ブログ・メディアが伸び悩んだときのチェックリスト

このコンテンツは有料note「webライターとメディア運営者の、実践的教科書(安達裕哉著)」より転載しています。


伸び悩みは、どのようなブログやメディアにも起こり得ます。
中には、2か月、3か月と停滞することも珍しくありません。
 
もちろん、我々が運営するBooks&Appsも例外ではなく、幾度も「伸び悩み」を経験し、そのたびに打開策を模索してきました。
その詳細は、バックナンバーにもありますので、参照してください。
 
ただ、どのようなメディアであっても、「伸び悩み」を解決するのは、それなりに難しい仕事です。
なぜなら、ほとんどのケースにおいて要因が複数に及んでおり、魔法のように一気に解決する手段がないからです。
 
しかし、地道に要因を探り、解決策を実施し、効果を検証していけば、どんなメディアであっても確実に伸ばすことができます。
そこで今回はメディアの「伸び悩み」にどのようにアプローチし、解決策を検証しているのかを、チェックリスト形式で書きたいと思います。
 
 
このサイト、実は、12月までは順調に伸びたのですが、1月、2月と停滞しています。
むしろ、若干アクセスの低下が見られます。
仮に自分がこのサイトを運営しているとして、何から手を付ければよいのでしょうか。
 

1.記事数のチェック

まず最も基本的な伸び悩みの要因として挙げられるのは「記事数不足」です。
以前の記事でも触れましたが、メディアの成長に必要な記事数は、最低でも週1本。
できれば「○曜日」と、指定した曜日に更新するのが望ましいです。これを下回ると「定期更新」とみなされず、固定ファンがつきにくくなります。
メディアは何よりも「固定ファン」の数が重要ですから、生活の一部としてコンテンツを見てもらうために、更新頻度が多いほうが望ましいのは確かです。
なお、上の事例では「毎日更新」がルールとなっているため、記事数が原因の伸び悩みではないと判断しました。
(後述しますが、更新頻度はむしろ高すぎです)
 

2.記事の質をチェック

このラインより上のエリアが無料で表示されます。
次に「記事の質」についてチェックします。というのも、更新頻度が高いサイトは、記事の質が低下しやすいからです。
特に一人で運営しているブログは、「記事を出すこと」が目的になりやすく、質に注意を払うことを怠りがちでです。
 
では「記事の質」をどのように判断すればよいのでしょう。
様々な方法がありますが、一つは(文字数が安定している場合)「滞在時間」と「直帰率」を月次で比較することで行う方法があります。簡便ではありますが、ブログ運営程度ではこれで十分です。
それでは、データを見てみましょう。
 
平均セッション時間
 
直帰率
見ると、11月半ばごろから明らかに平均セッション時間の低下と、直帰率の上昇がみられます。
流入経路別の傾向は以下の通りです。
ノーリファラー
参照トラフィック
自然検索トラフィック
「ノーリファラー」は、濃いファンの人々なので、比較的滞在時間や直帰率の変化は少ないですが、一見さんの多い参照トラフィック、自然検索トラフィック共に、悪化しています。
もちろん「バズったとき」には、滞在時間、直帰率ともに悪化することが普通なのですが、バズったとき以外にも数値は悪化しており、自然検索トラフィックも同様の傾向を見せているところを見ると、「人気のない記事」が増えていると考えるのが妥当でしょう。
 
では、本当に「記事の質」が低下したのでしょうか。
「質」を直接的な指標で測るのは非常に難しいのですが、雑記ブログでは記事の質が下がると「タイトル」がいい加減になる傾向があります。
言い換えれば、タイトルを見ただけで「これは何の記事なのか」がわかる記事は、大抵良い記事です。
逆に、タイトルが今一つな記事の場合、質も今一つのことが多いのです。
 
これは「ライター」の持ちネタの枯渇と大いに関係があります。
実は、一般的に、持ちネタが枯渇してくると、「書きながらネタを考える」ということをやりがちになるのです。
「書きながらネタを考える」と、記事の主張があいまいになり、タイトルがキッチリと決まりません。
このブログは、その状態になっていることが考えられますので、記事の企画をもう一度練り直すことを検討しようと思います。
 
本質的な対策は「毎日更新」ではなく「週5日更新」に更新頻度を落とし、ネタ作りや、他のサイト向けの寄稿記事を作るなどの時間配分をすることです。
ネタの広がりも出て良いでしょう。
 

3.検索流入のチェック

「検索エンジン」からの流入ですが、このブログは「雑記」を貫いているので、検索エンジンからの流入を増やすのは若干の困難を伴います。
しかし、傾向として「固有名詞」の記事は検索からの流入を集めやすい傾向にありますから、記事中に固有名詞を意図して出現させるようにライターに指示を出すのがよいかと思います。
 
その際に、このブログのジャンルをある程度絞る必要があると考えました。検索エンジンは「サイトのテーマ」を重視するからです。
このサイトはあまりテーマを絞っていなかったので、新たに「カテゴリ」の設定を行うことを提案しました。
 
また、このサイトは、料理の描写が多いので、「料理」「お店」などの検索されやすいカテゴリ設定を設定し、その中に店名や料理名などの固有名詞を入れて、動きをチェックしてみるのもよいでしょう。
また、ブログに「パンくずリスト」が設定されていないので、これを設定することをお勧めします。
 

4.他サイトからの流入をチェック

このサイトは「参照トラフィック」が最も大きな流入元となっています。
12月までは順調に伸びていましたが、1月は流入がやや下がり、2月はさらに流入が低下しています。
が、その内訳を見ると、ソーシャル(特にTwitterとFacebook)が圧倒的に多く、そのほかのサイトからの流入はほぼありません。
 
そこで提案するのが、「ソーシャル以外のリファーラルを増やす」ことです。
このサイトにはよく見ると、わずかながら、「他サイト」からの流入がありました。
しかも、よく見るとそれはすべて「寄稿先」でした。
したがって「寄稿先」を増やすことで、他サイトからの流入を増やすことができ、新しい読者を呼び込む手段となりそうです。
 
この場合、二つほどやれることがあります。
1.現在の寄稿先に、過去記事を掲載してもらえるように頼む
2.新しい寄稿先を探す
手っ取り早いのは1.です。
現在すでに関係がある寄稿先であれば、「自ブログ」の中からいくつかテーマに沿いそうな記事を選択し、「無料でいいので掲載してください」と頼むこともできます。いわゆる配信です。
なお、最近は減りましたが、個人で運営しているような「ニュースサイト」へ、配信をやってくれるよう頼むことも視野に入れてください。
 
ただ、2.の手段は、現在「毎日更新」に加えて、さらにライティングの負荷がかかるので、若干ハードルが高いです。
しかし自ブログを伸ばそうと思えば、権威性を得るため、「記名」での記事を様々なサイトでどれだけ書けるかということも重要になってきますので、クラウドソーシングなどで記名記事をかけそうなメディアを探してみてもよいでしょう。
 
その際、繰り返しになりますが「質」が何より重要ですので、自ブログへの投稿を週5に落とし、あまった2日間を他社メディアへの寄稿記事に当てる、ということも考えてください。
なお、若干単価が低くても、メディアへの誘導ができるのであれば、広告宣伝費と割り切って仕事を引き受けてしまうことも可です。
 

5.ソーシャルからの流入をチェック

ソーシャルからの流入はTwitterやFacebookからの流入がほとんどですが、ここをもっと増やす方法はないでしょうか。(以下は1月の実績値)
そこで手っ取り早いのは、Twitterアカウントをもっとアクティブにすることです。
実は、このサイト運営者は、1日に1ツイート、記事の放流しかしていませんでした。
 
逆に言えば、その程度の運営で、月間で数百アクセスをTwitterから稼げるのですから、Twitterをアクティブにし、インプレッション数、フォロワー数を増やせば、さらに多くのアクセスが見込めます。
そこで、Twitter上でのツイートの回数を1日に4~5回程度に増やしていただき、また、Twitterのプロフィールをフォローしたくなるように、自己紹介とブログの紹介を含めるように改変します。
 

6.「ネットワーク」を増やす

ある程度のビュー数が取れてくると、ブログ・メディア運営は、「あなた以外のネットワーク」を要求するようになります。
というのも、自分だけのネットワークから新しい読者を引き入れることが難しくなってくるからです。
 
では「ネットワークを広げる」ために、何が必要でしょうか。
そのための動きとして、2つほど方法があります。
1.「読者」となってくれる人を増やす活動
2.「寄稿者」となってくれる人を増やす活動
 
1.はリアルの名刺交換をする場に出向き、自らの読者を増やす活動をすることです。
「一人、二人読者が増えても、どうってことないんじゃないの?」という方がいるかもしれませんが、SNSにおける平均の友達数は「300名」。
一人の向こうには300名、さらにその向こうには90000名の人がいます。
リアルでのつながりを大事にしてください。
必ず、あなたのネットワークには存在しない人を読者としてつないでくれるでしょう。
また「取材記事」を書くのも、ネットワークを広げる良い活動です。
取材された側の人々のネットワークにリーチすることにより、新たな読者を増やせる可能性があります。
 
もう一つは、2.の寄稿者を探す活動です。
これは、ライターを増やし、自らの負担を減らすことにもつながるので早めに動いたほうがよいでしょう。
実はBooks&Appsにおいても、運営2年半で外部からの寄稿を受け入れています。
 
もっと早くやっておけばよかったと思うのですが、「寄稿者」にある程度原稿料を払ったとしても、ネットワークを広げるという観点からすれば、広告を使うよりもはるかに安上がりです。
寄稿者がビューを獲得できれば、寄稿者もあなたのメディアを拡散するのに熱心になってくれるからです。
 
以上の6つが、「メディアが伸び悩んだ時のチェックリスト」です。
キーワードや検索対策で小さな改善をうつよりも、「流入元」に対して、根本的な対策をいくつかうつほうが、効果が高いのは厳然たる事実です。
 
なお、実際に対策を打ち、どうサイトのアクセスが推移したかは、また別の機会にお知らせいたします。
 

 

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【著者プロフィール】

安達裕哉

元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。

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