マーケティング部門と営業部門が対立するのはなぜか?


営業から「使えねーリストよこしやがって」

と言わたことがあるマーケターいますか?

 

はい、ここにいます。

 

私です。

 

私は営業職とマーケター職の両方経験がありますが、常にノルマに追われる営業にとって営業可能な「見込み顧客リスト」は喉から手が出るほど欲しいものです。

 

しかしその中身がスカばかりでは労力が増えるばかりです。それどころか怒りすら湧いてくる。だって、こっちは常に詰められてるんだよおおお、と。

 

一方で、マーケター側の気持ちもわかります。

マーケティングとは自社商材のターゲットに適切な情報を発信し顧客を生み出すことです。

しかし、それはただの本質論であって、現場はそんな御託はいいのです(決してそれを忘れている訳ではない)。

彼らは数値を作れとプレッシャーを受け、その結果営業可能だけどその質はわからない(ふりをした)大量の見込み顧客リストいわゆる「リード獲得数」を目標にしがちなのです。

 

この対立は、ビジネスパーソンが頻繁にでくわす「あるある」事象です。

もう何十年、何百年、何千年、遠い宇宙の知的生命体でもこの現象は起こってると思うのですが、一向に解決する気配を見せません。

 

じゃマーケティングも営業も両方理解した上で仕事を進めればいいじゃないか?

もちろんマーケセンスのある営業マン、営業センスのあるマーケターが優秀であることは間違いありません。

しかしいざ仕事をする際、彼・彼女らが優秀であればあるほど与えられた持ち場で最大限のパフォーマンスを発揮するように動きます。なぜならそれが自分の給料をあげる最も妥当な動き方だからです。

 

もし「経営者」という立場であれば、マーケティング、営業そのどちらも同時に理解し、お互いの行動をマネージメントし、その最適解を見つけてあげる必要があります。

しかし、それは経営者として全体利益を考えざるを得ない立場(それが自身の報酬に直結している)だからこそ言える話です。

 

そこで、今回はこの永遠のテーマ「営業 vs マーケティング」をChatGPTに聞いてみて、それを営業職9年、マーケター業務9年の私が検証し、この現象をもう少し解像度をあげて理解したい思います。

 

まずは率直にこのように聞いてみました↓

するとChatGPTは下記のように回答しました。

 

マーケティング部門と営業部門が対立することがあるのは、彼らの目的、責任、および戦略が異なるためです。以下は、この2つの部門が対立する主な理由のいくつかを挙げます。

流石GPT先生、かなり的確に状況を捉えてますね。以下その理由を6つあげてくれていますので、確認してみましょう。

 理由1

 異なる目的と焦点:

マーケティング部門は、ブランドの認知度向上、製品やサービスの特徴と利点の伝達、およびリードの生成に重点を置くことが多いです。

一方、営業部門は直接の売上や取引の完了に焦点を置くことが多いです。

おっしゃる通りです。

そもそもなぜマーケ部門と営業部門が別々に存在しているのか?というとそれぞれの仕事がそれぞれ全く異なるスキルを要求される業務だからです。

例えば、プロサッカービジネスにおいてスタジアムに観客を呼ぶ仕事と、スタジアムに来たファンに物を買わせる物販の仕事は全く別だということは想像に難くないと思います。

異なるスキルによって生み出される成果の目標はそれぞれ異なり、少なくとも短期的にはその達成度によって彼らは評価されます。

短期的な目標達成度による評価の意味がわからない?

あなたの今期のボーナスのことです。

 

 理由2

異なるタイムフレーム:

マーケティング活動の効果は中長期的に現れることが多く、短期的な成果を期待することは難しいことがあります。

営業は、短期的な目標やクォータを持つことが多いため、すぐに結果が欲しいと感じることが多い。

 

理由1で述べられている通り、これはマーケ部門と営業部門の目標の違いから来ています。

前者は「リード獲得」のような「売上」の中間目標となる場合が多く、後者はほぼ100%「売上」です。

 

これは経験からわかるのですが、営業は「売りやすい客」から売上をあげようします。

なぜならば営業は「売上」というわかりやすく直接的かつ重要な目標を持たされているが故に、ほとんどの企業ではそれが厳しく「管理」されているのです。

結果的に営業は、「売りやすい客」から売上をあげようとします。

これはもはや営業の習性とも言うべきものです。

 

そしてその副作用として、中長期的な視点で顧客を生み出すことを怠りがちになります。

 

だからこそマーケ部門が存在し、その営業の弱点をアシストする役割がマーケ部門なのです。

ですので彼らが中長期視点に立って業務を行うのはいわば必然なのです。

 

 理由3

異なる評価基準:

マーケティングはキャンペーンのリーチやクリック率、コンバージョン率などのKPIで評価されることが多い。

営業は、達成した売上や契約数などの具体的な数字で評価されることが一般的です。

 

すでに理由1,2で述べられている通りマーケ部門と営業部門では目標が異なるため、それに対する評価基準が異なります。

そしてそれこそがお互いの対立として表面化します。

 

営業「使えねー大量のリストなんか持ってくるんじゃねー」 

→ こっちは営業ノルマに追われてるんだ。無駄な仕事を増やさないでくれ。

 

マーケ「でもそれは中長期的な視点に立って潜在層も含んだ見込み顧客リストです」

→オレたちはリード獲得量が評価に影響するし、そもそもそれをどうにかするのが営業の仕事でしょ。

 

といった具合です。

 

 理由4

リソースの競争:両部門が限られた予算やリソースを求める場合、その分配に関する対立が生じることがあります。

もうここまで何度も話しましたが、中長期的な視点でリード数を増やそうとするマーケ部門と常に売上ノルマに追われる営業部門との間で予算の取り合いが起こるのは必然です。

前者は中長期的な施策が会社に利益をもたらすと考えていますし、後者はとにかく目の前にいる客を刈り取ることで必死なのです。

 

理由5

コミュニケーションの不足:しっかりとしたコミュニケーションがなされていない場合、誤解や情報の非対称性が生じ、それが対立の原因となることがあります。

何度も言いますがマーケと営業が対立するのはいわば「必然」です。

唯一これを解決できるのは「経営者」だけです。なぜなら彼らはマーケ部門、営業部門をマネージメントし会社の利益を最大化することが仕事だからです。

ですので、もし両部門がコミュニケーション不足に陥っているのであれば、それは両部門の責任ではなく経営者の責任です。

 

 理由6

文化の違い:マーケティング部門と営業部門は、企業文化や働き方が異なることがある。このような違いが深まると、理解や協力の障壁となる場合があります。

もうここまでで言い尽くしましたが、マーケターの評価基準と営業の評価基準が異なるためそれが「文化の違い」として現れます。ただそれだけです。

 

最後にChatGPTはこのような言葉で締めていました。

対立を解消するためには、両部門の役割や目標の明確化、コミュニケーションの強化、協力のためのシステムやフレームワークの整備などが考えられます。

いかにも優等生的な主張ですねw

っていうか、 毒にも薬にもならない誰も傷つけないかわりに誰の役にも立たない。最低なまとめだと思います

 

ということで、最後に私自身の見解を述べます。

マーケティング部門と営業部門が対立するのは必然的でむしろ健全だと思っています。それはそれぞれの部門がそれぞれの持ち場でそれぞれが最大限のパフォーマンスをあげようとするからこそ起こるからです。

もちろんスカばかりのリード獲得をしてくるマーケ、リードを有効活用できない営業に改善すべきポイントはあるでしょう。とはいえ原則的にそれぞれがそれらを意図的に行って仕事をしてるわけではありません

それぞれが最大パフォーマンスをした結果として生まれた対立を、会社の売上の最大化という視点でそれを解決できるのは経営者のみです。

 

マーケ、営業それぞれが自分の給料のために一生懸命仕事をしてくれていればいいなと思います。実際自分は現在経営者という立場ですがそこは喧嘩していいと思っています。

 

現場からは以上です。

 

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【著者プロフィール】

楢原一雅(ティネクト取締役)

マーケティング担当