SEOの費用相場と効果的な予算配分のコツ

検索エンジン最適化(SEO)は、あらゆるデジタルマーケティング戦略において不可欠な要素です。

検索エンジンの検索結果で上位に表示されるようにウェブサイトを最適化し、より多くのオーガニックトラフィックと潜在顧客をサイトに誘導することが必要です。

しかし、どのようなマーケティング活動にも言えることですが、SEO対策にはコストがかかります。SEOの費用相場を理解し、予算を効果的に配分することで、SEOの成功に大きな影響を与えることができます。

 

SEOの費用相場

SEOサービスの費用は、プロバイダーや提供される具体的なサービスによって大きく異なることがありますが、一般的に、SEOサービスの価格モデルは、主に4つあります。

a. 時間制料金

SEOコンサルタントや代理店は、通常1時間あたり5000円から5万円の範囲で、サービスに対して時給を請求します。

弁護士などのごく専門性の高いところでは最大値の5万円程度、個人で稼働しているSEOコンサルタントでは、5000円〜1万5千円程度の幅があります。

なお、余談ですが私が以前働いていたコンサルティングファームでは、普通の職位のコンサルタントが、1日8時間の稼働で、20万円の請求をしていました。時給に換算すると25000円です。

この価格モデルは、小規模なプロジェクトや継続的なコンサルティングに最適です。

出典: https://www.searchenginejournal.com/seo-pricing-costs-of-services/214682/

 

b. プロジェクトベース

範囲が明確な大規模なプロジェクトの場合、SEOプロバイダーはそれに携わる人数や期間に関わらず、一律料金を請求することがあります。

したがって、主にこのようなプロジェクトの費用の算出は、「成果品」を伴うことが多く、コンテンツSEOではなく、ページデザインの改修やページで動作しているスクリプトの圧縮など、技術的なSEOで行われることが多いでしょう。

なお、予算はプロジェクトの複雑さと期間に応じてかなり変動しますが、数ページの改修であればページあたり5万円程度が多くのSEOプロバイダーにおける相場になっています。

なお、サイト全体の改修では平均的には300万円、大規模サイトになると、上限では1000万円近くかかることもあります。

 

c. リテイナー契約

多くのSEO業者は、月々のリテーナーという形で継続的なサービスを提供しています。これには通常、継続的な最適化作業、レポート作成、コンサルティングが含まれます。

いわゆる「パッケージ化されたSEO」サービスのイメージです。

国内では、「SEO対策 予算」で調査すると、多くのプロバイダーの提示する予算は、月額予算10万円〜100万円程度の範囲に収まります。中央値は40万円です。

なお、海外のSEOプロバイダーでは、月額30万円〜150万円と、やや高めのようです。

参考サイト: https://www.outerboxdesign.com/search-marketing/search-engine-optimization/seo-pricing-costs

 

d. パフォーマンスベースの料金

SEOプロバイダーの中には、特定の目標や達成した結果に応じて料金を設定する、成果報酬型の料金体系を採用しているところもあります。

このモデルは、リスクを軽減し、目に見える成果に対してのみ料金を支払うことを保証するため、クライアントにとって魅力的なものです。しかし、この価格モデルは管理が複雑で、クライアントとプロバイダーの間で明確なコミュニケーションが必要です。

特に、SEOプロバイダーに対して顧客が求める成果は、

1.自分たちのサイトの記事が特定のキーワードの検索で「1位(ないし上位)」を取ること

2.自分たちの商材への問い合わせが増えること

に置かれることが殆どです。

しかし、1.の「検索順位を保証する」のは、Googleの公式サイトの見解によれば、誰にもできないこと、やろうとする業者は、不正な手法を使う恐れがある、としています。

参考:https://www.youtube.com/watch?v=8P5wV9ntDns&t

 

また、自社への問い合わせを増やす、ということに成果をおいた場合も、一般的には製品の良し悪しに問い合わせの件数は大きく左右されるのであり、SEOプロバイダーにそれをすべて依頼すれば、SEOプロバイダーは『問い合わせを大きく見せる』ために、あまり売上につながらない問合せを増やすかもしれません。

これは、双方にとって不利益なことになります。

したがって、『成果報酬』を謳うプロバイダーには、細心の注意が必要です。

 

効果的な予算配分のためのヒント

では、予算の大まかなイメージを紹介したところで、その予算をどのように配分すべきかをご紹介します。

a. 明確な目標を設定する

予算を配分する前に、SEOの取り組みについて明確で測定可能な目標を設定することが重要です。この目標は、ビジネス全体の目標に沿ったものであるべきで、オーガニックトラフィックの増加、キーワードランキングの向上、リードやセールスの増加などが考えられます。

明確な目標を持つことで、予算をより適切に配分し、SEO対策の成果を測定することができます。

 

b. インパクトのある活動を優先する

ビジネスに於いては時間リソース、人的リソース、そして経済的リソースは有限ですから、予算を配分する際には、SEOの結果に最も大きな影響を与える活動に焦点を当てます。

例えば、技術的な最適化、コンテンツの作成、リンクの構築などです。効果の高い活動を優先することで、投資対効果を最大化することができます。

なお、Googleの『検索セントラル』には、ビジネスターゲットの精査を行なったあとは、サイトのテクニカル分析(たとえば階層構造のチェック、サイトの速度のチェック、サイトマップの設置状況など)を行うべきだとの見解が掲載されています。

https://www.youtube.com/watch?v=piSvFxV_M04

 

c. 監視と調整

他の記事でも述べていますが、SEOは『一度何かをすればそれで完了』という性質の仕事ではありません。

SEOは継続的なプロセスであり、取り組みの結果を定期的にモニタリングすることが不可欠です。これにより、成功を収めている分野と、追加リソースを必要とする分野を特定することができます。

その結果に基づいて予算配分を調整することで、SEOのパフォーマンスを継続的に向上させることができます。

 

d. ツールに投資する

SEOツールを活用することで、作業を効率化し、ウェブサイトのパフォーマンスに関する貴重な洞察を得ることができます。多くのツールは、無料版や試用期間を提供しており、有料の契約を結ぶ前にその機能を試すことができます。ツールを紹介する際には、必ずそのツールへのリンクを貼り、他のツールとの違いを説明しましょう。

なお、ツールについては、別の記事(無料でSEO対策できる、プロ御用達の海外SEOツール20選)を参照してください。

 

e. ローカルSEOを忘れてはいけない

あなたのビジネスが店舗を所有、運営しているなど、ローカル市場を対象としている場合、ローカルSEO対策に予算の一部を割り当てることが極めて重要です。

これには、地域の検索ワードに対応したウェブサイトの最適化、Googleマイビジネス登録の作成と最適化、地域の引用の構築などが含まれます。ローカルSEOに注力することで、ローカル検索結果で上位に表示され、ターゲット地域のより多くの顧客を引きつけることができます。

参考リンク: ローカル SEO とは & ローカル検索が重要な理由

 

ローカル検索は、特定の地域、都市、または近隣の顧客を対象とする SEO 戦略の不可欠な部分です。

簡単に言えば、ローカル SEO は、Google のマップ パック/ローカル パックなどのローカル検索結果でのランキングと可視性を向上させることに重点を置いている場所です。

 

オーガニック SEO は、オーガニック検索でウェブページのランキングを向上させる方法です。これらのオーガニック検索結果でウェブサイトがどのようにランク付けされるかは、ローカル パックのランキングにもプラスの影響を与える可能性があります。

 

オーガニック リスティングは、Google がクエリにローカルの意図があると判断したときに、ローカル ビジネスが意欲的な検索者の前に表示される絶好の機会です。

 

したがって、ローカル SEO とオーガニック SEO はこのように相互に関連していますが、それぞれに異なる最適化戦術を備えた独自の戦略が必要です。

 

f. アウトソーシングを検討する

社内のチームでは、SEO戦略のすべての側面を処理するための専門知識やリソースが不足している場合、SEO活動の一部またはすべてを専門の代理店やコンサルタントに委託することを検討してください。

そうすることで、より良い結果を得ることができ、チームは他の重要な業務に集中することができます。

 

まとめ

SEOは継続的なプロセスであり、常に注意を払い、調整する必要があります。

したがって、SEOのコスト相場を理解し、効果的に予算を配分することは、検索エンジン最適化の取り組みを成功させるために非常に重要です。

明確な目標の設定、効果の高い活動の優先順位付け、予算配分の監視と調整、ツールへの投資、ローカルSEOへの注力、必要な場合のアウトソーシングの検討などにより、投資効果を最大化し、ビジネスの持続的成長を促進することができます。

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【著者プロフィール】

安達裕哉

元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。

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