【基本から応用まで】オウンドメディア・Webマガジンのデザインの作り方は?サンプルはどこで探せばいい?

はじめに

オウンドメディアは、自社が保有する情報発信の場であり、読者との関係を深める役割を担います。特にデザインの作り方によって、メディアの印象が大きく変わる点は見逃せません。読者が最初に触れる視覚要素やレイアウトは、ブランドイメージの形成に直結します。

わかりやすく魅力的なデザインを意識したオウンドメディアやWebマガジンは、情報を伝えるだけでなく、その媒体ならではの個性を打ち出せるのが強みです。本記事では、デザインの基本や企業事例、サンプルの見つけ方までを中心に解説します。これからオウンドメディアの新規立ち上げやリニューアルを検討している方に向けて、役立つポイントを丁寧に紹介します。

オウンドメディア・Webマガジンにおけるデザインの役割

視覚情報とブランド価値

オウンドメディアのデザインを考える際、視覚情報が伝えるイメージはブランド価値の中核となります。色や余白、写真の選定によって見る人の印象は大きく変わり、企業の信頼度や姿勢までも表現できます。特にファーストビューと呼ばれるページ最上部の領域は、訪問者が数秒内にメディアの魅力を感じ取るかどうかを左右する重要なポイントです。

例えば、TISインテックグループのTIS株式会社は、2025年5月30日から三菱UFJ銀行が提供を開始した富裕層向けオウンドメディアの体験デザインを支援しました。このプロジェクトでは、資産運用や事業承継などの情報を高品質なビジュアルと使いやすい情報設計で提供し、富裕層ユーザーに寄り添ったUXデザインが評価されています。TISのUXデザイン専門チームXDStudioが参加し、ブランド思想の継承や回遊性を高める体験設計、プロトタイプとデザインガイドラインの整備などを通じて、三菱UFJ銀行の信頼感とブランド価値を高めることに成功しました(参照*1)。

また、ハルメクホールディングスが運営するイベント情報サイト「ハルメクevents」では、シニア世代を意識した安心感のある配色や写真構成を採用し、ユーザーが「見つける」から「参加する」までをスムーズに促すデザインへと刷新しています。2025年3月期の実績では、基盤事業の売上高が前期比6.4%増の323億8400万円となり、情報コンテンツや物販事業との連携も強化されています。こうしたデザインの工夫が、シニア市場における自社メディアの価値向上に寄与しています(参照*2)。

このように、視覚情報のデザインは読者がブランドを認知する最初の接点となり、企業特有の世界観や信頼性を確立する重要な要素です。

ユーザー体験と信頼獲得

視覚情報だけでなく、ページ全体の操作感や情報の配置もユーザー体験に大きく影響します。分かりやすい構造や読みやすい文字バランスが整っていれば、ユーザーは迷わず目的の情報を取得でき、メディアへの信頼を深めやすくなります。逆に、複雑なデザインや煩雑なページ遷移があると、離脱率が上昇し、ブランド全体の評価にも悪影響を及ぼす可能性があります。

デザインがユーザーの信頼に直結するのは、価値ある情報を円滑に受け取れる環境づくりが求められるためです。役立つコンテンツを提供するうえでも、視覚的な美しさと分かりやすさを両立させることで、利用者と真摯に向き合う姿勢を示せます。こうした要素の積み重ねが、オウンドメディア全体の評価を高め、長期的な顧客との関係構築にもつながります。

デザインの基本構成とUX

レイアウト設計

オウンドメディアのレイアウト設計とは、コンテンツの配置やナビゲーション設計を行い、利用者が直感的に情報を探しやすい構成をつくることです。デザインの視点では、どこに画像や見出しを配置するか、どのような導線を用意するかといった基本的な骨格が重要です。

また、プラットフォーム横断の連携や透明性の高い運営リテラシーが求められるため、複数のデバイスで快適に閲覧できるレスポンシブ対応も欠かせません。デジタルメディアの基礎として、ユーザーがどの端末でも同じ体験を得られるように設計することが重要です(参照*3)。

近年の情報発信手段では、TikTokにおける乳液の重ね塗りがバズを呼んだように、利用者の興味や行動が相互に影響し合うケースも増えています。ユーザー同士のコミュニケーションを見据えたレイアウト設計を行うことで、オウンドメディア内の滞在時間を増やし、コンテンツへの関心を高めることが可能です(参照*4)。

色とタイポグラフィの最適化

配色とフォントの選定は、読む人の視線誘導や感情に大きく影響を与える要素です。例えば、コントラストの低い配色では可読性が落ちやすいため、背景色と文字色に十分な差を設ける工夫が必要です。タイポグラフィにおいては、フォントサイズや行間、文字間隔を調整することで、長文でも快適に読み進めやすいページに仕上げることができます。

さらに、ブランドカラーを効果的に活用すれば、読者に一目で企業のイメージを連想させることが可能です。色使いやフォントを統一しておくと、異なるページや媒体からのアクセスでも一貫したブランド体験を提供できます。こうしたきめ細かな配慮が、ユーザーの満足度とリピート率を高める基盤となります。

デザインに役立つCMSの選定

クラウドCMSとオウンドメディア

コンテンツ管理システム(CMS)は、オウンドメディアの更新や管理を効率化する仕組みとして欠かせません。とりわけクラウド型CMSは、インターネット経由で管理画面にアクセスできるため、専門的な開発環境を用意せずに運用しやすい点が魅力です。WordやPowerPointを操作するような感覚でサイト更新が可能なので、社内リソースの少ない企業でも内製化を実現しやすくなります(参照*5)。

また、パソコンだけでなくタブレットやスマートフォンからでも管理画面にアクセスできることが多く、外出先でも迅速にコンテンツを修正できます。オウンドメディアでは、記事や画像、動画など多彩な形式の情報を扱いますが、クラウド型CMSでは標準機能としてバージョン管理や予約公開などを備えたシステムが一般的です。これにより、クリエイティブなデザインと情報発信を両立しながら、サイト全体の品質を保ちやすくなります。

ヘッドレスCMSとデザインの自由度

より高度なデザインやシステム連携を追求する場合には、ヘッドレスCMSが注目されています。ヘッドレスCMSは、コンテンツ管理機能と表示部分を切り離した仕組みで、API(アプリケーションの入力・出力機能)を通じて自由度の高いデザインを実現できます。従来のCMSが持つ固定的なテンプレートに縛られず、フロントエンド開発者が自社のブランドやユーザー体験に合わせたカスタマイズを柔軟に行えるのが利点です(参照*6)。

例えば、マルチプラットフォームで同じ情報を配信する場合、ヘッドレスCMSを活用すれば、Webサイトに限らずアプリやデジタルサイネージなど様々なチャンネルに統一感あるデザインを適用できます。これによりオウンドメディアの印象を強く打ち出せるだけでなく、新しいユーザー体験を創出する後押しにもなります。

参考事例とサンプルの見つけ方

企業事例の分析

デザインの取り入れ方を深く学ぶうえでは、実際に成果を上げている企業事例を参照するのが有効です。株式会社はてなが2025年8月7日に開設した「オウンドメディア戦略ラボ by はてな」では、企業のオウンドメディア運用に必要な情報を一元的に発信する仕組みを構築しています。はてなCMSの提供や戦略設計、SEO、ソーシャル活用、記事制作など、運用現場で役立つノウハウを公開している点が特徴です(参照*7)。

また、チームラボが千葉銀行公式サイトをリニューアルした例では、利用者が知りたい情報へ直感的にアクセスできるデザインへ刷新することを主眼に、UIや外観を徹底的に見直しています。複数のオウンドメディアチャネルを統合し、情報ごとのテンプレートやビジュアルを活用した一元管理、レコメンド機能によるパーソナライズ体験など、ユーザー視点に立ったデザイン改善が行われています(参照*8)。

こうした実践的な再設計例を紐解くことで、オウンドメディアの構造やデザインを改善する具体的な手掛かりを得ることができます。

デザインギャラリー・リソースサイトの活用

企業事例に加えて、世界中のWebサイトをまとめたデザインギャラリーやリソースサイトを活用することも有意義です。多様なサンプルを比較することで、配色やレイアウトにおける最新のトレンドを把握し、独自のアイデアを磨ける利点があります。特に、複数の産業や地域を超えたサイトを参照すれば、自社のターゲット層にヒントを得やすく、斬新な発想を組み込むきっかけとなります。

デザインギャラリーの中には、業種カテゴリや使用技術、色合いなどで検索できる機能を備えたものもあります。自社のオウンドメディアに求められる要素を整理し、目的に合ったデザイン例を抽出することで、品質と効率を両立させるアイデアを得やすくなります。時間や予算の制約がある場合でも、リソースサイトを賢く使うことで、確かな成果を生み出しやすくなります。

おわりに

オウンドメディアやWebマガジンにおけるデザインは、単に見た目を整えるだけでなく、ブランド価値とユーザー満足度を高めるための戦略的な要素として機能します。丁寧に設計されたレイアウトや配色、CMSの選定までを含む全体設計を行うことで、情報を効果的に届けられるメディアが実現します。

本記事で紹介した基本要素や企業事例、さらに参考となるサンプル情報は、これからデザインを考えるうえでの大きな指針となります。自社の強みや読者のニーズに寄り添ったデザインを深め、より多くの人に知ってもらえるオウンドメディアの運営を目指すことがポイントです。

監修者

楢原 一雅(ならはら かずまさ)
ティネクト株式会社 取締役

広告業界・教育業界での営業経験を経て、2014年にティネクトを共同創業。オウンドメディア「Books&Apps」を立ち上げ、月間200万PV超のメディアに成長させる。現在はBtoB企業向けに、コンテンツマーケティング支援を推進。

参照