このコンテンツは有料note「webライターとメディア運営者の、実践的教科書(安達裕哉著)」より転載しています。
メディア運営を行っていると「webライターには稼ぐために、どんなスキルが必要ですか?」と聞かれることがある。
なるほど。
確かに、一般的には「ライタースキル」は明確になっているとはいい難い。
例えば、Googleで「ライター スキル」で検索すると、検索1位に「この記事」が出てくる。
Webライターという職業は『誰もがなれる』チャンスがあります。私たちは小さいころから作文や感想文、論文など、誰もが一度は文章を書いた経験があります。Webライターは文章を書くことの延長線にあるため、特別なスキルがなくても誰にでもチャンスがある仕事といえるのです。
この記事では「webライターは特別なスキルがなくてもなれる仕事」と言っている。
では、どんなスキルが必要かというと、具体的には「物事を正確に伝えられる文章スキル」と「相手がなにを知りたいか読み取るスキル」らしい。
Webライターに必要なスキルは物事を正確に伝えられることです。自分が伝えるべきことを文章を使って正しく表現できるか、その文章力のスキルは必要です。見落としがちですが、相手が何を知りたいかを読み取るスキルも大切です。相手が何を知りたいかがわからないと、物事を正確に伝えることもできないからです。
もしかしたら、世間的には「webライター」というのはこの程度の認識なのかもしれない。
だが、実情を知る人からすれば、上の意見は完全に見当外れのことばかり言っていると感じるだろう。
少なくともBooks&Appsから仕事を出している、一本あたり数万円以上の原稿料をだす書き手たちの「ライタースキル」とはまるで別だ。
webライターに求められるスキルは、本質的には「文章力」ではない
では、Books&Appsが考えるライタースキルとは何か。
身もふたもない話からしよう。webライターに求められるスキルは本質的には「文章力」ではない。
webライターは作家ではないし、新聞記者でもない。究極を言ってしまえば、文章力は「あったほうが良い」という程度だ。また、「ライター経験」も必要ではない。
むしろ経験者に多く見られる「客観性重視」とか「洗練された表現」とか、変なこだわりが染み付いてしまっている方が良くない。
なぜか。
決して文章力を軽んじているわけではないが、「文章を整える」仕事が、ライターでなくてもできるからだ。極端な話、編集が頑張ればなんとかなってしまう。
「だったら、ライターに求められるスキルは何なんだよ」と思うだろう。
では正解を言おう。
それは「拡散力」と「オリジナリティの高い経験」だ。この2つがあれば、必ずライターとして成功できる。
いや、むしろこの2つを獲得する道こそが、ライターへの道なのだ。
では一体なぜ「文章力」が最も重要なファクターではないのか。
インターネットメディアの運営がライターに期待するのは「文章力」よりも「拡散力」
まず「拡散力」の話をしよう。これは、インターネットメディアの出現と大きな関係がある。
インターネットメディアの出現以前、「ライター」は基本的に「書く人」だった。だから昔は「文章力」が重要だった。
いや、「ライター」なのだからあたりまえだろう、なにを言っているのかよくわかんねーよwww、とう人もいるだろう。
だが、インターネットメディアの出現後の、最も重要なライターの役割は「書く」ではない。「読み手を集める(=記事を拡散させる)」なのだ。
この違いは大きい。
要するに昔のライターは、新聞や雑誌など「もともと人の集まっている場所」に自分の書いたものを掲載すればよかった。人を集める仕事は、メディアがやってくれていた。だから「書く力」だけで食えた。
でも、インターネットメディアは違う。「書いただけ」では読み手は集まらない。
良いライターは、記事の拡散を誘発することで、読者を惹きつけ、集めること、つまり「拡散力」を期待されている。
「いや、でもそれはメディア側の仕事だろう」というライターの方もいる。正論としてはそのとおりだ。
だが、ライターにお金を出すインターネットメディア側からすれば、「文章力のあるライター」と「拡散力のあるライター」を比較すれば、後者の方が遥かに価値があるのもまた事実だ。
例えば、アメブロで書いているブロガーを見てほしい。
アメブロでランキング入りしている人気のスピリチュアルブロガーだが、はきりいって、一般的な意味での「文章力」はない。でも、人は集まる。
そして、こういう人に、インターネットメディアはお金を出す。人を集めるための「マーケティング費用」として。
具体的に言おう、例えばGoogleのリスティング広告を使えば、キーワードにも寄るが、1PVあたり5円〜20円程度でメディアのビューを増やせる。すると1000PVを得るのに、5000円〜20000円のコストがかかる。
ところが、フォロワーさんを1万人抱えているライターさんに、記事を拡散してもらえれば、少なくともフォロワーの10%程度は流入が見込めるから、1000PVは確実だ。
であれば、5000円をライティング料に上乗せして、拡散してもらったほうがライターさんも喜ぶし、我々としても「ファン」をつかめる可能性があるから、双方にとって幸せだ。
メディアの運営者は、そのように考える。
「文章力」があれば、人は集められるという方もいるかも知れない。もちろん間違いではない。
間違いではないが、そんな事を言っているライターは「良いものを作れば売れる」と思っているウブな経営者と同じだ。
いくら美しい文章を書いても「読み手を集められないライター」は格が低く、webライターとしては食っていけない。むしろそういう人は出版社が読み手を集めてくれる、作家や新聞記者になるべきであって、ライターを志してはいけない。
プロライターより、当事者が書いた文章のほうが面白い
そして2つ目の要素である「オリジナリティの高い経験」だ。
一体なぜ重要なのか。
それは「プロのライターが伝聞で書くより、当事者が体験を書いたほうが面白い記事ができる」からだ。
例えば「投資の秘訣」というテーマの記事が2つあるとする。
一つは「新聞記者」が有名ファンドマネージャーに聞いた話を記事にしたもの。
そしてもう一つは「有名ファンドマネージャー自ら」が、自分のブログに書いた記事。
あなたなら、どちらを読みたいか。まあ、聞かれるまでもないだろう。明らかに後者だ。
要するに、インターネットという、誰もが発信できるプラットフォームができた今、「聞いた話を書く」プロのライターよりも、「自分でコンテンツを生み出せる」現職の経営者、現職の医師、現職の弁護士、現職のコンサルタント、数多の専門家のほうが、「読まれる」コンテンツを生み出せる。
そういった専門家がTwitterなどで自ら発信しているコンテンツを凌ぐ記事を、素人のライターが書けるかどうかが、問われているのだ。
だから、ライターにとっては今は非常に厳しい時代だ。
今の売れっ子のライターは、「やってみた」「行ってみた」「試してみた」「作ってみた」「聞いてみた」などの、オリジナリティの高い経験を自ら作り出している。
「取材して書くだけ」のライターには、もはや仕事がないのである。
「拡散力」と「オリジナリティの高い経験」を備えたライターになるには
シンプルに考えれば「拡散力」と「オリジナリティの高い経験」を備えたライターになる道は一つしかない。
専門的な知見をもとに「やってみた」「行ってみた」「試してみた」「作ってみた」「聞いてみた」などの企画を自分自身で行い、それをブログやTwitterなどで記事としてアウトプットし、フォロワーを集めるという、地道な活動を続けるだけだ。
おそらく最初の1年は、ろくにフォロワーもつかず、大した記事も書けないだろう。
前回、前々回の記事に書いたように、私が最初の1年で、毎日記事を書いた結果、獲得できたフォロワーは1000人にも満たなかった。
だが、1000人ものフォロワーが集まれば、「質の高い記事」を書けば、必ず拡散される。拡散されれば、フォロワーは一気に100人単位で増えていく。
そうして、フォロワーが3000人を超えたとき、あなたの記事を「掲載したい」というメディアが出てくるだろう。
ともに頑張ろう。
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