〜ティネクト主催ウェビナーレポート〜
広告が効かなくなった時代に、企業はどう伝えるべきか?
開催日時:2025年8月27日(水)
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ティネクト株式会社は「広告が効かなくなった時代に、企業はどう伝えるべきか?」をテーマにウェビナーを開催しました。申込者は97名。広告費は伸び続ける一方で、エンゲージメントの低下や「広告疲労」「バナーブラインドネス」が進むいま、多くの担当者が「次の一手」を模索している状況がうかがえます。イベントLPはこちら:ウェビナー案内ページ
本レポートでは、登壇した倉増京平(ティネクト取締役)、安達裕哉(ティネクト代表取締役/ワークワンダース代表)、桃野泰徳(ティネクト コンテンツ制作責任者/作家・コラムニスト)の三氏による講演内容を、当日の発話の流れとニュアンスに沿って再編集。広告依存から脱却し、顧客に届くための「読む価値」をどう積み上げるか、その実践方法をまとめます。
第1部|倉増京平:広告依存から脱却するために、企業が持つべき“読む価値”とは
自己紹介と文脈:広告の「役割」と「限界」
倉増は、広告会社グループでの長年の実務を経て2019年からティネクトへ参画。コロナ禍以降は地方企業の支援が増え、オンライン前提のコミュニケーションに舵を切るなかで、生成AIの活用によって「やる気があれば誰でも参加できるマーケティング」が現実味を帯びてきたと振り返ります。
一方で、広告の現実は厳しくなっています。広告投資は拡大しつつも、ユーザーは広告を避ける行動を学習し、繰り返し露出が逆効果(不快・離脱)になるケースも指摘されています。倉増は「広告の本質は“良いものを知らせる”ことだが、知らせるだけでは信頼は積み上がらない」と強調しました。
企業はなぜ情報発信をするのか:顧客創造の三段階
企業目的の唯一の正当な定義は、顧客を創造することである。
この古典的洞察を踏まえ、倉増は「認知 → 理解 → 信頼」の三段階を提示します。人は「知らないもの/嫌いな人」からは買わない。だからこそ、短期の刈り取りではなく、読者が自然に「この会社の話は信用できる」と感じるまでの道のりをデザインする必要があるのです。
“読む価値”の7要素:Books&Appsで積み上げた学び
- 役立ち:今すぐ実務に効く知見
- 意外性:認知の枠をずらす発見
- ストーリー:体験に根ざした語り
- 専門性:一次情報/深掘りの厚み
- 共創:読者が参加できる余白
- 情動:感情に触れる視点
- 速報性:旬に寄り添うタイミング
高PV記事ほど、これら複数の要素が同時に機能しています。特に「意外性 × ストーリー」は強い共感を生み、ブランド想起を押し上げます。
続かない理由と、続ける仕組み
- 工数の壁:リサーチ〜編集〜配信〜検証で月160h超え
- 人材の壁:書ける人/編集できる人がいない
- 運用の壁:ガイドラインとチェック体制の不在
解は「仕組み化」。企画〜運用の各工程に再現性を持たせ、評価指標(読了率・再訪・直接問い合わせなど)を可視化して回すこと。後述のAI活用は、この「続ける仕組み」を現実化する強力な手段になります。
第2部|安達裕哉:生成AIで“質と量”を両立させるコンテンツ運用
ジレンマの突破:量を出せば質が落ちる問題は、もう前提ではない
安達は冒頭で、従来のジレンマ(量か質か)に終止符を打つ鍵として生成AI+運用設計を提示します。重要なのは「AI任せ」ではなく、人間の編集知とワークフローにAIを埋め込むことです。
現場で起きる3つの課題
- プロンプト依存:上手い人にしか出せない品質に組織が縛られる
- オリジナリティ不足:既知の寄せ集め=差別化できない
- ハルシネーション:誤情報が混入し、信頼を傷つける
解決策:仕組みで担保する「定型化・外部情報・自動検証・自動配信」
- 定型プロンプト化:ペルソナ・狙い・トーン・禁則などをテンプレに落とす
- 外部情報の取り込み:一次情報・権威ソースをAIに与え、論旨を補強
- 自動ファクトチェック:出力と出典の照合・矛盾検知をAIで先回り
- CMS自動連携:WordPress下書き投稿、体裁・タグ・カテゴリも自動化
成果事例の示唆(匿名)
兼任2名で月40本を継続し月間11万PVを達成したシステム開発会社のケースでは、リスティングに依存せず、SEO+AI検索(GEO)双方での露出を獲得。“信頼できる出典”縛りで量産しても品質を落とさない運用が鍵でした。
GEO(Generative Engine Optimization)への対応
ユーザーの調べものは検索エンジンに加え、生成AIの回答面へ移動しています。AIに引用される前提で、以下の構造化が重要です。
- 意図の明確化:冒頭サマリーと見出しで「何が分かるか」を可視化
- 証拠リンク:一次情報/権威ソースへの導線を明示
- 専門性の表示:著者情報・実績・免責の明記で“信頼”のシグナルを出す
第3部|桃野泰徳:“読まれる”で終わらせない、信頼を支えるエビデンス
よくある誤解:「AIは嘘をつく」
桃野は「AIが嘘をつく」のではなく、オピニオンとファクトが混同されたプロンプト設計が問題を引き起こすと指摘。AIの力点は「網羅と比較」、人の力点は「洞察と責任」。編集意図を明確にし、ファクト=エビデンスで論旨を下支えすることが不可欠です。
エビデンスの作法:ノーエビデンス記事はメディアを壊す
- 出典の格:一次情報/査読・公的統計/一次資料に準拠
- 可検証性:読者が辿れるリンク・図表・引用範囲の明示
- 整合性:出典→解釈→主張の三段ロジックの一貫
- 編集責任:署名・注記・免責で“誰が言ったか”を明らかに
人とAIの役割分担を可視化する
人間:問題設定/仮説形成/具体エピソード/判断・責任
AI:材料探索/比較・要約/論点漏れの検出/表記ゆれ整備
AUTOMEDIA:オウンドメディア運用の新しい標準
位置づけ
ティネクト/ワークワンダースが提供するAUTOMEDIAは、SEO×GEOを見据えた記事生成と、ファクトチェック内蔵の運用自動化を実現する仕組みです。
主な機能
- テンプレ生成:ペルソナ・トーン・禁則を組み込んだ定型出力
- 出典束ね:権威ソースだけを材料にして論旨を構成
- AI照合:出力と出典の矛盾検知/トーン・文体チェック
- WP連携:下書き自動投稿、カテゴリ・タグ・ディスクリプション付与
導入メリット
- 継続性:少人数でも月数十本を安定発信
- 資産化:広告費に頼らず、記事が積み上がる
- 信頼担保:ノーエビデンスを構造的に防ぐ
まとめ:広告を“燃やす”時代から、信頼を積み上げる時代へ
- 広告依存は限界:知らせるだけでは“信用”は蓄積しない
- AIで両立:仕組み化すれば「質と量」は同時に達成できる
- エビデンスが要:ノーエビデンスは信頼を毀損、出典一貫性が命
顧客の心に届くのは、広告ではなく“読む価値”です。編集意図を定義し、一次情報を踏まえた記事を積み上げ、AIに任せる部分と人が担う部分を切り分ける。そうして初めて、オウンドメディアは資産になります。今回のウェビナーは、その道筋を具体的に示しました。
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