「記事ネタ」が尽きないように、今やっていること。|安達裕哉

このコンテンツは有料note「webライターとメディア運営者の、実践的教科書(安達裕哉著)」より転載しています。


記事を書いていると、最もよく聞かれることの一つは
「どうやって(読まれる)ネタを探しているんですか」

です。

突き詰めると、「メディアの価値」=「掲載されている記事の質」ですから、この質問は本質中の本質です。
仮に、好きなブログの運営者に質問を一つだけしていい、と言われたら、間違いなく私もそう聞きます。
だから「ネタ探しに苦労する」は別に恥ずかしいことではありません。むしろその悩みに到達しないほうが、不自然です。
実際、ブログを運営したことのある方や、記事を書いたことのある人なら共感する方も多いのではないかと思いますが、記事を書く上で最も時間がかかるのは、「テーマの決定」=「ネタ探し」なのです。

 

とはいえ、告白しますと、 2013年の二月にBooks&Appsを立ち上げるにあたり、私が最も恐れたのも「ネタの枯渇」でした。
「とにかく毎日、記事を書き続けること」が、アクセスを得るために、そして何よりも文書作成スキルを向上させるために重要であることは、多くの先人達が指摘していましたし、私も認識していました。

 

しかし、肝心の「何を書くか」については、残念ながらネットを見渡しても、誰も教えてくれませんでした。

 

もちろん「ブログ」「ネタ探し」などで検索すれば、たくさんのページがヒットします。
しかし
「時流に乗る」とか
「結論から書く」とか

「一文は短く」とか。

すでに書くことが決まっている場合に使う、テクニカルな知識はたくさん出てくるのですが、肝心の「何を書けばよいのか」については、有効なアドバイスが殆どありません。
しかも、人気のブロガーは「読みやすいから」「キーワードを含んでいるから」読まれているのではなく、「内容が優れているから」読まれているのは明らかです。
それなのに「記事の質が重要」と言いながら
「見出しを工夫しましょう」
「検索ニーズに基づいて書きましょう」
「いかがでしょうか?」なんていうサイトばかり。
「知りたいのはそこじゃない!」と何度思ったことか。

 

では、結局どうしたか。
困った私は、「ニーズ」よりも「自分の書けること」を優先しました。
つまり「自分の知識でかけることを書く」と決めたのです。
私の場合は、自分の好きな「本」と、当時まだ情報が少ない「iphoneアプリ」のことならば、ネタが尽きないだろう、情報も次々更新されるので、ネタが枯渇することはないだろう、そういう目論見でした。
余談ですが、実はそんな理由で、結果として、ブログのタイトルは「Books&Apps(本とアプリ)」となったのです。
この判断は、今でも間違ったと思っています。サイト名がわかりくくなってしまったからです。しかも、「ネタが尽きないだろう」という目論見も見事に外れました。(なので真似しないでください)
本はまだしも、アプリについては1週間で書くことがなくなり、ネタが枯渇しました。
つまり、これが何を意味しているかと言えば、「私はそれほどアプリに詳しくない」です。
記事を書いてみて、初めてわかったのですが私はアプリについて1日中考えているわけでもなく、ただ多くの人と同じように、漫然とアプリを落として、使って、消して、をしていただけでした。
「書けそう」と「書ける」は全く別だったのです。
本についても漫然と「書評」を設定しましたが、何しろ本は膨大です。
「ベストセラー」についての書評は画一的になりがちですし、そもそも私が読んでいる本の「書評」は大して面白い記事にならない。

 

「つまんないことしか書けない……」
と、私は30記事〜40記事目くらいで、「ネタの枯渇」に直面しました。
本もアプリの記事も書けず、当時苦し紛れで書いた記事にはこんな記事もあります。(昔の稚拙な記事なので、読む必要はありません)
今だったら、このような記事は書かないのですが、当時は「何しろ書かねば」と思っていたので、試行錯誤の跡がブログに残っています。

 

で、読まれないし、書くことないし、時間はかかるし……なんのためにやってるんだかよくわかんないよ、ということで、大体この辺で記事を書くのがイヤになってくるのではないかと思います。

 

しかし私は勢い余って会社を辞めてしまった身です。
まだ1歳の幼い娘も養わなければなりません。
ここで投げ出すわけには行きませんでした。
私はやり方を見直すことにしました。具体的には、以下のことをしました。

 

まず私はAmazonで、「アクセスを集めているブロガー」が書いた、参考になりそうな本を探しました。ネットの情報は断片的で、体系化されていないため、「網羅的な施策」を探したのです。
それはwebよりも本のほうが良いだろう、という判断でした。
そして見つかったのが、下の本です。
著者は個人ブログで100万PVを生み出した、コグレマサト氏とするぷ氏。
「結局テクニック本かよ!」という声が聞こえてきそうですが、当時の私は「結果を出している人のマネをして、何でもいいからやれることをを全部やろう」と、半ば開き直っていました。
結論から言うと、この本は「ネタ」を提供してはくれなかったのですが、「ネタ探し」のヒントがもらえました。
著者が主張しているのは、要するに「ネタを集める導線を増やせ」と「ネタを格納できる場所を作れ」の2点です。

 

単純なことでしたが、私は雷に打たれたように感じました。
単純にいえば「執筆」は「材料集め」も含めて、執筆なのです。
実際、「インプットの量」を増やし、ネタになりそうなものを「DB化」しておくことをやらなければ、文章は生み出せません。
書籍や論文、企画書などでも同じ、なにかを生み出すときの基本中の基本です。
私は早速、Googleリーダーに登録し、面白い記事を生み出しているブロガーたちのブログを巡回することにしました。(現在はFacebookとTwitter、ブログ約400サイトを巡回を日課にしています。)
また、Instapaperに、ニュースクリップと、ニュースを見て気づいたこと、思ったことをとりあえず何でも放り込むことにしました。(現在ではEvernoteにすべて放り込んでいます)
下は、私が使っているEvernoteのスクリーンショットです。
1日に10個ほど、時間のある時に収集したニュースを見て、「まとめ」を作ったり、「思ったこと」を書き留めたりしています。
2012年から運用しているので、ノートの数はすでに11000を超えており、現在では自分の記事を生み出すための重要なDBとなりました。

 

また、他のブログの記事で「良い表現だな」と思ったものは、webクリッパーなどを使ってクリップしており、大量の記事のストックが日々生み出されることになります。
また、本を読み、中で気になった点をDBに書き出します。(Kindleで買うと、コピペしやすいです)
ここで重要なのは、「記事のタイトルを作るつもりで」書くことです。結果的に世の中に記事になって出るときは、全く異なるタイトルになることがほとんどですが、書き出しのインスピレーションはこれで十分です。

 

結果として、これをやり始めてから、「ネタに困る」ということが、ほとんどなくなりました。
「今日見たニュース」で気になったキーワードで、自分のデータベースを検索すると、過去に気になった、同じような話題が一斉にヒットします。
例えば、「嫌な人」で検索すると、こんな具合です。
「マネジャー」系は私の関心領域でもあるので、かなりヒットします。
それをつなぎ合わせて、考察をつければ、十分記事になる。しかも、web、本、聞いた話、経験など、すべての情報源について横断的な考察になるので、質も高くできます。

 

そもそも「いきなり書き始める」のは、かなり難しい行為です。
記憶をつなぎ合わせて、「今気になっていること」だけだと、どうしても記事に奥行きが出ません。
逆に「材料をある程度ためてから書く」ことをやれば、「書きたいことが多すぎて困る」状態になります。
芸人が「ネタ本」を作るように、科学者が「研究ノート」を作るように、画家が「スケッチ」を貯めるように。
ライターは「記事ネタ」を作っていく必要があり、それも含めて執筆なのです。

 

繰り返しになりますが、ネタを貯めるときは、特に、以下のことに気をつけると良いと思います。
・仕事の中で「感じたこと」をすぐに書き留めておけるように、スマートフォンのホーム画面にEvernoteなどのメモアプリを登録しておく
・DBは1箇所にする
・本は出来得る限り、電子書籍(Kindle)で購入し、コピペ可能にしておく
・本はwebよりも遥かに読者が少なく、良いニュースソースなので、必ずDBに入れる。(webからの情報だけだと、質が下がる)
・FacebookやTwitterなどのニュースソースは、情報が多すぎるとクリップする気をなくすので、フォローは厳選する。
・ブログを巡回するのはRSSリーダーも有効。
Googleアラートなどで、気になるキーワードのニュースを追跡する
・DBを作っていくと、「自分の関心領域」「自分の詳しい領域」が自然と明らかになってくるので、それをもとに書くと「濃い記事」が書ける。

 

以上です。
長くなりましたのでこの辺にしますが、この「記事のネタ」に関しては、まだ色々と話があるため、別の機会にまた書きたいと思います。

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(2024/2/22更新)