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今や多くの企業がオウンドメディアを運用し、顧客との接点を持つようになりました。
このようにオウンドメディアを通して無料のコンテンツを提供することで顧客の獲得につなげる手法はコンテンツマーケティングと呼ばれ、近年注目を集めています。
しかし、従来のネット広告などとの違いがよく分からず、何をどうすればいいのかと頭を抱える担当者も多いのではないでしょうか。
企業がコンテンツマーケティングを行う必要性や、それによってアプローチする顧客とはどういったものなのでしょうか。
そもそも「コンテンツマーケティング」とは
コンテンツマーケティングの必要性について知るために、まずはその定義から見ていきましょう。
コンテンツマーケティングについてWikipediaでは、以下のように説明されています。
コンテンツマーケティングは、価値のある無料コンテンツを作成して共有することにより、見込み客を引き付け、見込み客を顧客に変える。コンテンツマーケティングは、企業が持続可能なブランドロイヤルティを生み出し、消費者に貴重な情報を提供し、将来的に企業から製品を購入する意欲を生み出すのに役立つ。この比較的新しい形式のマーケティングは、直販営業を介さない。代わりに、オーディエンスとの信頼関係を築く。
ContentlyのJames O’BrienがMashableに書いたように、「コンテンツマーケティングの中心的な考え方は、企業が価値のあるものを手にするには、価値のあるものを提供する必要があるということだ。テレビ広告の代わりに見世物を提供しろ。バナー広告の代わりに特集記事を提供しろ。」 コンテンツマーケティングでは、できればコンテンツマーケティング戦略の範囲内で、大量のコンテンツを継続的に配信する必要がある。
(Wikipediaの「コンテンツマーケティング」の項目より一部抜粋)
実際に企業で担当者としてオウンドメディアの運用に携わった経験が無ければ、何を言っているのか、いまいちよく分からないと感じるのではないでしょうか。
商品やサービスに直接結びつかない無料コンテンツを提供することに、回りくどさを感じるかもしれません。
コンテンツマーケティングの必要性を理解するためには、そのやり方だけでなく、どのような顧客にアプローチするのかを知る必要があります。
アプローチしようとしている顧客について知ることで、コンテンツマーケティングの意味を理解できます。
どのような顧客にアプローチするのか?
「顧客」と一言に表現しても、すぐに買ってくれる人や、なかなか買ってくれない人など、反応のしやすさは様々です。
以下に示す図は、顧客をニーズ(必要性)とウォンツ(欲求)という二つの軸で、
・いますぐ客
・お悩み客
・そのうち客
・まだまだ客
の四つに分類したものです。
ネット上の顧客分類の図
青色で示した「いますぐ客」は、ニーズとウォンツが共に大きいため、広告を出せばすぐに買ってもらえます。
しかしネット上では、そのような顧客は、ごく一部に過ぎません。
大部分の顧客は赤色で示した「お悩み客」「そのうち客」「まだまだ客」であり、潜在的な顧客です。
このネット上で大部分を占める潜在的な顧客に、いかにアプローチしていくのかが重要になってきます。
従来の広告宣伝の手法であるネット広告では、今すぐ買いたいという顧客にはアプローチできても、潜在的な顧客にはうまくアプローチできません。
赤色で示した潜在的な顧客を将来の顧客にするためには、継続的に接点を持ち続け、顧客との間に信頼関係を構築する必要があります。
そのために必要になってくるのが、コンテンツマーケティングです。
潜在的な顧客に対して、長期間にわたり有益なコンテンツを無料で提供し続けることで信頼関係を構築することができれば、将来的に自社の顧客として取り込める可能性は高くなります。
そのため多くの企業では、潜在的な顧客が少しでも自社の方へ来るようにオウンドメディアを通してアプローチしているわけです。
そのようにしてアプローチした顧客が「よし、買おう!」と決め、いざ「どこから買おうか?」と考えたときに、真っ先に購入先としてイメージしてもらえるかが重要です。
顧客に他社よりも認知してもらい、信頼関係を築けていれば、それだけ購入してもらえる可能性も高まります。
「認知」と「信頼関係の構築」に必要となってくるのが「コンテンツ」であり、ネット上の大部分を占める潜在的な顧客をどれだけ引きつけられるのかが、将来の売上高を左右します。
これこそが、企業がコンテンツマーケティングをする必要がある理由です。
コンテンツマーケティングにおける顧客へのアプローチの方法とは?
従来のネット広告の対象である「いますぐ客」とコンテンツマーケティングが対象とする潜在顧客へのアプローチの違いについて、もう少し具体的にみていきましょう。
「いますぐ客」に対しては、GoogleのAdSense、FacebookやTwitterといったSNSで用いる広告やダイレクトメールといった方法があります。
この他にも、検索ワードに紐づいたリスティング広告といったものもあります。
先ほども紹介した通り、今すぐ欲しいという顧客はごく一部であるため、こういった広告やダイレクトメールへの反応も、それなりに低いものです。
リスティング広告においても、特定のワードで検索してくるユーザーは、そのワードに関する情報を欲しがっています。
しかし、大部分は今すぐ商品やサービスが欲しいという人たちではありません。
広告にはアクセスしてもらえるものの、なかなか購入に結びつかないとなると、広告宣伝費だけが膨れ上がってしまうということになりかねません。
また、テレビCMのようにお金をかけて不特定多数の人に向かって広告を流すという手法についても、認知はされても買ってもらえるとは限りません。
みんなが持っているものを欲しがるという時代ではなく、価値観も多様化してきています。
そのような価値観が多様化した時代にあってはテレビCMも、お金ばかりかかって昔ほど効果は出ないということも考えられます。
では、潜在的な顧客に対しては、どのようにアプローチしていけばいいのでしょうか。
その答えが、「コンテンツの提供」です。
潜在的な顧客は、検索によってコンテンツを見つけたり、SNS上でシェアされたリンクによってオウンドメディアに訪れます。
このようにして訪れた人たちに対して、役立つ特集記事、おもしろい動画、きれいな写真といったコンテンツを提供し続けることで、認知され信頼関係が構築されていきます。
顧客に自社サイトに訪れてもらうまでの流れ
そして、必要性や欲求が高まったときに、自社サイトを訪れて商品やサービスを購入することで、顕在化した顧客となります。
これが、潜在的な顧客を顕在的な顧客に変えるまでの一連の流れです。
コンテンツマーケティングの活用事例
多くの企業は、どのようにオウンドメディアを活用し顧客の獲得につなげているのでしょうか?
ここではその具体例として、三つの事例をご紹介します。
まず一つ目が、サイボウズが運用している「サイボウズ式」です。
サイボウズが運営する「サイボウズ式」
https://cybozushiki.cybozu.co.jp/
サイボウズはソフトウェアの開発会社で、中小企業向けのグループウェアなどを提供しています。
サイボウズがこのメディアを運用している目的として考えられるのが、認知やブランディングです。
働き方に関する様々な記事を提供することで自社のことを知ってもらい、イメージアップを図っています。
商品やサービスを購入してもらうためには、まず認知してもらうということが欠かせません。
オウンドメディアを通したコンテンツの提供は、顧客に認知してもらう上で大いに役立ちます。
二つ目が、電通が運営している「電通報」です。
電通が運営している「電通報」
電通は、広告代理店としては日本最大手であり、広告に携わる人であれば誰でも知っているような大企業です。
そのような大手企業がオウンドメディアを使って情報を発信する意図としては、「自分たちは、こんなすごいことをやっている」というのを示すことで、信頼性を高め、プロ集団として認知してもらうということが考えられます。
そして三つ目が、ウイングアーク1stが運営している「データのじかん」です。
ウイングアーク1stが運営する「データのじかん」
ウイングアーク1stは、帳票の管理システムなどを手がけている企業です。
この企業がオウンドメディアを運営している意図として考えられるのが、リードの獲得です。
管理システムというと、何度も買うようなものではありません。
見込み客との間で継続的に接点を維持しつつ、時期が来ればセミナーの案内を出し、最終的に顧客獲得につなげるというのが一連の流れです。
この事例に代表されるように、今や多くの企業ではそれぞれ意図を持ち、オウンドメディアを運営しています。
未来の顧客を創造するためにも、コンテンツマーケティングは今後、ますます重要となっていくでしょう。
(了)
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