Netflixの「浅草キッド」が大ヒット中です。
私も配信開始日の12月9日に見ちゃいました。
そう、配信開始日にです。
Netflixはオンデマンドサービスなので、かつてのテレビのように待ちに待った番組を放送日にリビングの前に正座して待つ、というようなことをする必要はありません。もちろん録画をする必要もありません。
見たい時にいつでも視聴できるからです。
ではなぜ私がまだ配信もされていなかった「浅草キッド」を知り、わざわざ開始日に見ようとしたのでしょうか?
テレビ業界の知人のこの話がヒントになるかもしれません。
“Netflix発の「浅草キッド」の製作費は4億円だがプロモーションに10億円かけているらしい。”
業界の噂話に過ぎないかもしれないのですが、私が驚きかつピンと来たのは
制作費よりプロモーション費用の方が遥かに大きいことです。
私の耳に劇団ひとり監督の浅草キッドが面白いらしいと噂が聞こえてきたのは半年前です。業界関係者向けの試写会があり、ある放送作家かお笑い芸人だったかがラジオで話していたのを覚えています。
12月の配信が近づくにつれ徐々に露出は増えてYouTubeで舞台挨拶がライブ配信されたり(※1)、直前には舞台となった東京の浅草六区と呼ばれる地区で街全体を浅草キッドでジャックするような宣伝(※2)まで行われていました
※1 大泉洋出演!Netflix シリーズ「浅草キッド」 「Netflix フェスティバル2021」舞台挨拶(AMUSE Official Channel)
※2 浅草六区エリアマネジメント協会×Netflixがタッグを組み映画『浅草キッド』公開記念 「浅草キッド祭り」開催決定!(一般社団法人浅草六区エリアマネジメント協会)
まるで映画のような大プロモーションが展開されていたのです。
Netflixならば上述の通りいつでも視聴可能なので、リリースさえしてしまえばNetflix会員が勝手に視聴してくれるのでは?
というわけにはいかないですね。
NetflixだけでなくAmazonプライムもYouTubeもそうなんですが、膨大なコンテンツ群の中から自分が見たいものを探し出すのはとても大変だからです。
結果的に過去に話題になっていた映画や昔好きだったドラマやアニメを暇な時に見る、というスタイルの人が多いのではないでしょうか。
故に新規作品や本当は面白いけれど自分には興味のないコンテンツはそもそも自分の目の前に現れることすらないと言えるのです。
この問題は動画プラットフォーム特有の問題ではなく、そもそもインターネット上で適切な情報を探しだすことがとても難しいという本質的な問題なのです。
逆に言うとコンテンツを供給する側が膨大な情報の海の中で埋没している消費者の中から、適切なターゲット層を見つけ適切なメッセージを送ることがとても難しい、ということです。
それこそが企業がwebマーケティングをやらなければいけない理由であり、webマーケティングの本質中の本質なのです。
「浅草キッド」はビートたけし原作で何度か作品化されており既にとても有名な自伝的小説でかつ今回は劇団ひとり監督という知名度抜群のコンテンツでした。
しかし、そんな知名度があったとしても、Netflixで新規作品をリリースする際には大プロモーションを行った、
という事実が、webマーケティングの重要さを示しています。
というわけで、私はそのNetflixの大プロモーションの網にまんまと掛かり、浅草キッドを配信開始当日に見ちゃったわけです。
期待に違わずとても面白かったです。10億円なんてすぐ回収できたでしょう。(超ざっくり計算すると月額980円で100万人の視聴者分ですが…)
(執筆者:ティネクト株式会社 楢原一雅)
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