3分で、何をすべきか具体的にわかる。初学者向けマーケティング実践ノウハウ

このコンテンツは有料note「webライターとメディア運営者の、実践的教科書(安達裕哉著)」より転載しています。


前職、コンサルタントをやっていた時には、実に様々な業務に関わった。
品質管理、人事、購買、営業、情報セキュリティ、会計、教育訓練……
だが、振り返ったとき、いままで最も役立っている、といい切れる知識とスキルは、間違いなく「マーケティング」だ。
マーケティングは、業務で役立つばかりではない。
実際、市場が大きな力を持つ、資本主義社会で生きていく上で、もはや必須の教養と言っても良いくらいの代物だと私は考えている。

 

 

とはいえ、まだ駆け出しだった頃の私に「マーケティング」は敷居が高かった。
4Pや3Cなどのフレームワーク
コトラーのマーケティング・コンセプト
マーシャル・マクルーハンのメディア論
ワン・トゥ・ワンマーケティング
デジタルマーケティング
ダイレクトマーケティング……
そこかしこに「権威」や「コンサルタント」やら、マーケティングで飯を食っている人々は大勢おり、何が正しいのか、よくわからない上、やたらと小難しい言葉が次々出てくる。

 

「マーケティング」の全体像を掴むことが私にはエラい難しい事のように感じた。
ところがそれを、当時の上司に相談したところ、
「いやいや、そもそも、マーケティングは全く難しくない。難しく言うやつは、逆に、全くマーケティングを理解していないということだ。」
という言葉をもらった。

 

とはいえ、それだけで私は納得できなかった。
マーケティングというと、アカデミックな理論か、企業やマーケコンサルタントのの成功物語ばかりで、体系的に全体を俯瞰できるものがないと思っていたからだ。
すると彼は「これを読め。」と、一冊の本を紹介してくれた。

 

結論から言うと、その本は、マーケティングのイロハも知らない私に、
大きな指針を与えてくれた。
その指針に従えば、マスメディアだろうと、webのオウンドメディアだろうと、メールDMだろうと、マーケティングオートメーションだろうと、オウンドメディアだろうと、どのようにそれを活用すればよいのかわかる。

 

今必要かどうかも判断がつく。どのようにそれを活用すればよいのかもわかる。つまりマーケティングの「全体像を把握」することができたのだった。

 

その本は
神田昌典という人物の、

 

パット見て、
「あやしい」と思った人!
ハイ!
見せられた当時の私の感想も、もちろん「怪しい……」である。
表紙がピンクだし、タイトルからしてヤバい。
何より、この本のターゲットは「個人事業主」や「オーナー社長」ではないか?
そう思った。

 

だが、この本は「マーケティングの初学者」にとって、紛れもない最適の1冊である。
10年前の本だが、普遍的な事柄がかいてあるため、今でも十分、通用する。
騙されたと思って、ぜひ読んでみてほしい。

 

 

かいつまんで言うと、私が「マーケティング」を俯瞰できるようになった、
この本で最も重要なフレーズは、次の部分だ。

 

それじゃ、本音の世界では、何が効果あるのか?この答えは、ビジネスの根本を理解すれば、簡単に分かる。
あらためて考えてほしい。一体、ビジネスって何?
ビジネスの本音っていうのは、次のプロセスを継続的に行うことである。
①見込客を費用効果的に集める。
②その見込客を、成約して、既存客にする。
③その既存客に繰り返し買ってもらい、固定客にする。
「マーケティング」をやっている人であれば、誰もが知るであろうこの3つの活動こそ、マーケティング界のセントラルドグマ、すなわち教義だ。

 

神田昌典氏は次いで、
①については、「広告宣伝」
②については、「セールス・接客(販売)」
③については、「顧客満足(商品品質)」
が決め手になると、述べている。

 

つまり、「広告」「販売」「商品」は、マーケティングの下位に位置する概念であり、マーケティングはそれらをすべて、一気通貫に流れるようにすることを目的とするのである。

 

要は、マーケティング=ビジネス だ。

 

これは、ピーター・ドラッカーの発言とも一致する。

企業の目的は、顧客の創造である。したがって、企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それがマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす。(マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則)

 
 
さらに、ピーター・ドラッカーは、マーケティングの目的は販売を不要にすること、と述べているが、神田昌典氏の定義を加えると、「広告宣伝」と「商品品質」だけで、お客さんに買ってもらえるようにすることが、
マーケティングの最終目的、ということになる。

 

もう、これでわかったのではないだろうか。
「マーケティングスキル」というのは、上の①〜③を実行するスキルに他ならない。

 

ちなみに「あなたの会社が90日で儲かる」は、この中の①のスキル、すなわち「広告宣伝スキル」に的を絞って、詳しく解説しているが、10年前の本ということもあり、webに関しては載っていない。

 

が「チラシ」や「ダイレクトメール」の作り方の部分は、webで記事を作成したり、ランディングページを作ったりするノウハウとほぼ同じであり、その知識は応用範囲が非常に広い。

 

 

話を基に戻そう。
上を理解すると、
例えば今「広告宣伝」をやるべきかどうかの判断もつく。
広告宣伝をやる目的は、「見込み顧客」を集めるためであり、見込み顧客を集めるコストが低ければ低いほど、良い広告宣伝、と言える。
したがって、「見込み顧客一人当たりの獲得コスト」と、「見込み顧客から得られる利益」を天秤にかけて、費用対効果が合えば、広告宣伝はガンガンやるべき、といえる。

 

また、世の中には数々の、マーケティングオートメーションのサービスがある。
マーケティングオートメーションという言葉を聞いただけで、「ナンノコッチャ」とアレルギー反応が出る方もいるだろうが、上の定義を知っていれば、恐ろしくかんたんだ。
要するに、①〜③の自動化を支援するツールだ、と思えば良い。
①「見込み客を増やす」ために、広告を打つ → 広告に反応した人を、自動的にデータベースに登録する。
②データベースに登録された見込み客に対して、販促活動をする → 自動的に商品の案内を送る。
③商品を購入した方リピート購入を促す → 自動的に継続購入の案内を送る、満足度調査を行う。
これで、「マーケティングオートメーション」が必要かどうかも、すぐに分かる。

 

 

もちろん、巷にあふれる「SEO対策」が必要かどうかも判断できる。
SEOは、自社のページが検索上位に来るようにページを最適化していく活動だが、先程のマーケティングの教義から考えると、SEOでやるべきは、
①「見込み客を集める」
・webから見込み客を集めたいかどうか
・見込み客は検索を使うかどうか
・見込み客が検索を使うとすれば、どんなキーワードで検索するか
・どんなタイトルでページを作れば、検索した人が、そのページに訪問してくれるか
・訪問した人が、どうすれば自社の商品に興味を持ってくれるか

 

②「ページに集まってくれた人に販売する」
・自社の商品に興味を持ってくれた人が、どうすれば商品の購買をしてくれるか
・自社のページに訪れてくれた人の個人情報をどのように取得するか
・提供してもらった個人情報をどのように活用するか
といった、①〜②の具体論を検討する必要ある。

 

 

これで、もう「マーケティング」は怖くない。
たとえば「売上を伸ばせ!=ビジネスを成長させよ」と言われたら、まず何を考えるか。
・「見込み客」が足りない? → 広告宣伝を強化しよう
・「販売」が弱い? → セールストーク、見込み顧客との接触頻度を強化しよう
・「リピート」が弱い? → 商品の質や、顧客サポートを強化しよう
という形に、すぐに取り組むべきテーマを挙げることができる。

 

また「個人」を、労働市場における「商品」だと考え、ビジネスの成功をキャリアの成功だと捉えれば、今の自分に何が不足してるのかを分析することもできる。

 

「成功したい! = キャリアアップしたい」と考えたら、何をやるべきか。

 

・「転職先の候補」が足りない? → 色々なサイトに登録、または企業に応募して、自分をもっと露出させよう
・「面接」が弱い? → 面接の時のトークを鍛えよう。自分を売り込むキャッチをつくろう
・「入社後の活躍」ができない? → 自分自身の能力を鍛えよう、定期的に学習し直そう
という形で、「自らをマーケティング」することすら可能だ。

 

 

資本主義社会で生きる現代人の一般教養「マーケティング」は、たった3つの要素しかない。
①見込客を費用効果的に集める。
②その見込客を、成約して、既存客にする。
③その既存客に繰り返し買ってもらい、固定客にする。
ぜひ、全体を俯瞰できるようになり、業務やキャリアップに生かしていただければ幸いだ。

 

(了)

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(2024/2/22更新)