「バズる可能性のあるライター」の発掘は可能なのか。

このコンテンツは有料note「webライターとメディア運営者の、実践的教科書(安達裕哉著)」より転載しています。


現在、Books&Appsは「バズる書き手」に多数在籍していただいています。
そして、彼らに支えられています。多謝。
実際、下のリンクを見ていただければ、主要な書き手が、確実に「バズ」を生み出している事がよくわかります。
もちろん、他にも多数の書き手の方に寄稿いただきましたが、ほぼ全員が何かしらの形で「バズって」います。

 

このように申し上げると
「もともとネットでバズっていた人を引っ張ってきたのでしょう?」
と思う方もいらっしゃるかもしれません。
でも、それは間違いです。
例えば、書き手の一人にdudihanさんという方がいます。
あるいは、桃野さんという方がいます。
彼らは、恐縮ではありますが、とくに「バズを連発していた方々」ではありません。
ブログや、その他の作品を見かけて、お声がけした方々です。

 

それでも、まだ信じられない方もいるかも知れません。
では、もう少し深く見ましょう。
先日、高須賀さんが、ひとつで40万PVの記事を出しました。
(この記事のおかげで、大変多くのメルマガ登録者と、フォロワーの方々と、CVが生まれたのですが、それはまた別の機会に話をします。)
正直いうと、ぼく個人としては性根では未だに新型コロナウイルスの事をそこまで恐ろしいものだと思っていない。
いないのだが、じゃあその恐ろしくないものがカタストロフと言っても差し支えない事態を引き起こしているのも、また事実である。
この認知の捻れが何によるものなのかをずっと考えていたのだが、これはデータと実態、マクロとミクロの認知のズレによるものなのだという事がわかったので、今日はそれについて書いてみようかと思う。
高須賀さんは、Books&Appsのバズの常連の一人です。
しかし、最初にお声がけした2016年当時、「珈琲をゴクゴク呑むように」というブログを運営されていましたが、大変失礼ながら、「めちゃくちゃバズっている」というブログではありませんでした。
このブログの「はてなブログ」の中でのブックマーク数を見ていただければ、2016年当時は「多少読まれているブログ」の一つだったと思います。

 

でも、私は高須賀さんの文章に、惚れ込みました。
「この人に書いてもらえたら、Books&Appsはもっと面白くなる」
と確信したからこそ、お声がけさせていただいたのです。
(余談ですが、私が高須賀さんにお声がけするきっかけになった記事はこれです。面白いのでぜひお読みください。)

 

「バズっていた方」に声をかけることはたしかにあります。
ただ、それは「バズっていたから」ではなく、その人を知る切っ掛けが「バズ」だったというだけで、バズっているから声をかけた、というわけでもありません。
最終的に、ライターとしてお声がけするかどうかは、作品、つまり記事だけを見て決定しています。

 

ただ、実のところ、「メディア運営の成否」は、やはり良い書き手がいるかどうかに大きく左右されます。
「読まれる記事をかける書き手」がいれば、メディアはファンを獲得でき、発展します。

 

逆に、そうした書き手が居ない場合は、機械的に記事を生産するしかありません。
結局はSEOを意識せざるを得ず、「Googleの手のひらの上で踊る」メディア運営となってしまいます。
だからこそ「バズを生む書き手」は重要であり、そうした書き手に協力していただけるかどうかが、試されるのです。
逆に言えば、ここで、2つの課題がメディア運営者には提示されます。
1.「バズ」を生み出しそうな書き手を見極めることは可能か?可能だとすれば、何を見ればよいのか?
2.その書き手がやっていることを真似れば、バズを再現できるのか?

 

1.「バズ」を生み出しそうな書き手を見極めることは可能か

まず、結論から言います。
1.は、もちろんYESです。見極めは可能です。
では、何を持って「この書き手は、バズを生み出せそうか」という判断をしているのか。

 

それを見極めるには、まず「バズ」の発生する理屈を理解する必要があります。
「バズ」を起こすには、少なくとも3つの条件が整わなければなりません
一つは「ある程度トラフィックのある場所に記事を置くこと」
そしてもう一つは「話題性のある記事(良いテーマ選定)」、
そして最後は「記事のオリジナリティ」です。

 

まず、最初の「トラフィック」については、書き手ではなくメディア側の責任です。
よく、無知なメディア運営者が「記事をバズらせてほしい」とライターに依頼するケースを聞きます。
しかし、もともとトラフィックのないメディアをバズらせるのは、ライターの力量だけでは難しいと言えます。
その状態でバズらせるには、そのライターがすでに「フォロワー」を数多く抱えている必要があります。
しかしそういった人々は原稿料は高く、メディアとして割りに合わないケースも多いでしょう。

 

逆に言えば、ある程度のトラフィックを確保していれば、「良いライター」を探し、起用することで、爆発的にメディアを伸ばすことも可能、ということになります。
ちなみに「ある程度のトラフィック」の具体的な数値は、月間3万PVです。
つまり、メディアに1日あたり1000PV程度のトラフィックがあれば、十分「バズ」を狙えます。それ以下であれば、まず「1日1000PVまで育てましょう」というアドバイスになります。

 

したがって、「書き手」の見極めに重要なのは、残りの2つです。
・「話題性のある記事(良いテーマ選定)」をしているか。
・「記事のオリジナリティ」があるか。
この2つの条件を満たしている書き手が、「バズる」可能性のある書き手です。

 

「記事のテーマ選定」に関しては
【1】インターネットで読まれる記事と、読まれない記事の決定的なちがい。」で触れていますが、その記事のビューの上限を決定する、重要な要素です。
さて、では「ライターがテーマ設定のセンスがあるかどうか」についてはどのように判断すればよいのか。
これは簡単です。その方のブログを見るか、SNSを見ればよいのです。
書き手が何に関心を持ち、何を話題にし、何に対して憤っているか。
それは「作品」を見れば、一目瞭然です。

 

なお、この「テーマ設定」の巧拙については、例外もありますが「ライターがメディアに寄稿した記事」ではあまり判断ができません。
なぜなら、寄稿記事は「設定されたテーマ/キーワード」について記事を書く場になっていることも少なくないからです。

 

「設定されたテーマで書けること」は、一つのライターの力量ではあり、それが求められるメディアも多いですが、「バズ」は、後述するように、ライター自身が設定したテーマで生み出されるケースが圧倒的に多いです。
したがって「自分のブログがない」「SNSを殆ど使ったことがない」ライターは、テーマの設定力が弱いため、バズの期待はできません。
単純に「世事に疎い」人はバズを起こせない、と考えても良いでしょう。

 

そして、最も重要なのが「記事のオリジナリティ」です。
とはいえ、「オリジナリティ」と言われた方は、「当たり前じゃない?」と思うかもしれません。
しかし、Books&Appsでは、オリジナリティを以下のように定義しています。(無論、弊社での定義です。他所は知りません。)

 

1.「正しい意見」はオリジナリティではない。
正しい意見は、誰でも言える。
2.「常識的な意見」はオリジナリティではない。
常識的なことは、わざわざ言う必要がない。
3.「嫌悪/批判」はオリジナリティではない。
Books&Appsは記事を「エンタテインメント」と考えているが、単に嫌悪感を表明すること、あるいは体制や思想を批判するだけの記事は、エンタテインメントではない。
4.「こうなったらいいのに」という願望も、オリジナリティではない。
個人的な願望は、わざわざ人に聞かせる価値はない。
5.「建設的な意見」だけがオリジナリティとして価値がある。
記事を読んで、困っている人が救われる、もやもやが晴れる、気付きがあることに、価値がある。

 

ただ、「建設的な意見」を書ける人は殆ど居ません。
なぜなら、「理想」を言い放つだけではだめだからです。
現実の難しさを踏まえて、それでも少しでも改善するために、こう「行動」し、「考え」なければならない、と言うこと。
そして何より、説得力を持たせるために、それらの根拠をはっきりと示すことは、とても手間がかかり、困難だからです。

 

しかし、一度そうしたことを身に着けてしまえば、その書き手はとても影響力のある記事を書くことができる。
それが「バズを生み出すライター」の本質です。

2.その書き手がやっていることを真似れば、バズを再現できるのか?

では、1.を踏まえて、それを真似れば「バズ」を再現できるのか、という話ですが、これは「条件付き」でYESです。

 

というのも、「単なるモノマネ」では、オリジナリティを発揮するのは難しいからです。
インフルエンサーが「リモートワーク万歳!」というのに同調して、それっぽいことを書いても、決してバズりません。

 

では「単なるモノマネ」から脱却するにはどうしたらよいか。
実は簡単です。
それは「実体験」と「以外な関係性」です。
例えば、ある思想に対して、「私が経験したところでは〜」と語れる人は、圧倒的に強いし、現場を知っているので、説得力のあることを書けます。
また「これとこれって、実は似てるよね」という話は、人の気付きに繋がり、理解を促進します。

 

「医師としての現場体験」と「コロナウイルス=ゴブリン」というたとえ話が強烈なオリジナリティを発揮したため、「この記事はよくある記事ではない」と読者に認識されました。

 

しんざきさんの「夏休みの宿題進捗管理をIT化したら子供が凄くやる気出した話」も、かなり読まれた記事です。
これはしんざきさんが、「子供の指導の実体験」と「宿題って、ITプロジェクトの進捗管理と似てるよね」という話をしているため、オリジナリティがあり、非常に理解しやすくなっています。
要するに彼らは、「知識」と「知識」を連結し、物語として仕立てることによって、記事にインパクトをもたせている。
だから、これは「付け焼き刃」では得られません。
真似すればバズるのか、という質問に対して、「条件付き」でYESです、と回答する理由は、「実体験」や「広範囲な知識」は、インスタントに得られないからです。

 

逆に人のしないような「実体験」をし、様々な本や知識を有していて「事物の以外な関連性」にきづける人は、すぐにでもバズる記事を書くことができます。

 

かつて私は「専業ライター」より「兼業ライター」のほうが、良い記事をかける可能性が高いと言ったことがあります。
それは「ライター業」を生業とする人よりも、「医師」「弁護士」「コンサルタント」「経営者」「職人」「政治家」たちのほうが、圧倒的に珍しい経験をしている人が多いからです。

 

「記事がつまらないのは、人生がつまらないから」
というのは、金言だと言えるでしょう。
さ、バズりたいなら、外に出て、本を読んで、実際にあれこれ試してみましょう!

 

 

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(2022/4/27更新)