生成AI時代の、コンサルティング会社の文章術

このコンテンツは有料note「webライターとメディア運営者の、実践的教科書(安達裕哉著)」より転載しています。


前回は「よみたくなる文章力」について書かせていただいた。

では「読みたくなる」の本質はどこにあるのだろうか。
これは数多くの文献で、かなりの一致が見られる。

ライターが獲得すべき「よみたくなる文章力」とは、一体何なのか

では「読みたくなる文章」の正反対の文章はなんだろうか。
それが、「コンサルティング会社の文章」だ。

「読みたくならない文章じゃないの?」と思う方もいるだろうが、じつは違う。それは反対ではなく単なる否定だ。
読みたくなる文章の反対は、実は「読まないといけない文章」である。

読まないといけない文章

「読まないといけない文章」は、つまり仕事で使われる文章であり、相手の意欲にかかわらず、読むことを強制できる(される)。

もちろん「あいつの面倒そうなメールは読まない」という選択もありえるが、通常、「意味がわからないのでもう少し噛み砕いてください」と要求することはできても「つまらない文章なので読みたくありません」と主張することはできない。

だから必要なテクニックとしては「読みたくなる文章」とは全く別物なのである。

読みたくなる文章の目的が「相手を楽しませる」「相手を感動させる」ことに
置かれる一方で、仕事の文章は「相手に正確に情報を伝える」「相手を行動させる」ことに置かれる。

したがって

・面白さよりも正確さ
・意外性ではなく予測可能性
・感情ではなく論理
・物語より簡潔さ

こうしたことが優先される。
こうしてみると、「読みたくなる文章」とは正反対であることがよく分かるだろう。

「読まないといけない文章」は、テクニックを覚えれば誰でもできる

こうした性質を持つ文章であるがゆえに、実はそのテクニックは「誰でもできる」ものでなくてはならない

「この人しか書けない」とか「文章の才能が必要」となった瞬間に、仕事では使えない。読まないといけない文章は、標準化された、誰でも簡単に使えるテクニックで書けなくてはならなかった。

その点「コンサルタントの文章」は、その技術が最大限に使われたものだった。会社はコンサルタント全員に技術を教え、コンサルタントは一人残らずそれに従う。

画一化された、工業製品のような文章。それが、仕事で使われる文章である。
では、「コンサルティング会社の文章術」をご紹介する。

1 準備

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①基本設計 
②編集者レビュー
③編集者承認
④文章作成

コンサルティング会社では、いきなり文章を書くことは、絶対してはいけないことになっていた。(「最悪の行為」と言われていた)文章は、書く前に、文章の基本設計を必ずしなければならない。

では、基本設計とは何か。基本設計は以下の三つを検討することだ。

① 文章で読者に伝えたいこと。(一つから三つまでがよい)
② 伝えたいことを、どう伝えるかのストーリー。
③ 図をどう活用するのか。

昔はこれらを、コンサルタント一人ひとりが悩んで書いていた。
しかし現在では、生成AIに投げるという手が使える。

今回はChatGPTよりもやや、文章作成能力に優れているClaude3を用いて、文章を作成してみよう。

 

出力を見て、修正をすれば基本設計は極めて簡単にできる。
編集が終わったら、すかさず文章の発注者に対して、レビューを受けよう。レビューで承認されたら、文章の作成を開始する。

2.文章構成

ただし、いきなり本文を作成させると、生成AIの出力クオリティは下がる。そこで、基本設計を下に、文章の構成を生成AIにやらせてみよう。

 

 

この時点でも修正と、場合によっては余計な章を省くなどが必要になるだろう。

3.文章ルールの設定

文章作成は、文体などを指定するために、次の13個のルールで行う。
これは生成AIのプロンプトに含めると良いだろう。

① 『である』調で統一する。
② 一文は50字以内とする。
③ 事実と意見は区別する。
誤 ○○は、従来よりもすぐれているので、わが社でも買うべきだ。(事実と意見を混同)
正 ○○は、x機能がついている。だから、わが社でも買うべきだ(事実と意見は区別されている)
④ 主語・述語の対応に注意する。
⑤ 接続詞は多用しない。特に以下の接続詞
  そして、それから、では、ところで、さらに
⑥ 修飾語の使い方は以下の二つの原則を守る。
原則1:縁語接近の原則(縁のある語はお互いに接近させる)
誤 きめこまかい化粧法の歴史についての言及
正 化粧法の歴史についてのきめこまかい言及
原則2:長遠短接の原則(長い修飾語句より、短い修飾語句を修飾される語の近くに置く)
誤 この研究では、幅広い他分野の専門家の意見を取り入れた視点が必要である。
正 この研究では、他分野の専門家の意見を取り入れた幅広い 視点が必要である。
⑦「もの」、「こと」は使わない。(文章が明確になる)
⑧「など」はやたらに使わず、必要最小限にとどめる。
⑨「考えられる」、「思われる」を多用しない。(文章がスッキ
リする)
誤 重要な課題だと考えられる。本音だと思われる。
正 重要な課題である。本音だろう。
⑩ 一文の中では、「の」は三回以上使わない。
⑪ 「及び」、「並びに」、「または」、「もしくは」は使い方は以下を守る。
A及びB A,B、C及びD 
A及びB並びにC及びD
AまたはB A,B、CまたはD 
AもしくはBまたはCもしくはD 
⑫送り仮名はできるだけ送るようにする。
・ 行う/行なう → 行う
・ 仕組み/仕組 → 仕組み
・ 取り組み/取組み/取組 → 取組み(動詞:取り組む)
・ 組み合わせ/組み合せ/組合せ → 組合せ
・ 当たって/当って/あたって → あたって
⑬かなづかいは以下のように統一するが、文脈の中で適当と思われない場合はこの限りではない。
・ および/及び → および
・ または/又は → または
・ ひとつ/一つ → 一つ
・ できる/出来る → できる
・ ください/下さい → 下さい
・ ごと/毎 → ごと

4.文章執筆

では、文章を作成させてみよう。
その際に注意点が2点ある。

1.文章はできる限り細かい単位の章で出力させるほうが精度が高まる。
2.文字数を指定する。文字数を指定しないと、概略だけを出力するにとどめてしまうケースも多い。

 

その結果が以下となる。

 

 

 

この文章を見ていくと、1.1と1.3の話題がかなり被っていることがわかるので、1.3は1.1に統合してもよいだろう。しかしこのように、生成AIに基本構成と文章ルールを設定するだけで、極めて簡単に「読まないといけない文章」を書かせることも可能だ。

ただし注意点としては、最終的に提出する文章にするためには、文章をより筋肉質にせねばならない。

全体的に見て、生成AIに書かせた文章は若干くどいので、これらを1つに統合しても良さそうだ。

 

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【著者プロフィール】

安達裕哉

元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。

◯X:安達裕哉

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