サイトのアクセスは増えたのに、なんで売上につながらないの?という疑問に答えます

このコンテンツは有料note「webライターとメディア運営者の、実践的教科書(安達裕哉著)」より転載しています。


コーポレートサイトやオウンドメディア運営に伴う悩みの一つに
「サイトのアクセスは増えたのに、売上につながらない」があります。
これは特に珍しい話ではありません。
これは例えれば、
「前の人通りは多いが、お客さんが入ってくれないお店」というシチュエーションに類似しており、ごくありふれた悩みでもあります。
 
では、具体的には一体どうすればよいのか。
本稿では「アクセスを増やす」と「売上を作る」を結びつけるのに、どのような考え方や施策が必要なのかを解説します。

お店の前の人通りがあっても、店構えが悪いと繁盛しない

上で述べたことの繰り返しになりますが、人通りがあるところにお店を構えれば、必ずお店が繁盛するのかといえば、そうではありません。
 
「人通りはあるのだけど、さっぱりお客さんが入らないよ……」という飲食店には、それなりの問題があります。
実際、店舗の立地診断などでは、
・お店は認識されているか?
・お店に入りづらくないか?
・商品は顧客層にマッチしているか?
といった、「店構え」や「導線」、あるいは「商材」の要素についても調査をかけることがほとんどです。
これは、webサイトにおいても同様のことが言えます。
つまり、せっかく多くの人がサイトを訪れても、商材が提供されていなかったり、問い合わせへの導線がなかったり、問い合わせへの導線がわかりにくかったりして、顧客を失っているのです。
 

「アクセス」を「売上」に変えるには

したがって、サイトのアクセスを増やすだけでは「売上」にはつながりません。
コーポレートサイトのリニューアルや、オウンドメディア運営を行っても成果につながらなかったよ、という方は、「その次」が欠けていることがほとんどです。
 
「アクセス」を「売上」に転換するためには、サイト上に、次の3つのしくみが完備されていなければなりません。
1.サイトにアクセスした人を「見込み顧客」に変換するしくみ
2.「見込み顧客」をサイトにつなぎとめるしくみ
3.「見込み顧客」に営業し「顧客化」するしくみ
最低限、これらの仕組みがないサイトは、「アクセス」があっても、素通りされてしまうだけです。
それぞれ、説明していきましょう。
 

1.サイトにアクセスした人を「見込み顧客」に変換するしくみ、その具体例

これは店舗でいうと、「お店の前を通った人に対して、お店の商売に興味を持ってもらうしくみ」です。
これによって「お店の商売を、視認してもらうこと」を目的とします。
 
実際、リアル店舗ではお店の「視認性」は非常に重要です。
街路樹などの障害物にお店の外観がさえぎられてしまったり、周囲の景色に同化してしまってお店が目立たなければ、お客さんは通りがかっても、お店に気づきません。
また、ほかに大きな広告看板など、目立つものが存在していると、お店の看板が目立たなくなってしまうことがあります。
 
webサイトでも、全く同様のことが言えます。
要は「自社サービスの看板を、目立つように記事上に設置する」のです。
ここでのポイントは「記事上」という部分です。
現在のインターネットは、検索エンジンやSNSからの流入が大きいため、「ホームページ」へのアクセスよりも、記事ページへの直接のアクセスが非常に大きくなっています。
そのため、「ホームページ」に問い合わせを設置しても、ほとんどアクセスしてくるユーザの目には止まらないのです。
したがって、看板は、最もアクセスの量が多い記事上に、しかも記事の中の目立つ部分に、目立つ色で掲示をするのが鉄則です。このようにすることで、「すべての記事ページを問い合わせページとする」ことが可能になります。
 
例えばこれは、弊社のメディアの記事を、スマートフォンの画面で見たときの様子です。
 
 
一番目立つのは、ページの最下部にある「メールマガジンへの登録」というアンカーです。
ここにリンクを置いて、当社の商売である「コンテンツ制作」などに興味を持ってくれる人にアピールをしています。
飲食店であれば、メニューを掲示したり、食品サンプルをディスプレイしたりすることと同じ扱いです。
あるいは店の側面をガラス張りにして、お店の中身がよく見えるようにしたりすることも、この「アピール」と同列に考えても良いでしょう。
 
以下の画面は、「確定申告 やりかた」を検索した時に出てくる、会計ソフトFreeeのメディア記事です。
 
 
ファーストビューは通常の記事ですが、読み進めると、「確定申告作成はFreeeで」というPR欄が出てきます。
これも一種の看板です。目立つ色と大きなクリックゾーンで、視認性と操作性を確保しています。
 
また、以下はチャットツールである、「Slack」が運営する、ブログメディアのケースです。
 
 
一件、何もないように見えますが、ページをスクロールすると、上部の「営業担当者に問い合わせ」というメニューバーが、追随してきます。
 
 
また、記事を読み終わった後、ページ最下部には、「Slackを始める」という案内が表示されます。
 
 
下は、先日東急ハンズの買収で話題となった、ホームセンターの大手「カインズホーム」が運営するオウンドメディア、「となりのカインズさん」です。
 
一見すると、導線は何もないように見えるのですが、文中に表示される「商品紹介」がすべて、カインズホームのECへの導線となっています。
 
 
例えば上の「ミラッシュ」をクリックした先は、以下のページです。
 
このように、「すべてのページが、記事中から問い合わせ可能なページになっている」という考え方は、メディアを運営するうえで、非常に重要な考え方です。
 

2.「見込み顧客」をサイトにつなぎとめるしくみ、その具体例

さて、次は「見込み顧客」をサイトにつなぎとめるためのしくみについてです。
お気づきの方もいるかもしれませんが、ここでは、あえて「つなぎとめる」という言葉を使っています。
というのも、サイトに訪れてくれる人は、「いますぐ商品に興味を持ってくれる人」だけではないからです。
「今は興味がないけれども、将来的にお客さんになるかもしれない人たち」を、いかに自分たちとコンタクトのできる状態に置いておくかが非常に重要です。
 
この場合の注意点は、「問い合わせフォーム」だけの設置だけでは不十分です。機会損失につながりかねません。
なぜかと言えば、人は、欲しくないときに営業されるのを嫌うからです。
「煩わしいことには巻き込まれたくない」と思う人に、「問い合わせフォーム」は無意味です。
 
例えば、よさそうな居酒屋を、営業まわりの途中に見つけました。
「入ってみたいなあ」
と思いましたが、今は出先であり、まだ午後3時です。飲みに行くわけにはいきません。
そんなときに「お店の中だけでもいいから、見ていってよ!」と呼びこまれても、迷惑なだけでしょう。
 
では、そんな場合はどうするのか。
「何もしない」のは、もったいないです。
なぜかというと、後になって「調べよう」という時に、そのお店のことを思い出してもらえるとは限らないからです。
できれば「入ってみたいなあ」と思ってもらったときに、「後から思い出してもらえるようなしくみ」を提供できれば、ベストです。
 
そんな時に、飲食店などが良くやっている手法が店頭での販促です。
「食材などを記載した看板の設置」や、「SNSアカウントのフォロー願い」、あるいは「お店のカードの配布」といった施策などが挙げられます。
webサイトでも、同様の手法は効果的です。
 
例えば、組織コンサルティングの大手、リンクアンドモチベーションのコラムページは、以下のような「看板」が掲げられています。
 
 
注目すべきは、「各サービスの特徴が1分でわかる資料」を配布している点です。
リンクアンドモチベーションの提供するような、「購買の頻度」が低い商材については、訪れてくる人が「今すぐ購入を検討している」というケースは、比較的レアケースです。
多くのアクセスは「調べもの」「興味がわいた」「面白そうだった」という、将来的にお客様になるかもしれないが、今は欲していない、という人物なのです。
したがって、「つなぎとめ」が目指しているのは「個人情報を取得し、見込み客のデータベースを構築すること」であって、問い合わせをもらうことは二次的な目標となります。
 
以下は、コンサルティングファームである、デロイトのコンテンツページです。
 
ここでは自由に「調査報告」をダウンロードできます。
ただし、ここでは個人情報の取得は行っておらず、自由に資料を取得できるようになっています。
デロイトの狙いとしては、この調査を様々なところで引用してもらうことで、「見込み顧客」を育てたいという意向があるのでしょう。
これも一種の「つなぎとめ」の施策といえます。
 
また、以下は三菱UFJ国際投信という、大手ファンド運営会社のメディアです。商品の一つである、eMAXISシリーズは、SNSでのファンドの人気投票の常連でもあります。
 
 
その彼らが運営する、「投資口座の開設」を目的としているメディアですが、「口座開設」も、BtoBビジネスと同様に、気軽に行うようなアクションではありません。
そのため彼らは、メディアの記事の末尾に、「セミナーの案内」および「SNSのフォロー願い」を掲示し、顧客のネクストアクションを引き出そうとしています。
 
マーケティングオートメーションツールの大手である、HubSpotは、自社メディアで様々な記事を公開していますが、その記事には、様々な「つなぎとめ」のポイントが仕込まれています。
 
まず、冗談のメニューバーには「無料で試す」ポイント。
つづいて、「動画マーケティングの基礎ガイド」というホワイトペーパーをダウンロードするポイントが、左上と右下の2か所。
記事中には →ダウンロード:動画マーケティングの基礎無料ガイド
というダウンロードリンクが設置されています。
 
さらに、記事を読みすすめると「メルマガ登録」がメニューバーに出現し、記事の最後には「動画マーケティングの基礎ガイド」の案内が再度掲示される徹底ぶり。
さすがはマーケティングオートメーションツールを販売しているHubSpotですが、このくらいしつこく、つなぎ止めを実践するのは、確かに効果的であると言えます。
 

3.「見込み顧客」に営業し「顧客化」するしくみ、その具体例

さて、2.で収集した個人情報ですが、個人情報を取得した対象に対しては、営業をかける必要があります。
「メディアさえ設置すれば、そこからバンバン問い合わせが来て、受注がはかどるのでは」
という幻想は捨ててください。実際には、
「サイトができることは、集客と個人情報の取得までであり、クロージングは営業努力が必要」
というのが、現実です。
 
逆に言えば、この切り分けがきちんと実践できている会社のサイトは、アクセスが増えるにしたがって、売上が増加します。
できていない会社は、残念ながら「アクセスは増えたけど、売り上げが立たない」ということになりがちです。
 
私が良く知る、ある高級すし店は、訪れたお客さんに対して、積極的にFacebookアカウントへの登録を勧めています。
というのも、Facebookアカウントに登録してもらえれば、「今朝入った魚」や「お店の予約状況」などを、発信できるからです。
 
お店のおかみさんがアカウントを運用しているようですが、個人の温かみが感じられ、間接的ではありますが、れっきとした「営業活動」となっています。
 
では、実際には「サイト」側、つまりマーケティング部隊と、営業部隊はどのように連携すればよいでしょう。例えば、弊社では以下のような設計を行っています。
サイト訪問(Books&Appsへのアクセス)
メルマガ登録(Books&Appsメルマガへの登録)
メールによるセミナー案内
セミナー参加
セミナーアンケートへの記入で「サービスに興味あり」
電話で聞き取り、もしくは無料相談会への誘因
営業・提案
受注
細字で書かれているところまでが、「マーケティング部隊」の役割であり、太字で書かれているところが、「営業部隊」の役割であると、分担がなされています。
 
この流れの中でポイントとなるのは、アンケートで「サービスに興味あり」と書いてくれた人だけに営業を行っている点です。
前述したとおり、「望まない営業」に対しては、人は抵抗します。
場合によっては、そのわずらわしさから、こちらの連絡をブロックしてしまう可能性もあります。
したがって、「サービスにどの程度興味があるか」というステータスを管理し、見込み顧客を絞り込まないと、ほとんどの営業活動が無駄になってしまいます。
 
そこで、上のフローチャートの場合、弊社では、以下のようにサービスへの興味を段階に分けて仮定し、ステータスを管理しています。
サイト訪問(弊社サービスには興味なし)
メルマガ登録(弊社サービスには興味なし)
メールによるセミナー案内(弊社サービスには興味なし)
セミナー出席(弊社サービスにわずかな興味あり)
セミナーアンケートに「興味あり」の記入(弊社サービスに興味あり)
 
というのも、「弊社サービスに興味あり」と断定できた顧客以外を、営業に任せても、営業のほうではそこにリソースをかけられることがほとんどないからです。
営業に送る顧客の見込み度が低いと、「マーケティング活動で獲得したリストの質が低い」と、営業からクレームが来ます。
 
ただ一つの例外は「セミナー出席」の段階で、営業がアポイントを取るためのアクションをするケースがある点です。
これは、相手の事業規模や、業種業界などを見て、「重要顧客になり得る」という場合のみ、営業のほうにセミナーへの出席を依頼するという運用です。
具体的には、経営者が出席している、大手の役員クラスが出席しているなどの条件を設定していますが、いずれにせよ、この条件を握っておかないと、あとで社内で確実に揉めますので、注意が必要です。
 
本稿は以上です。
多くのメディアは、マーケティング部隊が担っているため、メディアへのアクセスを伸ばすことについては熱心ですが、現実的にそれを成果に結びつけるためには、
・データベースの整備
・メルマガ運営
・ホワイトペーパー/資料制作
・問い合わせ窓口との連携
・セミナーの実施
・営業部隊との業務切り分け
といった、様々な仕事を考慮し、並行で進めてていく必要があります。
そしてこれこそ、DXへのシフトの中核といっても良いのではないかと思います。
ご参考としていただければ幸いです。
 
 

 

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【著者プロフィール】

安達裕哉

元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。

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