100円から150円程度になるだろう。
 
では、webはどうだろう。
例えばBooks&Appsの運営にかかる直接の費用は、月間で、サーバー代4万円。ライターに支払う費用が約40万円、運営は約一人分で、月に60万ほどの人件費だ。合計で104万円。雑費も含めて月間約110万円と考えておこう。
月間のユーザ数が約100万人であるから、一人当たりに換算すれば、発信のコストは、1.1円である。
つまり、テレアポやダイレクトメールの50分の1、100分の1という、圧倒的な低コストで、情報を発信することができている。
 
しかも、これは少なく見積もりすぎている。
FacebookやTwitter、Yahooニュースなど、他のweb媒体への露出を考えると、情報流通コストはさらに低い。
下手をすると、情報流通コストは、テレアポや郵送ダイレクトメールの1000分の1、1万分の1と言っても過言ではない。
 

「情報発信コストが限りなく低い世界」のマーケティングはどのような特徴を持つか

では、情報発信コストが限りなく低い世界で、マーケティングはどのような特徴を持つのか。
これを知ることで、webマーケティングの全体像が把握しやすくなる。
なぜSEOが必要なのか。
なぜSNSの運用をすべきなのか。
なぜメルマガを発行したほうが良いのか。
なぜホワイトペーパーをコーポレートサイトに設置すべきなのか。
なぜ広告とブログを併用すべきなのか。
その話をしよう。
 
1.「情報の発信」ではなく「情報の露出」に工夫がいる
発信のコストが限りなく低い世界で何が起きるか。
ご存知の通り、「情報の氾濫」である。
 
テレアポやダイレクトメールは、「たくさん届く」といっても、せいぜい1ヶ月に数十通が限界である。
ところがweb上の情報は、数に限りがない。
例えば、私が購読しているブログの数は1000を超えており、毎日新しい記事が100以上届く。
ユーザーたちがこれら全てに目を通すことは不可能であり、「情報が過剰である」という状態が、慢性的になる。
 
したがって、発信者は「情報の露出」を考えねばならなくなる。
ニュースメディア。
ブログ。
Googleを始めとする検索エンジン。
TwitterなどのSNS。
スマートニュースなどのキュレーションサービス。
そして、こうしたサービスへ、どのようにして自分たちの情報を露出させるかが重要となる。だからSEOや、SNS運用などの「露出スキル」が重要となった。
タイトルの工夫
投稿する時間帯
記事の文字数
SNSのハンドルネームとプロフィールの作り方……
これは、従来のマーケティングでは、それほど重視されなかった項目であるが、現代の露出を稼がねばならないマーケティングを成立させるためには、必須の知識である。
 
2.トライアンドエラーが必須になった
ネットの世界での「発信」に最も重要なのは「トライアンドエラー」だ。
従来のマーケティングにおける情報発信は、発信コストがあまりにも高いため、表現を「練る」必要があった。要は、一発勝負だ。
 
ところがwebマーケティングは異なる。
発信のコストが著しく低いため、「とりあえず出してみて、反応を見よう」というやり方が可能になった。
つまり、どのような表現が良いか、どのようなコンテンツが良いのかを
検討する手間も、著しく減ったのだ。
 
この考え方は、テレビCMや新聞広告になじんだ、「まずは企画を~」とか「まずは検討会議を~」とか、考えてしまう、従来のマーケティングの担当者ほど受け入れがたいようだ。
webマーケティングの世界では広告だろうが、SNSだろうが、ブログだろうが、「数パターンから、数百パターン」の表現を作り、小さく実験を繰り返しながら、反応の良いものだけを残していく、という進め方がベストになる。
いや、むしろ、他社がそうした競争を仕掛けてきているのだから、あなたの会社もそうしなければならないということかもしれない。
 
3.「資金力」ではなく、「情報の質と量」の重要性が増した
webマーケティングの世界では、誰もが発信可能なので、「お金」を持っていても、情報を露出させることが難しくなった。
 
例えばGoogleの広告のアルゴリズムでは、「クリック率が高い広告」が優先的に表示されるようになっており、「広告の表現がよかろうが、悪かろうが、とにかく枠を買えば、広告を出せる」という、従来のマーケティングとは異なる考え方が必要になった。
要は、広告に掲載する情報ですら、「質」が重要となった。
 
また情報の「量」も重要だ。
従来のマーケティングでは情報発信のコストが高すぎたため、「情報量」が重視されることはあまりなかった。
しかし、発信のコストが大きく下がると、とにかく大量の情報を発信して、「薄く広く、人を集める」という手法が可能になる。
 
実際に、恐ろしくニッチな情報に対しても、何かしらのニーズが存在しているため、そうした「ニッチ」を数多くあつめて露出を増やす、と言う手法が実際にwebマーケティングの世界ではよく行われている。
 
4.「情報発信」と「購買」を結びつける施策が必要になった
従来のマーケティングでは、「情報発信」から「購買」までのステップが短かった。

情報発信(広告) → 資料請求 → 営業(販促) → 見積 → 購買

という、シンプルなマーケティング施策を考えればよかった。
ある意味単純であり、情報発信が、容易に購買に直接結びついた。
 
ところがwebの登場により、情報が氾濫した結果、「情報発信」というステップの、購買までの距離が遠くなった。
例えば、以下のような具合だ。
これはBooks&Appsで実際に発生した、ある顧客の行動である。

記事閲覧(webサイト) → webサイトへの再訪問 → SNSフォロー → webサイトの再再訪問 → SNSの投稿を閲覧 → メルマガ購読 → 資料請求 → webサイトへの再再再訪問 → SNSで評判をチェック → 再度の資料請求 → セミナー出席 → 他社サイトとの比較 → 価格の比較 → 購買

何度もサイトの情報をとったり、SNSで評判をチェックしたり、メルマガを購読したりと、接触を繰り返す。そして、ある時突然購買に至る。
 
そのため、「情報発信」から、直接購買に至るケースは少なくなり、web上のあらゆるサービスを駆使して、顧客を購買に至るように誘導する設計を行わなくてなならなくなった。
 
そのため、webマーケティングの世界では「メルマガだけ」とか、「広告だけ」と言った施策は成果につながりにくい。
やるならば「メルマガ」「SNS」「広告」「動画」「ブログ」「セミナー」など、見込み客へ全方位から接近せねばならなくなった。
 
だから、私が前の会社で経験した、
「とりあえずGoogleで広告を出そう」 → 反応がない割にコストがかかる
「Youtubeで説明動画を出そう」 → 見られない
「SNSでフォロワーを集めよう」 → 増えない
「ブログを書こう」 → 読まれない。リード取れない
といった、散発的な施策は、効果が出なかったのだ。
やるならば、すべてをつなげて、薄く広くやることが、webマーケティングの世界では重要だ。
 
 
5.「広告」の価値が下がった
上のような状況から得られる必然として、「広告」の価値が下がった。
インターネットの登場前は、広告というのは、一般の人にとって、何より重要な情報源だったのだ。
 
実際、40代以上の人々は、「新聞の折り込みチラシ」を楽しみにしていた人は多かったのではないだろうか。
私もクリスマス前になると、両親におもちゃの広告を良く見せてもらったものだ。
 
しかし現在、情報はあふれるほど存在している。
おもちゃのことを知りたければ、Amazonのレビューや、無料のおすすめ記事を見ればよい。
広告が貴重な情報源である時代は終わり、むしろインターネット上では、「広告」は、無料コンテンツを楽しむ際の邪魔ものになり、嫌われるようになってしまった。
 
もちろん、広告を出す側にとっては、金さえ払えば、ある程度の露出を確保できる、と言う点で、広告は使い勝手に優れている。
しかし、「無料」で、しかも「質の高い」SNSの投稿や、webの記事に、信用という面で、広告が勝つのは至難の業である。
 

まとめ

まとめると、絶対に理解しておかなければならない「webマーケティングの基本中の基本」は以下の5項目になる。
・情報発信は必須として、さらに露出に技術がいる
・トライアンドエラーの回数をできうる限り増やす
・薄く広く見込み客をあつめる
・SEO、SNS、広告、動画、メルマガ、ホワイトペーパー、キュレーションサイト、使える手段は、すべて使い、全方位から顧客を購買に至るように設計する。散発的な施策は効果が出ない。
・広告に頼ることはできない。
 

 

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【著者プロフィール】

安達裕哉

元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。

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