NHK-BSが好きでよく見てるんですが、先日COOL JAPANという番組で「ゲーム」特集をやっていました。
この番組はタイトルからも想像できるように外国人から見た日本のクールを紹介する番組です。私も随分前から見てるなって思っていたら、2006年から放映している長寿番組でした。
いい加減ネタ尽きるだろって思うのですが、この記事執筆時点で次回は「ミニチュア」特集だそうで( 笑)、最近はシブいネタが多くそれが面白いのです。
そんな中、今回はどストレートの「ゲーム」特集ということで、何を今更?と逆に興味津々でした。
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今回のゲーム特集では、スマホゲーム、ボードゲーム、ゲーム音楽の3つのトピックをそれぞれ深堀りする内容でした。
私が、衝撃を受けたのはゲーム音楽の話です。番組がフォーカスしていたのはゲーム音楽制作で有名な作曲家の下村陽子さん(@midiplex)です。(その他2つの内容は今回と関係ないので詳細は割愛します。)
私自身は子供の頃にファミコンブームによる洗礼を受けたファミコンボーイですが、下村さんのことを知ったのはこの番組が初めてでした。
とはいえ、下村さんはそんなファミコン時代にカプコンでキャリアをスタートさせ、ストリートファイターⅡの音楽やサウンドエフェクト(ショーリューケンなどの音)、最も有名なのはスクウェア(現スクウェアエニックス)の「聖剣伝説~Legend of MANA~」でほぼ全ての音楽を担当されていたり、当時からゲーム業界の第一線で活躍されていた方です。(※1)
衝撃的だったのは四半世紀経た現在でも、下村さんの制作したゲーム音楽のファンは多く、しかもそれが世界中に広がっていて、今ではオーケストラによるコンサートまで開かれているという事実でした。
『聖剣伝説』30th Anniversary Orchestra Concert
4/3(日)Bunkamuraオーチャードホールにて開催予定!本日よりe-STOREにてチケットの先行抽選受付開始です。私もちょこっと出演します〜。どうかコロナ禍が落ち着き、皆さまと素敵な時間を過ごせますよう♡#聖剣伝説 #聖剣伝説LoM #聖剣伝説30周年 https://t.co/1cwE0qjztJ— Yoko Shimomura|下村陽子 (@midiplex) January 26, 2022
ご本人も、まさかゲーム音楽がオーケストラコンサートが開かれるようになるなんて夢にも思わなかったとおっしゃっていました。
まあ、私も一介のファミコンボーイでしたが失礼ながら同感ですw
だってたかがゲームじゃないですか。そりゃファミコンはめちゃくちゃ面白かったですよ。未だにスーパーマリオ8-4のクッパへ辿り着くまでの土管に入る順番忘れないですし、なんなら隠れキノコの場所とか覚えてますよ。キンタマリオとかいう裏技知ってます?
でも、このゲームに多くの人が熱中していることこそ、ゲームの本質とそして将来性が潜んでいたのだと気付かされたのです。
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なぜ当時せいぜい私のような無邪気なファミコンボーイのためのゲーム音楽でしかなかった曲が、オーケストラのコンサートを行うほどになったのでしょうか?
下村さんに類いまれなる作曲の才能があったから。
もちろんそれはあったと思います。
でもそれだけではゲーム音楽がオーケストラのコンサートにはならないと思うんですよね。
いい音楽だったとしても、それが多くの人に届かなければ「有名な曲」にはなり得ませんよね。
つまり下村さんの作曲した音楽が、ゲームを通して世界中に拡散されたことが大きいのではないかと思うのです。
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私は現在webマーケティングを仕事としているのですが、なぜwebマーケティングという仕事が存在しているかと言うと、多くの企業が「情報を伝達する」ことに非常に労力がかかるからです。
誰もが様々な手段で情報が発信できる現代だからこそ、逆に適切な情報を適切なユーザーに届けることは非常に難しく、故に現代のビジネスにおいてそれはとても重要な「仕事」になっているのです。
その証拠にGAFAと呼ばれる巨大IT企業のうちGoogleとFacebook(現Meta社)は収益源のほとんどが広告業です。
日本でも電通が莫大な収益を上げてきたのは、多くの人に「情報を届ける手段」を独占していたからです。
で、ゲームはどうでしょう。ゲームはそのゲームそのものの面白さによって世界中の人々を惹きつけます。
それがゲームの本質です。そもそも面白くないとゲームじゃないですから。
重要なことはゲームを介して多くの人々に情報が届けられているという事実です。
下村さんの立場になってみれば、ゲームが媒介(=メディア)となって自分の音楽を世界中の人々に届けてくれた、ということになるのです。
そして国境も言語の違いも超えて、人々の心に残り、やがて音楽そのものを愛してくれるファンが世界中に生まれた、というわけなのです。
つまりゲームが多くの人々に情報を届ける手段になっていて、まさにゲームがメディア化しているのです。
さらに言うと、下村さんのゲーム音楽が有名になったことはそのポテンシャルの一端を示しているに過ぎません。
ゲームのメディア性は、最近は「メタバース」と言う言葉で置き換えられオンラインゲームでより際立って見て取れます。
現在オンラインゲームで有名なフォートナイトやあつまれどうぶつの森はそのゲーム内に構築された仮想世界に世界中から莫大なユーザーが集います。
フォートナイト販売元Epic Gamesによれば、フォートナイトユーザーは全世界で3億5千万人を超えているとのことですが、興味深いのはその集客力を活かしてそのゲーム内仮想世界でアリアナ・グランデがコンサートを行ったことです。(※2)
私が今最もハマっているオンラインゲームはNBA2Kシリーズと呼ばれる米プロバスケットボールリーグNBAを模したゲームなのですが、その中にもやはり仮想世界が構築されています。
(画像:NBA2K22 ネイバーフッド ショッピングモール)
世界中のユーザーと自らが成長させたバスケプレーヤーを使ってストリートで対戦できるのですが、そのキャラに着せるアパレルが、ナイキやジョーダンブランド、アディダスなどスポーツブランドはじめアメリカンイーグルなど実際のアパレルブランドになっていて、ゲーム内の仮想世界が企業の恰好の宣伝スペースとなっているのです。
メタバースといえば、社名をMetaに変更した旧Facebookが注目を集めましたが(※3)、既にゲームの世界では人々がバーチャルな世界(=メタバース)で交流しそれがリアル世界の人々の行動に影響を与え始めており、企業がその影響力をビジネスに活かし始めているのです。
そう考えるとゲームの中の音楽でしかなかった下村さんの音楽がリアル世界でオーケストラのコンサートになったことはいわば必然とも言え、今後このゲームの持つメディア性はメタバースとして大発展することは間違いないと確信としたのでした。
(執筆者:ティネクト株式会社 楢原一雅)
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※1:下村陽子さんのHP
※2:全世界3億5000万人のプレイヤー数を突破したフォートナイトで 数々のグラミー賞を受賞した世界のスーパースター アリアナ・グランデがスペシャルパフォーマンスを披露!(PRtimes 2021.8.2)
※3:Meta: ソーシャルテクノロジー企業(Meta社ニュースルーム 2021.10.29)