第1章 メディアにおけるコンバージョンとは何か?
デジタルマーケティングでしばしば使われる「コンバージョン」という言葉には、大きな重みと重要性があります。
しかし、コンバージョンとは一体何を意味するのでしょうか?コンバージョンとは、広義には、マーケティング・コミュニケーションの受信者が、あなたの意図した行動を起こすことです。
単純な例ですが、潜在顧客が製品購入やサービス申し込みの一歩を踏み出すことを指します。一般的には、広告やマーケティング資料に組み込まれたコールトゥアクション(CTA)要素によって促されます。
コンバージョンは、キャンペーンの目的に応じて様々な形で実現することができます。有益な月刊ニュースレターの購読者を増やそうとしているのかもしれませんし、包括的なeBookを最近作成し、ダウンロード数を増やそうとしているのかもしれません。アンケートの回答を通じてターゲット市場のデータをもっと集めたいと言う場合もあります。
平凡に見えるかもしれませんが、これらの行動はそれぞれコンバージョンの成功を意味します。見込み客が、最終的な製品やサービス購入のためのステップを踏んでいるからです。
例えば、環境に優しい家庭用品を販売するオンラインショップを運営しているとしましょう。
魅力的なCTA(例えば、限定割引コード)を掲載したメールキャンペーンを戦略的に実施し、読者に購入を促した場合、その割引コードを使用した受信者はすべて、実質的にコンバージョンを完了したことになるのです。
あるいは、あなたがマーケティングコンサルティングサービスを運営し、「2022年の効果的なSEO戦略」に関する詳細で価値の詰まったeBookを作成したとします。あなたはこのeBookを、「今すぐ無料のeBookをダウンロードしよう!」のような、CTAとともに、ウェブサイトやソーシャルメディア・チャンネルで宣伝します。この場合、ダウンロードされるたびに、コンバージョンが成功したことになります。
どのような形であれ、それぞれのコンバージョンは、カスタマージャーニーの中で重要なマイルストーンを意味します。
このようなコンバージョンの最適化をマスターすることで、企業は無駄なマーケティング費用を削減するだけでなく、利益と全体的な成長を高めることができます。
第2章: コンバージョンファネルを読み解く
2.1 コンバージョンファネルとは?
コンバージョンファネルは、製品やサービスの購入に至るお客様を、認知の段階から最終的な行動に至るまで、徐々に絞り込み、段階に応じて必要なコミュニケーションを顧客に提供することモデル化した、マーケティングコンセプトの一つです。
漏斗(ファネル)が液体を細い口に導く様子に例えたことから「ファネル」と名付けられました。
このマーケティングモデルは、例えば接触→興味→オファー→そして申し込みといった、異なるフェーズで構成されています。
例えば、管理職向け研修販売会社S社のマーケティングファネルを考えてみましょう。
彼らのコンバージョンファネルは検索エンジンから来る見込み顧客に対する「接触」段階から始まります。
見込み客はwebサイトで様々なマネジメントのコンテンツに「興味」を持つと、その後「メルマガへの登録」という「オファー」が示され、クリックを促されます。
メルマガへ登録されると、管理職研修のセールスが始まり、最終的な「申し込み」を促す仕掛けになっています。
2.2: コンバージョンファネル改善のための具体的なアプローチ
コンバージョンファネルを効果的に分析するには、各ステージにおける直帰率、離脱率、コンバージョン率に焦点を当てて微調整する必要があります。
例えば、「接触」ステージの直帰率が高いとします。その場合、自社のリーチ方法がターゲットと共鳴できていないことが予想されます。
例えば、接触段階での直帰率が高いオンライン・アパレル・ビジネスを例に取ってみましょう。その理由は、SEOコンテンツのタイトルが効果的でないか、ターゲット層を間違えているからかもしれません。
そこでマーケティング担当者は、Googleアナリティクスのようなツールを使って、直帰した人のデモグラフィック詳細を掘り下げることができます。この情報を武器に、オーディエンスの興味や閲覧習慣に応じてマーケティング戦略を練り直すことができます。
コンバージョンを高める実践的なアプローチとして、A/Bテストがあります。2008年のオバマキャンペーンが行ったようなA/Bテストを行うことで、コンバージョンを大幅に改善することができます。彼らは、ボタンのテキストについて実験し、「Learn More」が他のバリエーションを上回り、サインアップのコンバージョンを約40%以上増加させたことは有名です。
この方法では、マーケティングコンテンツの複数の要素を評価し、微調整することができます。見出し、CTA、画像、コンテンツの長さなどのバリエーションをテストし、どれがよりオーディエンスとつながり、より高いコンバージョン率につながるかを判断することができます。
なお、hubspotは、「ユーザエクスペリエンステスト」「設計テスト」の両者に関するA/Bテストの細かい手法を公開しています。
第3章:ユーザー・エクスペリエンス(UX)の向上
ウェブサイトを閲覧するユーザーの体験は、コンバージョン率を高める上で重要な役割を果たします。
例えば、ユーザー入力フォーム一つをとっても、細かな改善ポイントが数多く上がります。
ニールセン・ノーマン・グループのレポートによると、例えば、フォームが簡素化されるたびに登録フォームのコンバージョン率が大幅に増加することがわかっています。
また、Venture HarbourのUX改善ガイドでは、58ものフォームの改善事項を掲載していますが、あげられている中で、すぐに改善できそうなネタとして、以下のものが挙げられます。
1.フォームをいくつかのステップに分割するほうが、一つにまとめるよりも良い
2.必要でないフィールドはすべて削除する。フィールドが一つ増えるたびに、コンバージョン率が1%下がる
3.分岐するフォームを使って、該当する質問だけを表示させる
4.ラベルを左上にそろえる
5.フォームを横に並べない
6.フォームを入力するためのリワードを与える
7.クリックの回数を減らす
8.電話番号や国などの質問は、IPアドレスから自動入力をする
9.電話番号や生年月日はまとめて一つのフォームに入力させる
10.プライバシーポリシーを示す
11.郵便番号検索を試用する
12.入力例を薄く表示させる(プレースホルダを利用する)
13.できる限り電話番号を入力させない
14.Capthaの使用は避ける
15.メールやパスワードの確認のための二度入力は無駄。マスク解除のアイコンを用意する
16.フォーム内に連絡先情報やライブチャットを用意する
17.プログレスバーを付ける
18.ボタン内の文言は「私は◯◯する」という言葉にする
19.行動喚起を促すボタンはコントラストを付ける
20.「クリア」や「リセット」ボタンを付けない
21.送信が終わったら、送信成功の画面を表示する
22.質問フィールドとボタンの高さは少なくとも 48 ピクセル
23.すべてのフォームのラベルとプレースホルダーのフォントは 16 ピクセル以上
また、デスクトップやモバイルなど、使用するデバイスに関係なく、普遍的なレスポンシブ・ウェブサイトを提示することが最も重要です。
この目的を達成するためには、明確で論理的なレイアウトを導入することが鍵となります。
デザインは、30インチのデスクトップ画面でも5インチのスマートフォンでも、すべてのデバイスで一貫性を保つ、直感的で乱雑さのないナビゲーションを優先しなければなりません。
また、グーグルの調査によると、ファイザーのサイトでは、スピードを中心にサイトの改善を行ったことで、読み込みは 38% 速くなり、直帰率は 20% 減少したと報告しています。
また、同社の調査では、オンライン小売トラフィック全体の 64% はモバイルから来ていますが、モバイルでのコンバージョン率はデスクトップの半分にすぎません。モバイル サイトの速度と全体的なユーザー エクスペリエンスを向上させると、収益が向上します。
上記のような施策を遵守を展開することで、企業はオンラインコンバージョン率を大幅に向上させ、利益の増大と忠実な顧客基盤の確立につながる可能性が高のです。
第4章 効果的な行動喚起(CTA)の実装
4.1: CTAsによるコンバージョンへの役割の理解
CTAs(Call to Action)は、望ましい操作をユーザーに促すことでコンバージョンに重要な役割を果たします。
例えば、料理レシピ紹介のサイトに「レシピを試してみる」やオンラインストアの製品ページに「カートに追加する」などの明確な行動を促すCTAを追加した場合を考えてみてください。
これらはユーザーが求める具体的な次のステップを示すと同時に、それがビジネス目標の達成につながります。
Adroll社の調査によると、ランディング ページの CTA を正しく実行すると、コンバージョン率が80% も増加する可能性があります。コンバージョン率の向上に加えて、他にも多くのメリットがあります。
・ウェブサイトのパフォーマンスの向上
・ウェブサイトと製品のサインアップの増加
・製品やサービスの迅速な検索
・フラストレーションが軽減され、使いやすさが向上
4.2: 魅力的なCTAを作成する具体的な方法
効果的なCTA作成には、緊急性と熱意を喚起する明確で魅力的な言葉が必要です。
CTAはページ上で目立つようなコントラストのある色を用い、クリック時に約束事を履行すべきです。
具体的に活用できる例としては、”今なら30%オフ” や “すぐの登録で早期特典を受け取りましょう”のような緊急性を伴うCTAを作成し、ボタンには目立つオレンジや赤色を使用すると良いでしょう。これにより、ユーザーは行動を起こすための刺激を受け、結果として製品の購入やサービスへの登録が増えるでしょう。
さらに、CTAの後にフォローアップメールやメッセージを設定することで、ユーザーとのエンゲージメントを深めることができます。
たとえば、”購入ありがとうございます。10%オフクーポンを受け取ってください!” のようなメッセージを送ります。 MailChimpのデータによれば、ウェルカムメールのように、セグメント化されたメールは通常のマーケティングメールよりも開封率が高いのです。
その他にも、CTAのパフォーマンスを監視し、最適化するための調整は重要です。ユーザーレビューやアナリティクスデータを使用して、CTA文字列の変更や色の調整を行うことで、コンバージョンレートを最大化することが可能です。
なお、上述したように、「目立つ色であるかどうか」ではなく、重要なのはコントラストです。
連続性とテストの状況に応じてCTAを最適化することが重要で、これには継続的な監視と調整が必要となります。CTAの効果を最大化するためには、ユーザーフィードバックやアナリティクスデータを活用し、必要に応じてテキストやデザインを随時調整します。
なお、Hubspotによれば、CTAはいくつかの種類があります。
・ボタン
・フォーム
・バナー
・コンテキストリンク(記事内に配置されるリンク)
・ポップアップ(ページ上に突然表示される小さなウィンドウ内CTA)
・スライドイン
また、CTA内に配置される文言については、「〇〇をする」ことを宣言する形にする必要があります。
・今すぐダウンロード
・毎週の特典を得る
・〇〇に参加する
・無料サンプルを得る
・購読する
・無料で登録する
・1か月間無料で利用する
・〇〇を試してみる
・今すぐ〇〇を送ってもらう
・今すぐ好みの〇〇を見つける
・無料トライアルを請求する
・登録して〇〇で始める
第5章 ソーシャルメディアからのコンバージョンを高める施策
今日のデジタル市場は、ソーシャルメディアからのコンバージョンを増やそうと考える企業に対し、多様な戦略を提供しています。
しかし、この効果を高めるためには、その根本的な原因を推進する具体的な方法を深く理解する必要があります。
一つの有効な方法は、ターゲットとする顧客層に対して、タイムリーでパーソナライズされたソーシャルメディア広告の活動を実施することです。
例えば、コンバージョンを高めたいインテリアのオンラインショップは、購入者が以前に閲覧したアイテムや、購入パターンに沿った関連商品を特集したパーソナライズ広告を展開することができます。
もう一つの重要な要素は、これらの広告に魅力的なCall To Action(CTA)を取り入れることです。CTAは、購入、ニュースレターへの登録、資料のダウンロードなど、潜在顧客が取るべき次のステップを案内することができます。
なお、CTAは、上述したとおり、顧客がアクションを起こすことで何を得られるかを明示したCTAが最良の結果をもたらします。
例として、サブスクリプションベースのフィットネスアプリは、”今すぐ無料トライアルを開始!”や “カスタマイズされたワークアウトプランのために今日コミュニティに参加しましょう!”といったCTAを利用することができます。このようなCTAを利用することで、オーディエンスは自分が何を得ることができるのかを明確に理解することができます。
これらとは別に、企業はレビュー、証言、ユーザー生成コンテンツを通じて強力な社会的証明を構築することにも注力すべきです。ブライトローカルによる2023年の調査では、消費者の76%が地元企業のオンラインレビューを読んでいることが明らかになりました。このような社会的証明は、製品やサービスへの信頼を高め、訪問者のコンバージョンを促進することができます。
また、オンライン衣料品店では、カスタマーレビューや商品の写真を掲載することができます。ユーザーの体験を紹介することで、潜在的な顧客を効果的に購買決定へと導くことができます。
最終的には、パフォーマンス分析に基づいて、これらの戦略を常に監視、テスト、更新することが重要です。ハブスポットのソーシャル・メディア・アナリティクスのようなツールを使えば、企業はマーケティング活動の効果を追跡し、改善点を特定することができます。
しかし、これらの効果については、ハーバード・ビジネス・レビューは、2021年の記事で、「中小企業の利害と彼らの利害は一致していない可能性がある」と述べています。
”ビッグテック企業は、ビジネスコミュニティに役立つ資料やツールを提供している点で賞賛されるべきですが、中小企業は、広告プラットフォームがトレーニングや情報を提供する際に自社の利益を追求していること、またそれらの利益が企業の利益を追求する可能性があることを認識しておく必要があります。または中小企業のそれと一致していない可能性があります。”と主張しています。
第6章 ユーザージャーニーをパーソナライズする具体的なテクニック
今日の高度に接続されたデジタル時代において、パーソナライゼーションは顧客エンゲージメントのスタンダードとなっています。
Ecosultancy と Monetate の調査によると、Web サイトのパーソナライゼーションは平均 19% の売上増加につながります。
例えば、パーソナライゼーションを支える重要なテクニックのひとつに、メールリストのセグメンテーションがあります。
Eメールリストを特定のバイヤーペルソナや特性に基づいて細分化することで、パーソナライズされたEメールをよりターゲットを絞ったオーディエンスに送ることができます。
セグメントには、デモグラフィック、地域、過去のやり取り、好み、バイヤーの行動などが含まれます。メールサービスプロバイダのMailChimpのユーザーデータによると、セグメント化されたキャンペーンは、セグメント化されていないキャンペーンよりも開封数が多いことが明らかになっています。
例えば、衣料品のオンラインショップでは、地域によって購読者をセグメントし、異なる気候の顧客に適した季節の衣料品を提供することができます。特定の地域の気候に合わせてメールコンテンツやおすすめ商品をパーソナライズすることで、消費者にとってより適切で魅力的なコンテンツを提供することができます。
さらに、ユーザーのリテンションとエンゲージメントを最大化するために活用できる戦略として、予測分析があります。
予測分析では、人工知能(AI)や機械学習などのテクノロジーを活用し、ユーザーの行動やニーズ、欲求を予測します。
予測分析の最前線にいる企業であるネットフリックスは、視聴者の活動の75%をパーソナル・レコメンデーションに基づいており、過去とリアルタイムのデータを分析することで、予測モデルはユーザーの好みや嗜好に近いパーソナライズされた提案を提供することができます。
チャットボットもまた、ユーザー体験をパーソナライズする有望な機会です。これらのAIを搭載したツールは、ユーザーに関する有用なデータを収集しながら、カスタマイズされた支援、問い合わせの処理、製品の推奨を提供することができます。
Drift社の調査によると、消費者の3分の2が、リモート、あるいセルフサービスのインタラクションを好んで企業とつながりたいと考えており、チャットボットはパーソナライズされたカスタマージャーニーにおける重要なタッチポイントとなっています。
最後に、パーソナライゼーションにおけるメトリクスの役割に注目することが重要です。コンバージョン率、クリックスルー率、開封率、その他の主要業績評価指標(KPI)は、パーソナライゼーション戦略の効果に関する貴重な洞察を提供します。これらの指標を継続的に追跡することで、企業はパフォーマンスを向上させるために戦略を調整することができるのです。