記事を書くときに「やってはいけない」ときめている22項目のリスト。|安達裕哉

このコンテンツは有料note「webライターとメディア運営者の、実践的教科書(安達裕哉著)」より転載しています。


どうせ記事を書くなら「読まれたい」と思うのが人情だし、私も全くもって同感だ。
だが前にも書いたように、現実的には「なぜ読まれたのか」を正確に突き止めるのは難しい。
だから「やってはいけないこと」のリストが重要になる。

「成功法則」よりも「失敗法則」が正しい

本質的に「記事」は「商品」と同様で、売れるか売れないかは、かなり環境に左右されるからだ。もちろん、運もある。
だから、どんな人であっても
「たまたまバズった。理由はわからない」
はかならずある。
TwitterやTikTokで、フォロワーが100名もいないようなアカウントでも、「スーパーバズ」を起こすことは可能だし、何万ものフォロワーを抱えたアカウントであっても、「鳴かず飛ばず」という投稿もある。
これは一種の複雑系で、その差を完全に明確にすることは無理だ。

 

とはいえ、手がかりがまったくないわけではない。
上の記事の結論は「多くの人は、自分に関連がある記事しか読まないから、「多くの人の共通の話題」にフォーカスして書くことが重要ですよ」と言っている。

 

だが、「そしたら必ず読まれるのか」と言われたら、申し訳ないがそれは言い切れない。
多くの人に関連があっても、読まれていない記事は沢山ある。
例えば「給料が少ないと思った」というのは、多くの人の共通の話題と言えるが、それを取り上げるだけでは、読まれる記事にはならない。

 

しかし、だからといって【1】の悪い例に上げたように、「多くの人の共通の話題」を外してしまえば、読まれないことは確実にわかる。
結局の所、「やったら成功すること」は、断定できないが「やってしまうとダメなこと」は断定できる。

 

だから物書きは、たくさん書かねばならない。
書いて失敗する中で、「してはいけないこと」を少しずつ学ぶために。
逆に言えば、バズるものを書きたいなら、「○○すると読まれない」を蓄積することで、少しずつ成功の確率を上げていくことが王道となる。
これを「ブラック・スワン」で知られるナシーム・ニコラス・タレブは「否定の道」と名付けている。

「否定の道」とは、何が正しいかよりも何が間違っているかのほうが明瞭であるという原則。言い換えれば、知識は引き算によって膨らんでいくという原則。また、何がおかしいのかを理解するほうがその解決策を見つけるよりも易しいともいえる。

タレブの「何が正しいかよりも何が間違っているかのほうが明瞭である」こそ、真に慧眼だと言える。

 

「たくさん書け」は間違っているわけではない

だから、私も基本的には「”やってはいけない”とわかっていることを、やらないようにする」執筆のスタイルを採用している。
成功の鍵はわからずとも、失敗の道は見える。

 

したがって、少し前に念仏のようにいわれた
「たくさん書け」
というアドバイスは、完全に間違っているわけではない。
試行回数が多くなれば、それだけ「やってはいけないこと」を数多く知ることができるからだ。

 

ただし、もちろん漫然と書いてもダメだ。
なぜならそこには、「反省」と「改善」がない。
執筆 ⇛ 反省(これはやっちゃいけなかった) ⇛ 改善(やっちゃいけないことをやらない) ⇛ 執筆
のサイクルを回すことこそ、読まれる記事を書くための基礎的な仕事である。

 

「やってはいけないこと」のリスト

だから「やってはいけないこと」のリストは、役に立つ。
同じ間違いを繰り返さずに済むからだ。
以下は私が記事を書く上で、「やってはいけない」と認識していることのリストだ。

 

【記事の内容について】

・経験していない/取材していないことを書いてはいけない。
自分自身の経験と結びつかないことを書くと、どうしての記事に深みが足りなくなる。
読者はそれに敏感で「あ、これは想像で書いてるな」とすぐに分かる。
経験していないことは書けないし、取材していないことはかけない。
書きたいならまず、自分自身で試したり、1次情報をあたってから。

 

・主張してはいけない。
このマガジンで何度も書いているが、初心者がやりがちなのは「主張することが大事」だと思うことだ。
だが、それは間違っていて、読者はそれほど著者の主張には興味がない。
だから「思う」「であるべき」「すべき」などの、主観は、極力書かない。
これは、読者が「著者」に興味がなく、「自分」に興味があるからだ。
主観が中心の記事は押し付けがましく「すでに著者を知っている人」にしか響かない。
したがって、記事は「事実を報じる」ことを中心に記述し、主張の分量は少なく。
極力、意見形成は読者に委ねること。

 

・「発見」の要素がない記事を書いてはいけない。
記事は、何かしら「発見」の要素が入ったときに、ニュース、あるいはエンタテインメントとして成立する。
「思い込み」「常識」「当然とされてきたこと」に対して、切り込めば切り込むほど、記事としての価値は高い。
むしろ無難な記事になりがちな「共感」ではなく「発見」を中心に書いたほうが、読まれやすい。
このラインより上のエリアが無料で表示されます。

 

・「文献」を当たらない記事を書いてはいけない。
【44】「書くことがない」を解決するで、詳細に書いたが、文献をあたることは記事を書く上での最低要件だ。
文献をあたっていない記事は独りよがりで読めたものではない。
これは「主張しない」というノウハウと重なる。
初心者がやりがちなのは「共感」を「主張する」記事。
熟練者がやっているのは「事実・調査結果」を「報じる」記事。
この違いは大きい。

 

・一般論だけで事例のない記事を書いてはいけない
ただし、いくら主張しないと言っても、一般論だけの記事は「統計」と同じく、記憶に残らない。
鮮烈なイメージを読者に与えることができるのは、事例だけである。
したがって、「数字」や「エビデンス」をもとに記事を書くときであったとしても、必ず記事のどこかに詳細な事例を盛り込まなければならない。
それは「体験談」であったり「事例」であったりする。

 

・一記事に、二つ以上のメッセージを込めてはいけない。
やりがちなのが、一記事にあれもこれも詰め込んでしまうこと。
記事の焦点がボケるので、おすすめできない。
例えば「理不尽な上司あるある」について書いていたはずなのに、事例を書いているうちに、「理不尽な職場からの脱出」についても書いてしまうなど。
書きたいことが増えてきたときには、記事を2つに分けよう。

 

・反論の余地を放置したままにしてはいけない
初稿を書き終えたら、自分で書いたものに関して、「思い切り批判的な目線」をもって、見直しをすること。
「でも、こんなときは当てはまらないよね?」
「こんなことって本当にあるの?」

「イマイチピンとこない」

など、自分の中に「他人」の目線を常に持つことは、面白い記事を書く上で非常に重要だ。
もしその際に、批判に対して答えることができないようであれば、その文章はまだ未完成である。

 

・「世の中の誰か」という、あいまいな存在に向けて書いてはいけない
「世の中の誰か」という読者はいない。みな一人ひとりの人間であるから、勝手に「読者層」を想定して書いてはいけない。
独りよがりで面白くない記事は、概ね「なんとなく世の中にこんなことに共感してくれる人いるよね?」という口調で書かれている。
しかし面白い記事は「あいつが言ってたこと、オレはこう思うんだけど」という口調で書かれている。
したがって「この文章は○○さんに向けて書く」といったように、特定の誰かを想像して書くほうが圧倒的に良い文章が書ける。

 

・Googleに向けて書いてはいけない
言われつくされている話であるが、Googleに向けて書いてはいけない。
Googleはすぐに裏切る。
Googleは気まぐれだ。
Googleは移り気で、しょっちゅう浮気する。
要するに、Googleはメンヘラ。
そもそもGoogleは読者ではない。
Googleから来た人は、読んだ記事を「Googleの一部」だと思っているし、Googleもそう思わせたがっている。
だからメディアと書き手のファンを増やす効果はない。
ではメンヘラGoogleに同対応すべきか。
最終的にGoogleは「人気の記事」が好きなのだ。
だから、Googleに評価される前に、SNSやニュースサイトからリンクされる、人気の記事を作るほうが実は重要である。

 

【書き方について】

文章術系のノウハウについては、以前にも書いたことがあるので、こちらも参照していただくとよい。

 

 

・文章術を重視しない
身もふたもない話だが、文章術は内容のまずさをカバーできない。
逆に内容が良ければ、文章術は気にする必要がない。
だからまず時間をかけるべきなのは記事の「テーマ」や「内容」である。
文章術は、書いてみて、読んでみて、「自分の言いたいこと」が伝わっていないと感じたときに、初めて考慮するくらいでも十分である。

 

・タイトルを決めないで書き出してはいけない
タイトルがバシッと決まったときには、書くスピードも必要な文献もすべてわかった状態で書くことができる。
ところが、タイトルが決まってない状態ではすべてが裏目に出る。
テーマが決まっていない状態では、書き出してはいけない。
「まだ一文字も書けていない」という状態は焦りを生むが、焦らずに「キマるタイトル」を生み出すことに時間を使うべきである。

 

・疑問形のタイトルにしない
一時、疑問形のタイトルが流行ったことがある。例えばこんなタイトル。
「なぜ自由な働き方はかえって「自由」ではないと感じるのか?」
昔は疑問形のタイトルが珍しかったのでよくクリックされたのは事実だが、最近ではむしろ、こうした疑問形タイトルが増えすぎたため、「読むのが面倒だ」と敬遠されるようになっている。
タイトルは言い切り、結論、答えを含むこと。例えば
「自由な働き方が、かえって「自由」ではないと感じるのは「責任」がセットだから」
下のタイトルのほうが良い。

 

・一文を長くしない
文章術に死ぬほどよく出てくるこのノウハウは、真理を含んでいる。
1.短いほうが読みやすい
2.短いほうが書きやすい
著者と読者、お互いにメリットが有るから、やらない手はない。

 

・文をカッコよくしようとしない
文をカッコよく見せようとすると、逆に失敗する事が多いです。
【45】「浅い記事」をレベルアップさせる技術にも書きましたが、カッコよく見せようとすると、本多勝一氏が指摘するような、「自分が笑ってしまっている文章」になります。
例文として挙がっているのは以下。

(前略)八月一三日の夜行、京都発富山行の急行立山3号に乗ったときのことです。満員で座席などとれないことは承知の上で、けれど通路ぐらいは、と思っていたのです。ところがムッ、ムッ。ジローッ周囲を見回すと山男の群れ。しかたなく立って眠る?ことにしました。毎日アクビの出るクセは、その夜は一層ひどくて五分ごとにアクビが出て、疲れて眠くても、とても眠れそうもありませんでした。そこで私は、カカトの高いピンクのサンダルを脱いだり履いたり。これを見ていた一人の優しい優しい山男が、私のアクビと足にたまりかねて席を譲って下さったのです。図々しくも「スミマセン」と席を代わってもらうや否や、グーッと眠り込んでしまったのです。鼻ちょうちんぶら下げて、席を譲って下さったお方をチラリチラリと見ながら……。ああ、なんと山男とは親切なるぞ。でもほほがこけて細い人、あんな狭い所に何度も寝返りしながら、つらそうにお眠りあそばしてZZZ。(後略)(『山と溪谷』一九七四年一二月号)

「ところがムッ、ムッ」
「ジローッ」
「立って眠る?」
「5分ごとにアクビ」
「優しい優しい」
「グーッと」
「鼻ちょうちんをぶら下げて」

「ZZZ」

などは、見ていてこちらが恥ずかしくなるような表現です。
これは「カッコよく見せようとして、失敗している」事例です。
淡々と書いたほうが、むしろ文章のレベルは高く見えるのです。

 

・書いた直後には公開しない
多くの書き手の方が経験しているかもしれないが、調子に乗って書いた文章は、あとから見直すと、気恥ずかしくなったり、表現が過激であったり、主張が抜けていたりと、そのまま公開するとマズい内容が数多くある。
文章は一度放置して、「冷やす」事が重要で、それによって書き直しを繰り返すこと。
「推敲」は、文章術を覚えるよりも遥かに重要だ。

 

【媒体運営について】

・読者に読まれにくい時間帯に記事を出さない
経験上、読者に読まれにくい時間帯は午後1時から5時のあいだ。
逆に読まれるのは午前7時〜午前9時、午前11時〜午後1時、午後6時〜午後10時の3つの時間帯。
記事は「初速」が重要なので、できるだけ読まれにくい時間帯に公開しないほうが良い。

 

・不定期更新にしない
読者にとって使いやすいメディアとは、「定期的に新しい記事が提供される」メディアだ。
新しい記事がある、という状態は、面白い記事があるのと同じくらい重要で、記事の更新頻度が遅いサイトには、中々ブックマークしてもらえない。
まして、更新が不定期のサイトは圧倒的に「ファン」を作りにくい。
読者のことを思うのであれば、1日1回の更新、すくなくとも1週間に2回程度は更新されることを目指すこと。

 

・読者を安易にリリースしない
読者は移り気なので、一度読んだ記事が面白かったからと言って、すぐにファンになってくれるわけではない。
だが、ファンなくして記事が広く読まれるようになることはない。
したがって、「再訪」のハードルを出来る限り下げるために、
・SNSアカウントの明示とフォローの推奨
・メルマガの運営
・ブックマークの推奨
など、Youtubeの「チャンネル登録してね!」と同様の勧誘を必ずすべきである。
皆がやっているのは、合理的なところがあるから皆がやっているということを忘れてはいけない。
なお「かっこ悪いから、そうした推奨をしたくない」というストイックな方もいるが、そういう方は好きにすればいい。

 

・焦らない
記事を書き始めてから、ほんとうの意味での「読者」がつくまでに、最低でも1年、遅ければ3年近くかかる。
あの有名な「ちきりん」氏も、立ち上がりに3年かかったと告白しているが、SNSの未熟な時代には3年ほどかかるのは当たり前だっただろう。
現在はSNSからのブレークがあるとはいえ、SNSから「記事」への誘導はそれほど簡単ではない。
SNSで投稿を見てくれた人のうち、ブログに飛んでくれる人の割合は数%程度。
メディアを育てるのは時間がかかる。
だから記事の「質」がほんとうの意味で、メディアのPVに貢献するようになるのは、実は1年〜3年がたったあとだ。
それまではいくら「質」を磨いてもちょく手的な効果は実感しにくいだろう。
だからといって、質を落としてはならない。
3年後、大きくメディアが育つかどうかは、それまでの蓄積に依存している。

 

なお、ブログやメディアの運営と同様に重要な、SNS運営に関するポリシーも併せて記載しておく。

【SNSについて】

・議論しない
SNSでは議論しない。
ただしこれは議論が不毛だ、とか議論してもアンチを増やすから、という理由とは全く異なる。
SNSで議論をしないのは「記事」を見つけにくくするからだ。
SNSはメディア運営者からすれば、「主」ではなく「従」であり、そこに投稿される内容はメディアを読んでもらいたいからだ。
だが議論をしてしまうと、記事の投稿ではなく、議論の投稿が圧倒的に増えてしまい、記事への誘導ができにくくなる。
それ故、SNSで議論してはならない。

 

・批判を気にしない
エゴサーチは自由だし、どの程度UGC(ユーザーからの反応)があるかを気にするのは健全だ。
しかしSNS上での批判を「気にする」かどうかについては否定的で良い。
理由は「ちゃんと読んでいない批判」が多いから。
むしろ知り合いからのコメントや、身内に読んでもらって、そこからもらうコメントのほうが重要。なお、身内や知り合いに読ませることのできないような記事は書かないこと。
・SNSの運用を手抜きしない
最近のSNSはそれだけで一つの「メディア」であるから、Twitterなどのアカウント運用は記事を書く行為とは別にノウハウが必要だということを知らなくてはならない。
ただし、一つのSNSで得たノウハウは、他のSNSでも使えるケースが多いので、真面目に運用する価値はある。
ブログ(orメディア)運営 + SNS運営
という形で複合的に運用を行えば、かならずブレークする時が来る。

 

【お知らせ】

コンテンツマーケティングの実施・運営にお悩みの企業内のマーケターを助けるべく、 ティネクトは

『累計2万リードを獲得したマーケターから基礎を学ぶ、「成果を出す」コンテンツマーケティング実践研修』


を開発しました。

このような企業の宣伝・広報担当者のお悩みを解決します。
・コンテンツマーケティングが、そもそも自社に向いているのかわからない
・コンテンツを量産する重要性は分かるが、正直継続する自信がない
・コンテンツマーケティングの目標設定や最適な効果の測定方法を知りたい
・そもそも、コンテンツマーケティングはコンバージョンを追って良いの?
・他社はコンテンツマーケティングを内製してるの?外注している場合その範囲は?

<研修内容>
1.コンテンツマーケティング概要 (20分)
・なぜコンテンツマーケティングが必要とされているのか?
・オウンドメディア運営で必要な「5つのスキルと全48タスク」

2.オウンドメディアコンテンツ制作実践編(60分)
・リサーチ編
・ライティング編
・シェア編
・コンバージョン編
・レビュー&レポート編

3.成果を出すためにやること(30分)
・1.成果を何と定義するか?
・2.役割分担を考える
4.Q&A(10分)


お申込み・詳細はこちらの資料をダウンロードください↓
https://tinect.jp/training/dlpage/
メールアドレス宛てに資料が自動送信されます。