企業が「再現性のある、コンテンツ拡散力」を得るには何をすればよいか。

このコンテンツは有料note「webライターとメディア運営者の、実践的教科書(安達裕哉著)」より転載しています。


記事を「拡散」させてほしい……
企業のオウンドメディア担当者の方々から、こんな要望をいただくことがあります。
広告の費用対効果が落ちる中、異なる手法で見込み客を集める手法を探る、という企業が増えているのでしょう。(出典:約10年で8割減の広告インプレッション、リスティング広告の効果はなぜ下がったのか
今回はその「拡散」について、書きたいと思います。

 

「拡散」とはどのような現象か

ただ、一口に「拡散」と言いましたが、一体「拡散」とは何を指すのでしょう。

記事が「バズる」ことでしょう、という人もいれば、「たくさんの人にSNSで言及されることではないか」と述べる人もいます。
中には「バズる」必要はないが「拡散」は望ましい、なんていう人も。

 

ただ、こういった文脈で使われる「バズ」や「拡散」には、正確な定義が存在するわけではないので、多くの議論は主観に依存します。
例えば、あまりウェブに詳しくない方は、「バズる」を「炎上」と同じような意味で捉えてしまっているため、「バズ」「炎上」は悪いけど、「拡散」は歓迎、というわけです。

 

個人的には私も、「バズ」と「拡散」は少し違うかな、と思っています。
そのちがいの本質は「読者層」です。

 

下の図を見てください。
順番に説明します。

 

友人 〜一次の隔たり〜

私達がコンテンツをウェブを投稿すると、そのコンテンツはまず、
直接の「友人」に届きます。

 

彼らはほとんどが直接あったことのある人々で、知人、友人、家族、同僚など、ごくごく親しい人々でしょう。
彼らの多くは中身を見なくても、関係性だけで「いいね!」をしてくれますが、それに甘えていると次第に無視されてしまうので、大切にしましょう。

 

友人の友人 〜二次の隔たり〜

その次にコンテンツが届くのは、その「友人」の外側の「友人の友人」のネットワークです。
ここには極めて多様な人が含まれます。
例えば、「取引先」の「取引先」であったり、「直接はつながっていない上司」であったり、「友人の前の職場の人」であったり、「幼馴染のパートナー」であったりします。
ただし、多様であってもここは「赤の他人」ではありません。
直接繋がりはなくとも、ある程度価値観を共有できる人々が多数、集まっていると言えるでしょう。

 

そう言う意味では、発信したコンテンツへの「共感の輪」が生み出されやすいクラスタであるとも言えます。

 

友人の友人の友人 〜三次の隔たり〜

そして、その外側に位置しているのが、SNS上での「友人の友人の友人」。「ほとんど他人じゃないですか?」という方もいるでしょう。
でも、実はそうではありません。我々は見知らぬ「友人の友人の友人」からも強く影響を受けています。
これは学術的な研究に裏付けられています。
米国エール大学のニコラス・A・クリスタキスは、著書「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」の中で、肥満者のネットワークについて触れています。
特殊な数学的手法を使って分析してみると、肥満者と、非肥満者における相当なクラスタリング(群化)が実際に起きており、それが単なる偶然ではないことが確認できた。

 

私達の発見によれば、多くのネットワーク現象に「三次の影響ルール」という驚くべき規則性が見られるが、クラスタリングもまた、このルールに従っていた。
平均的な肥満者の友人、友人の友人、友人の友人の友人もまた肥満者である可能性は、単なる偶然とは思えないほど高かった。

 

同様に、平均的な肥満者から三次の隔たりまでの友人は、非肥満者である可能性が高かった。
三次の隔たりを超えると、こうしたクラスタリングは見られなくなった。
こうした事実を受け、ニコラス・クリスタキスは、ネットワーク上のコミュニティーは、メンバーに共有された考え方や行動によって規定されている、としています。
「私達のコンテンツの影響力」は、実は非常に大きいのです。

 

アンチを含む「他人」 〜四次の隔たり〜

ところが、時として「コンテンツ」が広がりすぎてしまい、価値観を共有できない「他人」がコンテンツネットワークに入り込んでしまうことがあります。これが「アンチ」の出現です。
残念ながら世の中には、「決して話が通じない人」がたくさんいます。
宗教観、育ちの違い、遺伝的性質、民族、文化、交友関係……
中には「他者を攻撃したいだけの人」なども紛れており、コンテンツ発信者のあら捜しばかりをする人々も実際に存在しています。
こうした「価値観を共有できない人々」が大挙して押し寄せてくる状態が、「炎上」あるいは「バズる」という表現になる時があるのです。

 

したがって私は便宜上、「拡散」は三次の隔たりまで、「バズる」は四次の隔たり以上の広がりを見せたときという定義を使っています。
アンチを呼び込んでも、大して良いことはありません。アンチが来るくらいなら「一定の範囲」までにコンテンツが届く範囲を絞り込んで、余計なギャラリーを呼び込むことを拒否したほうが良いのです。

 

例えば、「ちきりん」という有名ブロガーがいます。

 

彼女のブログは「はてな」というコミュニティをプラットフォームとしていましたが、現在は彼女は「はてな」からの流入を拒否しています。
おかしな人たちが集まってくるのを避けるため、コメント欄を閉じ、はてなブックマークの一覧ページも非表示にしています
煽情的なタイトルを付けたり、奇行によって耳目を集めたとしても、「アンチ」ばかりが増えたのでは、むしろマイナスです。

 

誠意を感じるタイトル、実直な内容によって「バズ」らなくても、拡散によって「ファンづくり」に邁進したほうが、長期的に大きな成功を手にできるでしょう。

 

フォロワー200名の、Twitterの平均的なユーザーですら「800万人」に影響力を持てる

では「三次の隔たり」はどの程度の影響力なのでしょう。
ビデオリサーチの調査によれば、2017年のTwitterのアクティブユーザーのフォロワー数の平均は約160人です。

 

2019年において、現在のTwitterユーザーのフォロワー数を200名として計算してみると、三次の隔たり、つまり「友人の友人の友人」は200人*200人*200人です。これは、800万人、という膨大な数字になります。

 

もちろん、これは理論値なので、実際とは異なります。
ですが、仮に友人の10%がツイートに反応すれば、8000人にコンテンツが届きます。
極めて反応が悪いツイートで、友人のたった1%しか反応しなかったとしても8人には届くのです。
Twitterのエンゲージメント率は、大体1%〜10%程度ですから、これは決して夢のような数字ではありません。

 

SNS上では、「普通の人」にも、これほどの影響力があるのです。そりゃ、SNSが世界中で流行りますよね。「発信したもの勝ち」の世界は、こうして出来上がっています。

 

企業が「再現性のある、コンテンツ拡散力」を得るには何をすればよいか。

さて、いよいよ本題です。
「拡散」とはなにかを理解すると、「再現性のある、コンテンツ拡散力」をどう得るかがわかります。
このラインより上のエリアが無料で表示されます。
結論から言うと、「社員たちに協力してもらって、拡散する」ことが、重要です。
もちろん、協力してくれない社員もいると思いますが、それでも中小企業は
300フォロワーを有する社員が20人いるだけで「広告不要」というくらいの拡散力を持つことができます。
具体的には、一人あたり、300*300*300=2700万人のネットワークに影響を与えることができるので、たった1%の知人が反応するだけでも27名*20=540名にコンテンツを届けられます。エンゲージメント率が10%であれば、なんと27000*20=戦闘力540000です。

 

このような社員が20名いれば「広告不要」という意味が、おわかりでしょう。

 

社員が「自社コンテンツ」を発信したくなるようにする

したがって、下手にFacebook広告やリスティング広告をやるよりも、社員が「自社コンテンツ」を読み、それをSNSに発信したくなるような仕組みを組むことが、重要となります。

 

例えば、社員参加型でコンテンツを作成すること。
もちろんこれは「持ち回り」をすれば良い、という話ではありません。
良質のコンテンツを社員一人ひとりが生み出せるように、社員の負担ではなくメリットになるように、教育・訓練を施すという意味です。

 

そもそも「拡散」はUGC(ユーザーの手によって制作・生成されたコンテンツ)によって行われます。
いうなれば「会社」のユーザーである社員の手によって作られたコンテンツが、中心となれば、それが最も良いのです。

 

あるいは、情報発信のメリットと注意点を分かりやすく教育していくこと。
一般的には大企業は社員の情報発信に対して、あまり前向きではありません。
しかし、Googleの社員やメルカリの社員などが、「自社の良いところ」をSNSやブログをを通じて発信する内容は、大変多くの人に読まれています。
逆に「退職エントリ」に大変な人気が集まりますが、それは「ホントのところ」が書かれていることを期待してくる人が多いからでしょう。
しかし、こうした発言に統制をかければかけるほど、「自社のコンテンツの拡散」もまた難しくなることに気づかなくてはなりません。
外部に漏らしてはいけない情報は何かをきちんと教育し、「あとはオープンだよ」というメッセージを社員に伝えることは、大変多くのメリットがあると思われます。

 

また「オウンドメディア」の記事は、社員が読みたくなるようなものであること。
「社員が読まないメディア」を、他人が読むでしょうか?

 

私はそうは思いません。このマガジンでは何度かお伝えしていますが、オウンドメディアのターゲットの「ペルソナ」は、まず社員たち一人ひとりであるべきです。
「社員たちが商品を買うわけではない」という反論もあるでしょう。
しかし、「拡散力」というのは本質的には「買う人達だけ」に向けたコンテンツでは得られません。そういったことは広告でやればいいのです。
「社員は買わないが、社員の友達の友達の一人は買うだろう」という考え方は、オウンドメディアを行う上で、いささかも不自然ではありません。
「3次の隔たり」は、我々が想像する以上に膨大なネットワークです。そこの誰かに届けるには、まず「一次の隔たり」すなわち社員に協力してもらうことが不可欠です。

 

以上のことから、「バズ」は個人の力量に依存するので再現不可能だが、社員の協力を得て組織的に行う「拡散」は再現できる。
というのが、Books&Appsの持論です。
 

(了)


 

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